【ノルウェー日記】ささっと作って、ささっと食べるのがルール?ノルウェーのお弁当事情。
ライター 桒原さやか
桜満開!というメッセージとともに、母からおくられてきた写真。
思い出すのは、母のお弁当。
春になると、母がつくってくれたお弁当を思い出します。
地元が関西の母がつくるおにぎりは、いつも俵型。
とにかくお腹いっぱいになってもらうことが最優先な母のお弁当は、茶色いおかずがメインでした。ギュウギュウに詰められたおにぎりやおかずは、いつもフタでペチャンコに。
あのころはお弁当のフタを開けるのがいつも恥ずかしくて、家に帰ってから母に「なんであんなにいれたのー?」と怒ることもしばしば。
今になって思うと、悪いことをしたなぁと思います。そして思い出せば出すほど、母の不恰好なお弁当が、今では愛しくてたまりません。
はぁー、お弁当って愛ですね。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、実はここノルウェーでも、幼稚園や学校にお弁当を持っていく習慣があるんです。
ささっと作って、ささっと食べるのがルール?
学校や遠足に持っていくお弁当のことを、こちらでは「Matpakke(マートパッケ)」と言います。マートは食べ物、パッケは包みなので、お弁当に近いイメージだと思います。
ノルウェーのマートパッケは日本と比べると、とってもシンプル。
パンにバターをたっぷり塗って、チーズや野菜、ハムをのせたら出来あがり!その他には、オレンジやりんごなどのフルーツが添えてあったり、ジュースやミルクがついていたりしています。
チーズの上にマーマレードをのせるのも、定番の組み合わせです。
ノルウェーのお母さんやお父さんは、このマートパッケを朝作って、学校へ行く子供に持たせているのです。友人のママに聞いてみたところ、「毎朝がんばってつくっているわよ〜」と言っていました。
日本のお弁当をつくる労力と比べると、ずいぶん楽そうに感じちゃいますが、朝の忙しい時間に作るのはやっぱり大変ですもんね。
そしてノルウェーの子供たちは、このマートパッケを10分くらいでパパッと食べてしまいます。はじめて見たときは、あまりの早さに正直おどろきました。
ランチの時間を楽しむよりも、早く遊びたい〜!という気持ちの方がきっと強いんでしょうね。
驚くほどあっさりしている、15分のランチタイム。
ノルウェーのキッチンに必ずひとつはある、Matpapir。この白い紙でパンを包むのです。
この素早いランチの文化は、大人になっても脈々と受け継がれています。夫の会社は社食がでるのですが、みんな15分ほどで食べ終わってしまうのだとか。
わたしにはどうも寂しく感じてしまい、友人にこんなことを聞いてみました。
わたし「お昼の時間、もう少しゆっくりしたいと思わないの〜?」
友人「お昼ご飯はささっと食べて、仕事をして、早く家に帰った方がいいでしょ?」
逆に驚かれたような顔で、あっさり答えられてしまいました。うーん、確かにその方がノルウェーの人たちには、合っているような気がします。
何度もこのコラムで書いていますが、ノルウェーでは食べ物も、生活も、仕事も、すべてが家族や子供を中心にまわっているんだなぁとつくづく思うのです。
そしてそれと同時に、日本の食の文化は「愛」なんだわ!と、ここに来てから改めて感じています。
母のメールとともに送られてくる写真がいつも楽しみです。
ライター 桑原さやか
『北欧、暮らしの道具店』で、お客さま係として6年間働いていた元スタッフ。旅が好きで、冬の旅行で訪れたノルウェーの北極圏にある町、トロムソに一目惚れ。スウェーデン人の夫と共に、2016年6月より移住をはじめている。
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