【フィットする暮らし】 第4話:ひとりの母として、家庭料理をつくる理由。ワタナベマキさんのレシピの秘密。
編集スタッフ 齋藤
全4話でお届けしている特集「フィットする暮らし」vol.15となる今回は、料理家のワタナベマキさんに登場いただいています。
最終話では、ワタナベさんが家庭料理をつくる理由や、レシピへの想いを伺いました。
例えば素材選びから膨大な時間をかけて作り出すシェフの料理もあるけれど、ワタナベさんが提案するレシピは誰もが作れる家庭料理。
それは時々味わうレストランでの「非日常」ではなく、わたしたちの日常を作り出すものです。
ワタナベさんの料理のルーツは、祖母と母と暮らしていた少女時代にありました。
祖母のつくる料理が、わたしの手本に。
ワタナベさん:
「わたしの祖母は近所の主婦を相手に、梅干しやお味噌、沢庵漬けなど日本の昔ながらの料理を教えていました。そして母も料理好き。
幼い頃食べさせてもらったふたりの家庭料理が、わたしの手本になっているんです」
ワタナベさん:
「料理と一言で言っても、レストランもあれば懐石料理なんかもあります。でも、わたしが作っていきたいのはあくまでも家庭料理。
それはふたりが極自然にわたしに作ってくれていたものです。それらをきちんと受け継いで次の世代へ残すこと、それが大切な役目かなと思っています。そしてその受け継いだものをただ真似するのではなく、今の時代や生活にフィットさせていきたいんです。
例えば最近のお母さんは仕事もしているし、時間があまりありません。でもおいしいものを作りたいなら『手間』はかけた方が良い。だからレシピをできるだけシンプルにして素材の味を生かし、『手間』はかかるけれど時間のかからないレシピを考えるなどしています。
仕事をするひとりの母として『もっとこうだったら』とわたし自身が感じられたことが、きっと誰かにとって必要とされるものであると思うんです」
料理の勉強は「おいしいもの」を食べるのが一番!
祖母と母の料理を手本に、職場のお弁当などを作ることから今の仕事をスタートしたワタナベさん。
料理の学校に行った時期もあったそうですが、料理をおいしく作るには、それよりも大切なことがあるといいます。
ワタナベさん:
「以前代官山にある料理学校に通っていました。そこの先生が『料理が上手になりたかったら料理教室に行くより、おいしいものを食べに行った方がいいよ』と言っていて、なるほどなぁと思いました。
わたし自身レシピが浮かぶのは、ひとりで旅行に行ったり、レストランにおいしいものを食べに行っている時なんです」
元々旅行好きというワタナベさん。お子さんに手がかからなくなってからは、旦那さんに任せてひとりで旅行にも行くそうです。
家族ができると「わたしだけ良い想いをするなんて」と、妙に気を遣ってしまうことも。でもまず自分が「おいしいもの」を食べて、そしてまるでお土産を持ち帰るように「これを作ってあげよう!」と思う。そうすればきっとポジティブに料理と向き合えます。
家庭で料理をつくることは、長い期間つづいていくこと。だからこそまず自分にその喜びがなくては。
そして自分が味わった気持ちを家族と別のカタチで分かち合うことができれば、それはステキなことかもしれません。
「おいしいもの」が好きなあらゆる人に、レシピを届けたい。
ワタナベさん:
「わたしは、子どもにおいしいものを食べさせたいと思いながら料理を作ること、それ自体が喜びだと感じるんです。家族とすれ違ってしまうこともありますが『朝ごはんは一緒』と決めて、みんなで時間をとるように。
わたしは祖母と母、ふたりが日々料理を手作りしてくれたことに対し、尊敬の気持ちを抱いています。なので自然と、わたしも子どもにそうしたいなと思える。
そして自分の子どもだけではなく、料理が好きな人にも、苦手な人にも、おいしいものが好きなあらゆる方にレシピを提案していけたらいいなと思います」
おいしいものを食べたとき、「食べさせたい」と頭に浮かぶ人はいますか?
外でおいしいものを食べたとき、ふと「食べさせたいな」「作ってあげたいな」と頭に浮かぶ人がいるだけで、暮らしの中にひとつあたたかな光が灯るように思います。
高級なフルコースではなく毎日のものだからこそ、無理をしたらつづきません。上手に肩の力を抜いて、でもおいしいものを。
ワタナベさんのレシピは誰もが自然体でいられ、「おいしい」という気持ちを分かち合うことを願って作り出されているように感じました。
全4話を通し、料理家・ワタナベマキさんの「フィットする暮らし」をお届けしました。特集の最後はワタナベさんご自身の言葉で、締めくくりたいと思います。
ワタナベマキさんにとっての、フィットする暮らしとは?
私の仕事の原点は普段の生活。
朝昼晩とごはんを作り、掃除をして洗濯をして、子供を育ててと、日々の暮らしが原点です。
生活のなかから、こうしたらもっと使いやすくなる、
私にとって生きる上で一番大切なのは食べること。
食が生活の中心となって、
美味しいものを食べたい、
美味しいものを作りたい、
美味しく作れる道具とは?
美味しそうに盛れる器とは?
自分なりの心地よさを求めて、
常に探究心を持って、自分のフィットする暮らしをこれからも作って
(おわり)
【写真】木村文平
もくじ
ワタナベマキ
料理家。雑誌、広告などで旬の食材を使用した季節感ある料理を提案している。祖母から受け継いだ保存食を元に、今の時代にも作りやすさとやさしい味付けで何度も作りたくなる味が人気。
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