【食器棚ものがたり】:パンケーキと苺とティーマ。一目惚れして、北欧のうつわが大好きに(vol.4 マリさん)

編集スタッフ 津田

北欧の食器っていいなあと思います。いくつになっても飽きることがなく、眺めているだけできゅんと胸が高鳴ります。

この読み物は、食器棚と器を訪ね歩く連載です。どんな家にもあるけど、一つとして同じものはない。そんな食器棚と器と収納を見せてもらいながら、おしゃべりしたことを、小さなコラムにしてお届けします。

今回は、築50年以上の団地に一人暮らしのマリさんにお会いしてきました。

 

北欧食器が大好きなマリさんちの食器棚

マリさんが暮らしているのは、昔ながらの大きな団地の一室。

41平米ほどの広さに二部屋とキッチンという間取りですが、引き戸を外して開放的な1LDKにしています。

近くには公園があり、ベビーカーを押す人や、野球に盛り上がる少年たちの声。早咲きの桜は、ふわふわピンクの花を風に揺らしています。のんびりした空気に、すっかりくつろいだ気持ちでお家を訪ねました。

マリさん:
「コロナ中は家にいる時間が長かったので、もう少し広くて眺めのいい部屋に越したいなと、家賃やアクセスなど条件が合うところを探して、団地という選択肢を見つけました。ここに住んで3年になります。

子供の頃から模様替えやDIYをよくしていて、インテリアをあれこれするのが好きだから、引っ越したばかりの頃と比べると、部屋の雰囲気も変わった気がします。

ほんとうは、すっきりしたシンプルな部屋にしようと計画していたんですけど……。やっぱり好きなものに囲まれていたいと、家具もモノも少しずつ増えていきました」

食器棚は、キッチンに入ってすぐの壁沿いに置かれていました。マリメッコのマグや、ティーマのお皿など、わたしたちも馴染み深い北欧食器がちらほら。カラフルで楽しげな雰囲気です。

マリさん:
「食器はどれもお気に入りだから、仕舞い込みたくないんです。いつも見えるところに置いて、かわいいなと愛でながら、満遍なく使えるように、扉のないオープン収納にしています。

元々はりんご箱を重ねて棚にしたり、キッチンに置いたスチールワゴンに収納したり。でも物量が増えたので、取り出しやすいように、今はIKEAのBILLYというシンプルな白い本棚を使っています。後からでも棚板が増やせるんですよ」

 

ティーマのブルーは一目惚れでした

食器棚には、マリさんが一人暮らしを始めた6年前から、ずっと大切にしているうつわたちもありました。もちろん、みんな現役です。

マリさん:
「一人暮らしになって、どんなふうに暮らしたいかを考えるようになり、雑誌やインスタグラムで北欧家具を見ては、こんなインテリアにしたいなぁと憧れたり、かわいい食卓を見ては、うつわっていいものだなぁと物欲を高めたり。

そうして見つけた “いつか欲しいもの” を、ちょこちょこと買い集めてきました。

イイホシユミコさんのunjurというシリーズのうつわは、一人暮らしを始める時に姉からプレゼントしてもらったもの。『なんでも好きなのを贈るよ』と言われて選んだ思い出の品です。

北欧のイッタラ社のティーマは、たしか雑誌で知ったと思います。このブルーのプレートに、パンケーキと苺がのっている写真がすごくかわいくて。色の組み合わせがツボで、私も絶対に真似したい〜となりました」

 

食器棚にある “うつわではないものたち” の存在

先ほどもちらりと出た収納のおはなし。「せっかく集めてきたかわいいものたちを愛でたい」と話すマリさんならではなのが、食器棚にある “うつわではないものたち” の存在です。

姪っ子がくれたというキリンの置き物、ハワイで買ったフラダンサー、北欧のオブジェなど、いろんな思い出が、仲良く一緒に並べられていました。

マリさん:
「はじめに置いたのは、木製のアヒルのオブジェだったでしょうか。ダイニングテーブルでちょっと寂しそうにしていたので、こちらに並べてみたら、すごくかわいかったんです。北欧のもので、相性がよかったのもあるかもしれませんね。

片付けは苦手だけど、好きなものを並べることなら楽しくできる。だから収納は、片付けというよりディスプレイするような感覚でやっています。

扉の向こう側に仕舞っちゃうと、それができないから寂しくて。同じものばかり使い回すことになってしまいそうで、気分も上がりません。ホコリを掃除するのは面倒だけど、いつも見えてる収納のほうが、私には合っています」

 

ストックホルムで出会った宝物のうつわ

北欧のヴィンテージのうつわは、フィンランドやスウェーデンを歩き回って見つけたもの。蚤の市やセカンドショップで買い求めた、マリさんの宝物です。

マリさん:
「昨年はじめて北欧を旅しました。ちょうど転職するタイミングで、2ヶ月くらいかけて、ロンドン経由で、バルト三国、フィンランド、スウェーデンなどを周りました。ゲストハウスに泊まって、気楽な一人旅です。

うつわは、ほんとうは、こんなに買うつもりではなかったんですよ(笑)。 “何かいいのがあったらお土産に” くらいの気持ちだったのに、いざ目の前にすると興奮しっぱなしで……。

すべては持ち帰れないし、店先でうんうん唸りながら選んでいると、奥から店主のおじさんがやってきて、これもあるぞ、あれもあるぞと見せてくれたり、マグカップをおまけしてくれたり、そういうやりとりもいい思い出です。結局、荷物の重量ギリギリで帰ってきました」

マリさん:
「これはARABIAのフローラという柄のプレート。北欧に行くなら見つけたい、と現地でがんばって探し出したアイテムです。この柄が大好きなんです。カップアンドソーサーも見つけたので一緒に買いました。

恥ずかしながら料理がまったく得意じゃないので、自分で作るものと言ったら、朝ごはんにトーストや目玉焼きを焼くくらい。あとはコーヒーをドリップする程度なんです。

シンプルなごはんでも、北欧のうつわがあるだけで気分が上がりますし、見映えがよくなってありがたいです。同じメニューだとしても、これまでに集めてきたお気に入りのなかから “今日はどれを使おう?” と選べるよろこびもある。そういうのが、うつわのいいところかなと思います」

 

大好きなものと暮らすよろこびを

そこにあるだけで元気をくれるもの。お話を聞きながら、北欧のうつわを眺めていたら、そんなふうに思えてきました。

日々、自分や家族のために、ごはんを作って食べる。疲れて帰ってきても、台所に立つのがいやじゃなくなる。

じっくりお財布と相談して選んだうつわも、見た途端に「好き!」って即買いしたうつわも、どれもこれも私を助けてくれるもの。マリさんとお会いした後に、自分の家の食器棚を眺めていたら、ありがたい気持ちが湧いてきました。

実はマリさん、今年もまた長旅をする予定があるのだそう。今度はモロッコとポルトガルが目的地。「バザールにも行きたくて、きっとまたうつわをいろいろ買ってしまうかなぁ」と楽しそうに教えてくれました。

さて次回は、どんなお宅の食器棚に出会えるでしょう。どうぞお楽しみに。

 

【写真】木村文平

 

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マリ

インテリアやDIYが好きで、かわいいものを集めるのが好き。幼少期には、姉と部屋を取り替えて遊んだり、小さなカウンターを自作したり、しょっちゅう模様替えをしながら過ごす。現在はリノベなしの団地に暮らしている。

 

※記事に登場したアイテムは、全て私物です。過去に購入したものを紹介しているので、現在手に入らないものもございます。どうぞご理解、ご了承いただけると幸いです。

 

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