【クラシコムのしごと】半径10mの習慣からみえる暮らし。新番組の立ち上げに密着しました
編集スタッフ 野村
当店で働くスタッフの様子をお届けしている不定期連載「クラシコムのしごと」。
今回は、当店の映像や音声コンテンツの制作に携わっているコンテンツ開発グループに密着。
先日公開した新番組『あのひとの、続けていること』の制作を担当した中村と田中に、制作の裏側についてインタビューしました。
▲『あのひとの、続けていること』は、中村(写真左)がメイン担当として、先輩スタッフである田中(写真右)がサポート・相談役として入り、制作を進めました
どうして「続けていること」に注目?
中村:
「2年前に企画を担当した映像シリーズ『変わりゆく暮らし』をリニューアルしてお届けできたら、というのがきっかけです。
『変わりゆく暮らし』では、コロナ禍も含めてここ数年のなかでの暮らしの変化について、出演者の方に伺っていました。
番組内ではあわせて『変わらないこともありますか?』とも質問していて。その時に、変わらず続けている習慣やその理由を聞いている時間がいつも充実していました。
もしかすると、続けていることを軸にして、新番組の企画を立てられると面白いかもね、とチームの中でも話題になったんです」
田中:
「新番組の企画をする時は、チームのみんなとコミュニケーションを取りながら、少しずつテーマを深めていくことが多いです。最初から『新番組は〇〇系でいこう!』みたいなはっきりしたお題はなくて。
今回の新番組も、まずは『続けていること』のどこに面白みがあるかを探すところからスタートして、それについて中村と2人でディスカッションを重ねて、という感じでしたね。
『習慣』をひとつ取り上げても、面白い企画になりそうという意見も出ました。でもそれって『Morning Routine わたしの朝習慣』のような他の番組で取り上げていることと似てしまう……。だからあえて違う方向に話を広げてみよう、という風に、ああでもない、こうでもない、と時間をかけて話しました。
たくさんの時間をかけるし、悩むことも多いですが、意見を重ねながら企画が形になっていくのは、立ち上げの楽しい部分だなと思います」
「見ていなくても大丈夫な映像」をつくりたい?
田中:
「番組を見てくださっているお客様や、社内のスタッフからもらえる声で多いのが、洗濯しながら、料理しながら見ていますという声なんです。ながら視聴できる、ラジオ感覚で番組を楽しんでくださっている方が多いんだ、と気づきました。
カット数を多くして、目が離せないようにずっと刺激が続くような編集にもできます。でも、それだと家事をしながらだと見づらいし、見逃したというのが逆にストレスになってしまうんじゃないかと思いました。
だから番組をつくるとき、『見ていなくても大丈夫な映像を作りたい』っていう気持ちが実はあるんです。映像を作っている側からすると変なスタンスかもしれませんが……(笑)
音だけ聞いても楽しんでもらえるように編集をしたり、逆に電車で移動中で音声無しで見たい環境で見ても内容がわかるような編集をしたり。
視聴している人がどんな時に見たい映像なのか、を想像しながら番組を作っています」
半径10mのささやかなひとときが、私を支える
『あのひとの、続けていること』では、お客さまとどんなコミュニケーションをとりたいと思って企画していったのでしょうか。
中村:
「コーヒーを淹れたり、自分のために料理をしたり、晩酌しながら日記を書いたり。自分の身の周りで続いているささいなことが、日々の私の暮らしを支えてくれていることってあるかもしれない、と思ったことを軸に番組の企画を考えていきました。
企画書のなかに、『半径10メートルの世界のささやかなひとときが私を支えてくれている』というふうに書きました。
本人にとっては何気なくやっているようなことや続けていることが、実はすごく意味があって大切なことだったと再確認する。
だからこそ、出演者の方が日々続けていることや習慣をただ紹介するだけじゃなくて、そこから自分が大切にしたい、守りたいと思う暮らしについて伺う番組にしようと思いました」
中村:
「『何を大切にしてきただろうか』『なぜ続けていたのだろうか』という質問には、明確な答えが出せるときもあれば、なんだろうと悩むときもあります。
きっとどちらのパターンもあるし、それでいいんだ、と感じていて。
そうした出演者の方のお話をうけて、視聴してくださるお客さまにも『自分が大切にしたい暮らしってなんだっけ?』と考えるきっかけになるような番組にできていたらいいな、と思います」
「前向きな余韻」をのこせたら
中村:
「自分の大切にしたいことってなんだろう、と何か答えを導き出すというより、内省がはかどるような番組にしたかったからこそ、構成は特に悩みました。
どんな番組も内容をきれいに整理できたらそれに越したことはないのですが……。今回の番組は『視聴者と一緒に考えたい』というところが始まりなので、構成をきれいに整理しすぎることが仇になってしまう難しさがあったんです」
田中:
「映像にあえて間を持たせた整理しきっていない構成にしてみるのはどうかな、とか、身の周りのささやかだけど大事にしていることを表現できそうなカットってどんなことだろう、と相談を重ねましたね。
はじめは関係ないかもと思っていたカットが、やっぱり入れ直してみるとフィットしているかもしれない、という試行錯誤もたくさんあって」
中村:
「映像に間を持たせる、という編集が自分にとって初挑戦だったからこそ、本当にたくさんの相談時間をチームで設けてもらいました……(笑)
『私自身が、大切に守り続けたいことってなんだったかな?』『何気なく続けていたことって今の私を支えてくれていた大事なことだったかも』と前向きな余韻が残る、そんな映像シリーズにできればと、次回の企画も考えているところです」
私自身、家事の合間など、息抜きしたい時間に見ることが多かった当店の動画コンテンツ。
今回の新番組を見ている約10分ほどの間、今回の出演者である後藤さんの言葉もヒントにしながら、自分が大切にし続けたいことについて思いを巡らせることができ、暮らしの中に少しの余白が生まれる心地いい時間になった気がしました。
番組を見てくれるお客さまと一緒に、自分の身の周りのささいなことでも考えるきっかけになればと制作した『あのひとの、続けていること』、ぜひご覧いただけたら嬉しいです。
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