【インテリア特集】第3話:使いやすさが第一!ダイニングキッチンと、愛用の器
ライター 嶌陽子
東京・世田谷区等々力にある、家具と雑貨の店「巣巣」の店主、岩﨑朋子さんのご自宅を訪ねるインテリア連載・第3話。
築40年以上のマンションの古い味わいを生かしてリフォームし、心地よい空間を作り上げています。
今回は、料理上手な岩﨑さんが「一番好きな場所」というダイニングキッチンと、お気に入りの器を紹介します。
(※登場するアイテムは、全て私物です。過去に購入したものを紹介しているので、現在手に入らないものもございます。どうぞご理解、ご了承いただけると幸いです)
第3話
使いやすいダイニングキッチンと、
愛用の器
窓から光が差し込む気持ちのいいダイニングキッチン。電子レンジが置いてあるのは、岩﨑さんがデザインしたオリジナルの調理台。
毎日使うキッチンは、少しでも不便をなくす工夫を
リフォームするにあたって、岩﨑さんが特に力を入れたのがダイニングキッチン。
料理好きの岩﨑さんは、リフォーム時に新しくしたキッチンカウンターも、使い勝手と見た目の両方にこだわって、自分でデザインしたそうです。
コンロの上にあるのは、ずいぶん昔に購入したル・クルーゼのミルクパンと、長年愛用しているフィスラーの片手鍋
たとえばガスコンロの部分。左隣にある流しより少し低くなっているのが分かりますか?
これは、岩﨑さんのこだわり。鍋をふったりする時は、少し低めの方が作業しやすいと考えたからなのだそうです。
自分の身長に合わせ、ちょうどいい高さに設計しました。
もうひとつ、こだわったのが、キッチンカウンターとダイニングテーブルとの間に置かれた調理台。
この上で、料理の盛りつけをしたり、お茶を入れたりしています。これも岩﨑さんのデザイン。
調理台の、ダイニングテーブル側の側面。左側はよく使うお茶セットのコーナー。右側は、よく見るレシピ本や圧力鍋の説明書などを入れるラックにした。
キッチンカウンター側の調理台側面。オープン棚には、食器棚とは別に、毎日のように使う器を収納。扉付きの棚には保存容器などを入れている。
毎日立つ台所は、台の高さや道具の取りやすさなど、ほんのちょっとしたことがとても大切。少しでも不便なことがあると、無意識のうちにストレスになってしまいます。
自分の身長や、料理をする際の導線、お茶を飲むといった日々の習慣など、あらゆる視点から考えて作られた岩﨑さんのキッチンは、とても使い勝手が良さそうです。
岩﨑さんがかなり以前、木工を勉強し始めた頃に自分で作った、キャスター付き棚。炊飯器や土鍋がぴったり納まった。
「すぐ手に取れる場所に」が収納の基本!
流しの前にある窓には、ワイヤーが張られています。そこにS字フックを吊るし、お玉やフライ返しなど、よく使う道具をひっかけています。
岩﨑さん:
「すぐ手に取れるし、洗ってもまたかけておけばいいので、とても便利。洗ったふきんをかけておくこともあります」
ワイヤーは、窓枠に固定するための金具などと一緒にホームセンターで購入し、自分で張ったそうです。
ダイニングテーブルの上に置かれたかごには、お箸やカトラリー類が入っていました。
岩﨑さん:
「これも毎日食卓で使うものだから、その都度しまい込むのは大変でしょう?洗って拭いたら、またここに入れておきます。手間いらずで、楽ですよ」
「使う場所になるべく近いところに」、「使用頻度の高いものは出しておく」。
これが、岩﨑さんの物の置き方のセオリーのようです。
岩﨑さん愛用の器と道具。
食べることが好きで、料理上手な岩﨑さん。
ふだんからよく使っているという器や道具をいくつか見せてもらいました。
吉村和美さんのプレートやボウル
ぱっと目を引く、美しい色が特徴の吉村和美さんの器。少しずつ買い足していて、さまざまな色を持っているそうです。
意外とふだんには使いにくいのでは……と思いきや、「フルーツなどを盛ると、とても映えますよ。この前、水色の器に白身魚のお刺身を盛りつけたら、すごくきれいでした」とのこと。
木下宝さんのガラス器
富山県在住のガラス作家、木下宝(きのしたたから)さんのグラスやピッチャー。温かみのある形が印象的です。
岩﨑さん:
「ガラスという素材なのに、人の手の温もりが感じられるところが好きです。 余分な要素がなく、機能性も高いです」
陶房遥(吉田信介さん)の急須
福井県・越前焼の作家である吉田信介(よしだしんすけ)さんの作品。
岩﨑さん:
「デザインのよさと、使い勝手の良さのバランスがとれているところが気に入っています。お茶もたっぷり入れられますよ。使い込むほどに味わいも増してきました」
木のカトラリー色々
たくさん持っている木のカトラリーは、ラトビアの木べらやフォーク、ひっかけられるスプーンなど。
先がこげ茶のものは、木工作家・宮園なつみさんのアイスクリームスプーン。右端は岩﨑さんが自分で作ったバターナイフです。
器を選ぶときは、直感を大事にしているという岩﨑さん。
岩﨑さん:
「ぱっと見たときに全体が気に入るかどうかが一番重要です。色、雰囲気、形、手触りなどを総合的に一瞬で判断しているんだと思います。
仕事を通じて作家の知人も増えてきたので、最近はより作り手の顔がわかる器や道具が増えてきましたね」
デザイン、雰囲気、機能性のバランスが取れていることが、心地よさにつながる。岩﨑さんの器選びの際の基準は、インテリアにも通じるような気がしました。
次回、最終回では、かごやフックを使った、真似したくなる収納アイデアをたっぷり紹介します。また、岩﨑さんの考える「居心地のいい住まいづくり」のポイントも聞きました。
どうぞお楽しみに!
(つづく)
【写真】木村文平
もくじ
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岩﨑 朋子
シンプルで機能的な家具や雑貨を集めたお店 「巣巣」 店主。「鳥が巣をつくるときのように、気に入った家具や雑貨を集め居心地のいい空間をつくり上げてほしい」という思いから、店内には無垢材など上質の天然素材でできた家具や雑貨が並ぶ。巣巣の家具デザインも担当している岩﨑さんご自身がデザインした巣巣オリジナルの家具や、アジアのアンティーク家具も。お店は月曜定休、東急大井町線等々力駅より徒歩10分。http://www.susu.co.jp/
ライター 嶌陽子(しま ようこ)
編集者、ライター。大学卒業後、フリーランスでの映像翻訳や国際NGO職員を経た後、2007年から出版社での編集業務に携わる。2013年からフリーランスで活動を始め、現在は暮らしまわりの記事や人物インタビューなどを手がける。執筆媒体は『クロワッサン』(マガジンハウス)、『天然生活』(地球丸)など。プライベートでは1児の母として奮闘中。
▽岩﨑さんの著書はこちらからご覧いただけます。
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