【クラシコムのしごと】私たちみたいな誰かに届けたい。オリジナルアイテムの企画開発チームに密着
編集スタッフ 糸井
開店15年目を迎えた「北欧、暮らしの道具店」。
徐々にはたらくスタッフも、チームも、新しいお客さまも増えてきたこともあり、あらためて当店で働くスタッフの現場を、不定期の連載「クラシコムのしごと」でお届けしています。
今回はアパレルや雑貨など、当店のオリジナルブランド「KURASHI&Trips PUBLISHING」の、企画から開発を手掛ける「プライベートブランド開発グループ(以下PBグループ)」に密着してみました。
アパレルから雑貨まで、企画開発に奔走中です
PBグループでは、「日常(KURASHI)のなかに、ひとさじの非日常(Trips)を」というコンセプトをもとに、アパレルから雑貨まで幅広くオリジナルブランドのアイテムを企画しています。
「私たちみたいな誰か」に必要とされる服や雑貨となるように、自分たちの生活や内面をとことん深ぼって見出した「つくる動機」を大切にしながら、開発を進めていきます。
各メンバーはオリジナル商品を複数担当し、それぞれのアイテムごとに企画から、試作作り、発注、生産管理、品質管理までを担っています。
この日行われていた定例会議は、それぞれの担当する商品の試作品を持ち寄り、進捗や方向性をジャッジする時間。メンバーで真剣なおしゃべりが繰り広げられていました。
ひとつの商品が企画されてものになるまで、一体どんな過程があり、どんなことを意識しているのでしょうか。
企画のタネってどこから生まれるの?
▲左から、スタッフ中居、佐藤、高山。
そもそもすべてのはじまりになる企画のタネはどのように持ち寄るのでしょうか?
佐藤:
「オリジナルアイテムシリーズの商品ジャンルを大きく分けると、『アパレル』と『雑貨』の2種類があるのですが、半年に1度、1シーズン分の計画を立てるための『ブレスト会議』をみんなで集まって開催し、そこで大まかな計画表を作っています」
中居:
「その会議で使うのが、商品アイデアを書き連ねた『企画の種シート』。シートには、大体1人10~20個ほどのアイデアが書かれていて。アパレルだけで2時間、雑貨だけで2時間ほどかけて行う、一大ミーティングです。
暮らしの中の小さなモヤモヤや悩みを、ちょっとでも軽減できたり、気持ちがリフレッシュできるものはなんだろう。そんなアイテムをひとつでも多くお客さまにお届けすることを大切にしながら、じっくりと一人ずつ発表をします。
企画数は膨大な数が集まるのですが、意外にも、グルーピングをしていくと『動機』や『方向性』に共通点があるものも多いんです」
▲MTG中は、言いたいことを言い合える率直さをなにより大切にしているそう
そんな企画のタネは、日々の暮らしあってこそだとか。
中居:
「企画案が浮かぶのは、仕事中よりも、仕事が終わってから寝るまでの時間や、休日などが多いですね。家事の途中のふとした瞬間に気がつくことや、『こんなものがあったら』と率直に思った感情を日々書き留めて、アイデアをストックしています」
喜ばれる顔を思い浮かべながら
東郷:
「最近担当しているものでいうと、この秋販売する『シーズンボトムス』があります。
まずは3日ほどかけて、自室に籠もっての『パターン作り』がスタートでした。トルソーを脇に、前回のボトムスのかたちを見つめ、今回のイメージを紙に落とし込んで、仮の布を縫い合わせて微調整……を繰り返します。お客さまの今年の気分を想像しながら、身幅はどれくらいで、どこにゆとりを持たせようか……丈はこのくらいが嬉しいかな……と何度もすり合わせていくイメージです。
大体の形が決まったあとは、色や生地を決めます。オンラインショップの特性上、画面越しでしか商品を検討できないので、色選びでできる限りお客さまが迷わないように、淡色と濃色の2色展開にしよう、などわかりやすさを重要視していますね」
▲たくさんの生地・色を見ながら想像を膨らませます
佐藤:
「最終サンプルが出来上がったら、メーカーに発注。このあとの欠かせない工程が、自分たちで実際に使ってみる・着用してみる時間です。
使用感や、品質面のチェックも含めて、必ず最終形態になったものを使ってみるのですが、そこには自分以外のチームメンバーも動員。想定していた品質にたどり着いているか、お客さまに心から自信を持ってお届けできる状態になっているかなど、全方位で『心から満足のいく仕上がりかどうか』をチェックします。
担当者は決まっていますが、みんなで意見を出し合いながら作っている感覚が強いですね」
▲サンプルを異なる体型のメンバーで着比べて、着心地を確認中
「私たちみたいな誰か」に届くものを目指して
▲昨日発売された「『クラシ手帳』をもっとたのしむ、10柄入り回転スタンプ」東郷:
「作っている間はずっと、自分が思う『こんなものがあったらいいな』という気持ちと、お客さまがどう感じるだろうという気持ちのバランスを取り続けます。そのすり合わせには、入社してから今でも試行錯誤していて。
『私たちみたいな誰か』に必要とされる服や雑貨となるように、自分たちの生活や内面をとことん深ぼって見出した動機を忘れないようにと、常に意識しています。
なにより、自分の手掛けたものが、お客さまに喜んでもらえたことがわかるとすごく、嬉しいです。今まで悩んでいたものから開放されるようで。いただいたお便りはすべて仕事の励みになっています」
▲左から、スタッフ緑川、市川、斉木、東郷。
なにやら試作品を囲んでおしゃべりをしている様子は、よくオフィスで見ていたものの、実際の会議に参加したのは入社以来はじめてでした。
ひとつの商品ができるまでの長い長い道のり。「このチームは、みんな常に小走り。ワッと盛り上がったかと思うと、ワッと解散するんです」と笑って言っていた言葉に、なんだかエネルギーをもらいました。
そんな不定期連載の『クラシコムのしごと』、次回はどんなチームが登場するでしょうか。お楽しみに。
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