【クラシコムのしごと】「私たちが読みたい」メルマガを書くには? 執筆担当のスタッフに密着しました

編集スタッフ 吉野

『北欧、暮らしの道具店』では、週に4回ほどメルマガをお届けしています。

2007年の開店と同時に配信が始まり、今年で17年目になる当店のメルマガ。新発売・再入荷商品などを中心に、その日の当店のニュースをお知らせしています。

メルマガの執筆を担当しているのは、当店の「お客さま係」である、カスタマーリレーショングループのスタッフ。主にお問い合わせへの対応など、お店とお客さまとを繋ぐ役割を担っています。

一見そこからは少し離れて見えるメルマガ執筆も、大切にしていることは共通しているようで……。今回は、5名のスタッフにインタビューしました。

▲左からスタッフ西野、市原、石井、渡邉、和田

 

「小話」から始まるのも17年続いています

その日に発売された洋服や雑貨、コンテンツについてお届けするメルマガ。ですが、始まりの挨拶ではスタッフが育てている植物の話、連休に行った旅行の話……と、小話から始まるのが印象的です。

渡邉:
「小話をメルマガの挨拶として入れるのは、17年間ずっと変わらず続いていることですね。

開いたらお客さまがほっとひと息つけるようなメルマガにしたくて、小話がそれを助ける要素のひとつになればな……と。このお店で働いている人ってこういう人たちなんだな、自分と似た感覚の人もいるんだな、と感じていただけていたら嬉しいです」

▲他にも「西野さんはいつも励ましてくれる」「市原さんは等身大なエピソードに安心する」などなど、スタッフの個性が出ているのだそう

市原:
「小話以降も気持ち良く読み進めていただける温度感でお届けしたいと思っています。でも、自分の暮らしのことや感じていることを書くのはときに難しくて、悩むこともありますね。

今日はどんなことを書こうかな? 心がざらりとする内容になっていないかな?と、読んでくださる方に思いを馳せながら、最近の近況や感じたことを振り返って、綴っています」

和田:
「『どなたが読んでも心がざらりとしない』ことは、小話に限らず、メルマガ執筆をする上でみんなが意識していることですよね。

私がそのためにずっと心に留めておきたいと思っているのは『メルマガは、お客さまにとってプライベートな場所にお届けするもの』ということです。これはメルマガ担当になったばかりのころに、渡邉さんから聞いたことでした。

誰でも見られるSNSなどと違って、メルマガは私たちからお客さまのメールボックス、つまりプライベートな場所にお届けしている。だからどんな方が、どんな状況下で読んでも、嫌な気持ちにならないような内容にしたい、と。

『プライベートな場所』って、本当にそうだなあとハッとして、ずっと覚えています」

 

「私が書きたいもの」ではなく「私が読みたいもの」に

石井:
「他にも意識しているのは、読んでいるお客さまを焦らせてしまう文章になっていないかな、ということ。商品をご紹介する内容だからこそ、お買いものを急かすようなトーンにはならないようにしています。

言葉ひとつで受け取り方も違ってくると思うので、お伝えしたいことが適切な表現になっているか、いくつか案を並べてじっくり考えることも多いです」

渡邉:
「言葉の使い方、伝え方のニュアンスは、クラシコム共通の編集方針に沿って調整しています。それは、メルマガとお店とで、文章のトーンが変わらないようにしたいからです。お店を人だとするなら、 “人物像” のようなものでしょうかね。

きっとメルマガを読んでくださっている方は、当店のトーンも含めて心地よさを感じてくださっている方が多いのではないかな……と考えていて。商品ページや動画、読みものと並べたときに、メルマガだけ違うトーンになっていないかな?ということは気にかけています」

渡邉:
「メルマガは、お店の商品ページや関連する読みものをもとに執筆しているもの。なので大きくトーンがずれることってなさそうなのですが、『メルマガで』読みやすい形に構成し直している分、元のページとは印象が変わってしまうこともあります。

限られた文字数のなかで、何を、どういう順番で、どんな言葉で伝えるか。お店と同じように『私が書きたいもの』ではなく『私が読みたいもの』になるように、チームみんなで試行錯誤しています」

 

お客さまの「気配」を感じ取りながら

市原:
「入社前、私自身お客さまとして、メルマガを楽しみに読んでいたんです。いつもお店の情報を一番最初に知るきっかけになっていたなあ、と。

だからこそ『ずっと継続して読んでくださっている方がいる』ということは、いつも意識の中にあります」

石井:
「メルマガには直接お客さまから感想をいただく場所はないのですが、みんなそれぞれどこかからお客さまの『気配』を感じ取りながら執筆していますよね。

だから、不思議と一方通行には感じていないです」

渡邉:
「そうですね。私がお客さまの『気配』で思い出すのは、昨年4月の終わりにお届けした『春の私におつかれさまを』という、バスグッズやシルクのインナーなどをまとめたメルマガ。

私自身、新生活を駆け抜けた自分を労わりたいという気持ちがあったタイミングで、お客さまにもそういう方がいらっしゃるかもと思ったんですよね」

▲渡邉が当時書いたメルマガ「春の私におつかれさまを」

渡邉:
「後日、そのメルマガを開けてくださった方がたくさんいたことが分かって。ああお客さまも私たちと同じだったんだ、と嬉しくなったのを覚えています」

西野:
「送信予約ボタンを押すとき、日付や時刻と一緒に『登録者全員に送ります』という確認のメッセージが表示されるんです。

言葉の表現で気になるものはないか、入力ミスがないか、と最後まで慎重に確認しているのですが、画面の向こうにたくさんのお客さまがいらっしゃる、という緊張感は常にあるかもしれません。

メルマガの執筆担当になってから8年経ちますが、送信予約ボタンを押すときには、いまだにドキドキと手が震えることがあります。

『お送りしたものの先にお客さまがいる』ということは、メルマガ以外の業務とも重なるなと感じています」

 

これからも、楽しんでいただきたいから

渡邉:
「メルマガもお送りし始めてから17年目、変わってきたこともありますね」

西野:
「もともとのメルマガはテキストのみでしたが、写真も入れられるようになったことは大きかったです。写真だけでパッと見て分かる情報もあるので、その分テキストでお伝えできる情報が増えましたよね」

▲テキストのみだったときのメルマガ

▲写真を載せられるようになり、お伝えできることが増えました

石井:
「最近始めてみたのは、アパレルアイテムをご紹介するときに、全身のコーディネートが分かる写真を多めに載せること。自分が着たらどんな感じになるだろう、とイメージしていただきやすくなっていたらいいなあ、と思っています」

***

メルマガを改めてじっくり読んでみたら、一番最後に表示される、読みものや動画のバナーも毎回変わっていることに気づきました。

スタッフに聞いてみると、季節やそのときの自身の気持ち、気になると感じたコンテンツを選んで載せているとのこと。小話だけではなく、ここにもスタッフそれぞれの個性が出ている場所なのだそう。

書き手のスタッフたちから滲み出る違いも感じていただきながら、これからもメルマガを楽しんでいただけたら嬉しいです。メルマガ登録画面はこちら

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