【スタッフコラム】言葉の表現力をアップしたい!と悩む僕にヒントをくれた2冊の辞典。
編集スタッフ 長谷川
「日本語ってむずかしい!」と、生まれてこの方、日本語漬けの毎日を過ごしているはずなのに思うことがよくあります。
商品ページやメルマガ、日々の読み物をお届けする仕事をしていますと、なるべく正確にお伝えしようと意識しつつ、うまく言いたい欲みたいなものが出てきて、ちょこちょこと指先を邪魔します。そして日本語のむずかしさに、また絡めとられていく……。
LINEのスタンプや絵文字のごとく、ポンポンと押すだけで伝えられたらいいのに。
いやいや、それでは表現しきれない感情だったり、その場の雰囲気だったりがある(と、信じている)。
伝えたい感情や空気を書くために言葉の表現力を上げたいなぁと思いながら、日課の書店通いをしていますと、二冊の本に出会いました。
感謝や不安は、言葉以外でも伝わるから。
「かなしい」「いらいらする」みたいに、感情をそのまま口にすることって、日々の暮らしでもよくあります。ただ、ストレートな言葉はやっぱり強くてグサッとくるし、言わんや文章中で何度も使うのは、すこし拙い感じがする。
そこで参考にしたいのが『感情類語辞典』(フィルムアート社)。「愛情」「感謝」「不安」などを感じたときに、よくする仕草や表情、心の揺れ動きをまとめてくれている用例集です。
先日、恋人が「口を閉じ、顔をしかめて、じっと見つめてくる」という状況に直面したのですが、「あぁ、これはどうやらまずいらしい。ちゃんと話を聞かねば」と僕は思ったわけです。彼女は何も言っていないけれど、何かしらの感情は伝わる。
言い換えるためのフレーズを探す時にも重宝しますが、この辞典をながめていたら、そもそも人間への興味が高まりました。自分と周りの人々を観察することで、言葉の表現力も磨かれていくのかもしれません。
日本語には特に多いそうです。オノマトペ。
「ぞくっ」「ぞくぞくっ」「びくっ」「ひやり」……似たような言葉でもニュアンスが違うなぁと思える。でも、そう思えるのって日本人がちょっと特殊みたいです。
これらの擬音語や擬態語をひっくるめてオノマトペと呼びますが、日本語は他の言語に比べてもオノマトペが豊富なんだそう。そんな日本語のオノマトペをまとめにまとめて600ページ超えの文庫に収めたのが『擬音語・擬態語辞典』(講談社学術文庫)。
それぞれの言葉を細かく表現してくれているだけでなく、文学やマンガ、新聞などで使われている用例も載っているので、読み進めていても楽しいです。
日本語の持つ豊かなオノマトペを取り入れられたら、表したい感情や言葉がもっと豊かになるはず。
あとは、子どもや海外からいらっしゃった方に「『そそくさ』と『そわそわ』ってどう違うの?」と聞かれた時も、これでちゃんと説明できますね。
以前、編集者・ライターの一田憲子さんが「編集と書き方の勉強会」をしてくださった時に、経験豊富な一田さんでも「ぴったりくる一言」を絞り出すために苦労していると話してくれました。
感情を表現する言葉も、たくさんのオノマトペも、「これだ!」のひと言につながってくれるんじゃないかなと期待しながら、このゴールデンウィークにページをめくっていました。まだまだ残りもあるので、読み進めて糧にしたいところです。
ご紹介した本はこの2冊です。
感情類語辞典 フィルムアート社 (2015/12/25) |
擬音語・擬態語辞典 (講談社学術文庫) 講談社 (2015/5/9) |
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