【店長コラム】40歳になった今思い出す、子どもの頃に出かけた「家族旅行」。
店長 佐藤
子供の頃「家族旅行」は一大イベントでした。
わたしや兄が子供だった頃。
毎年夏休みになると、父が必ず旅行を計画してくれました。
出かけた場所で今でもよく覚えているのは日光や那須高原、福島県の磐梯山、長野県の白馬村、北海道の摩周湖でみた景色も。それから祖父母が住んでいた博多にも車や飛行機で何度も行きました。
まだインターネットもカーナビも普及していない時代。だからこそ「準備」が大切だったのでしょう。
旅行が近づくと、分厚い道路マップや観光案内の雑誌を開いて念入りにマーキングをしたり、自作の旅程表みたいなものを準備していた父の姿もうっすらと覚えています。
それくらい「家族旅行」というのが、親にとっても子供にとっても一大イベントだったわけです。
40歳になった今、思い出すことと言ったら…
たいそう時間をかけて、今の時代とは比べものにならないくらいの準備をして臨んでくれたであろう「家族旅行」なのに、わたしが大人になった今思い出すのはよくないことばかり。
乗り物酔いをしやすかったので、移動中、船に乗れば酔い、車に乗れば酔い… なかなかつらかったこと。
父が旅先でスリにあって、持参していた旅行費用がぜんぶパー。家族全員でくらい気持ちになって、ホテルにも事情を説明して「あとで代金は振り込みます」なんて交渉したことも苦い思い出のひとつ。
計画好きの父は、道中、旅程表どおりに行動することも好きで「ここにいられるのはあと3分!次のスポットへ行くぞ」なんてカウントされて、兄はとりわけ面倒臭そうにしていたなぁとか。
もちろん、それらを上回る数の楽しい思い出もあるのですが、真っ先に思い出すのはそんな苦くて渋い思い出ばかりなのです。
父の手厚い準備とは裏腹に、思い出というのはなんとも薄情なものです(苦笑)
なぜか自分もせっせと「家族旅行」を計画している。
(一体いつ以来だろう。グアムに到着した日、虹を見ることができました)
息子が3歳になった年から、我が家も毎年夏になると家族で旅行に出かけるようになりました。そうなってから今年は3回目の夏。
今年は家族で出かける初めての海外ということでグアムを旅行してきたのですが、旅先でエメラルドグリーンの海を眺めながら「子供時代の記憶や思い出をせっせとなぞっているなぁ」と思ったんです。
父がしてくれたことを、なぞっている。なぞろうとしている。
息子が大人になったとき家族旅行のうつくしい記憶なんてそんなに残っていないだろうに、なんでせっせと自分も家族旅行を計画しているんだろ?
そう考えはじめたら、自分でしていることが不思議でならなくなりました。
でも、思い当たりました。
そうだ、わたしが楽しみなんだと。わたしにとっての「一大イベント」なんだと。
よいことも、よくないことも起きるサイクルのなかで「夏の旅行」を楽しみに一年間がんばって働く。
働いたお金のいくらかを使って「家族が喜んでくれるだろう」という一方的かもしれない理由づけで胸を張って旅行を計画する。
もしかしたら父もそうだったんだろうか。だったらあのとき、もうちょっと楽しそうにしてあげればよかったな。そんな思いが駆け巡ったりもしました。
ちなみに父はいま71歳で、リタイア後もまだまだアクティブに暇を見つけては日本各地を旅しています。先日も母とふたりで北海道旅行をしてきたようで、自慢気にたくさんの写真をインスタグラムにあげていました。
この先年齢とともに父が今ほどアクティブではなくなる日が来たとして、そんなときわたしが懐かしく思い出すのはやっぱり、子供時代に連れていってもらった旅先での父なんじゃないかと思います。
旅行費用を盗まれて真っ青になっていた父。旅先でもタイムマネジメントにうるさく「ここは会社じゃないよ!」と文句をぶつけたくなった父。
今ではわたしが頑張るための燃料になっている「家族旅行」だけれど、ずっと先の未来に息子がなんらか親の人間臭いところを思い出してくれるように、せっせと家族旅行の苦くて渋い思い出をつくり続けよう。そんなことを思いました。
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