【60代でやめたこと、はじめたこと】後編:67歳でインスタグラマーに。「何者でもない自分」のおかげで、今の幸せがある

編集スタッフ 壽山

今年のはじめに、当店のVネックニットを着用した私服コーデを見せてくださった 小和田妙子 ( おわだたえこ ) さん。その記事には、たくさんのお客さまから反響をいただきました。

もっと小和田さんのことを知りたいという思いから、今年70歳を迎える節目に、改めて「60代でやめたこと、始めたこと」について全2話でお届けする本特集。

前編では終の住処のことや、仕事をやめたきっかけなどをお聞きしました。つづく後編では、60代で新しくはじめたことについて詳しくお伺いします。

前編をよむ

60代でインスタグラマーになったきっかけ

3日に1回のペースで、Instagramに日々のコーディネートを投稿している小和田さん。ひょんなきっかけから雑誌やメディアで取り上げられるようになり、今ではフォロワーが7.5万人に。

小和田さん:
「犬と暮らしていたときは、犬のことをSNSで投稿していたんです。犬を見送って一度はやめたのですが、なんだか毎日が単調に感じてしまって。またやってみようかなと。

衣食住どんなテーマにしようと考えたとき、もともとお洋服が好きだったのでコーディネートでも投稿してみようかなと、すごく気軽に始めました。だんだんとリアクションやコメントをもらえることが、日々の小さなよろこびになって、その積み重ねが張り合いになって、2年半ほど続いています。

▲取材当日はカフェでお話を伺いました

小和田さん:
「ありがたいことに雑誌やメディアでお声がけいただくことがあり、こうして取材していただける機会が出てきました。長年、仕事では撮影のサポート役としてずっと裏方仕事をしていたので、最初は人前に立つことが苦手だったのですが……。

せっかく目に留めていただけたのだから、えいやっ!と勇気を出して、もう冥土の土産にでもなればという気持ちで挑戦しています」


25年ぶり。コンパクトな賃貸ぐらし

広々とした持ち家を手放して、1DKの貸アパートで暮らしはじめた小和田さん。ちいさな空間での二人暮らしを、不便に感じることはないのでしょうか?

小和田さん:
「皆さんそうおっしゃるんですけど、私としてはすごく快適です。小さな部屋なので、掃除も家事も楽ちんですし、あれこれ気を回さないといけないことも減りましたから。服も最小限にしたら、あまりコーディネートに悩まなくなりましたし、あるものをパズルのように組み合わせるのが今は楽しいです。

たとえば本棚に入りきらなかった、どうしても捨てられない本などは、備え付けの倉庫にしまってあります。一畳ほどのスペースですが、スチール棚など入れてうまく使えばそれなりに収納力もあって。

倉庫に入れたものを見ることはあまりないのかもしれませんが、どうしても捨てられないものはあるんだな、しまっておくだけでも心穏やかに暮らせるんだなと、今は思っています」


ずっと二人きりで、煮詰まることはありませんか?

ちいさな部屋にずっと夫婦二人きりで、煮詰まったりケンカになったりはしないのでしょうか?

小和田さん:
「たとえば『電気を消し忘れないで』などの小言は日々もちろんありますよ。ただ口頭で伝えずに付箋に書いてスイッチのところに貼っておくんです。なるべく波風を立てないよう工夫はして、結局は一人でいるより二人の方が楽しいんです。

食事のとき以外は、お互い好きなことをしています。夫は音楽を聴いたり読書をしたり写真の勉強をしたり。私は食いしん坊だから、好きなものを食べるために毎日食事の支度をしているので、それ自体が楽しいですし、『今日のごはんは美味しくできたな』とか、もうそれだけで幸せなんです」

小和田さん:
「もともと夫婦とも、特別なことがなくても楽しめるタイプで。どこか遠くに行きたいとか、どうしても欲しいものがあるとか、そういうのがあんまりなくて。だから変な話、三度三度ごはんが食べられて、お風呂に入れて、屋根のあるところで眠れたら、もうそれだけで十分なんです。

何もない暮らしは、決して寂しいことではないと思っています。

それに大好きな犬と暮らした思い出もありますし。前の家では春になったら山桜が咲いたり、ミモザの花もたくさん咲いて犬に花冠をつくったり。秋は窓を開けると山紅葉が色づいていたり、鳥の声で目を覚ましたり……心の贅沢をいっぱいしてきましたから。

特別なことがなくても、思い出だけで生きていけるなあと思うんです。こんなこと言ったら、なんだかすごくお婆さんみたいだけど(笑)」

小和田さんのその感覚は、どこに行っても、誰といても、何があっても、きっと揺るがないもの。心の奥にキラキラと光る世界が広がっていて、いつでもそこに行けるんだろうなと思いました。


「何者でもない自分」が人生を支えてくれた

小和田さん:
「もちろん最初からそんなことを思っていたわけではないですよ。

主人と写真館を始めた頃は、もっとがむしゃらだったと思います。仕事が軌道に乗ったから、テナントを出て、ローンを組んで写真館をできる家を建てようとか。服が好きだからそれなりに買い物もしましたし。でも、どんなときも『自分は何者でもない』というのを忘れないようにしていました。

仕事が順調なときも、これが当たり前なわけじゃない。ずっと今の状態がつづくわけじゃないし、今が一番よい状態なのかも分からない。ぜんぶ無くなったとしても、それは悲しいことではないし、原点は「何者でもない自分」なんだぞって。

当時から、何もなくたって、三度のごはんが食べられて、お風呂に入れて、お布団で眠れたら、それだけで十分じゃないと思っていました」

とはいえ今も月に1度のお楽しみは作るようにしていて、5月は美術館でエジプト展をみて、6月はお友達とコストコに行って買い物してワイワイするのよ、とお話してくれました。

▲こんなブローチがあったらと刺繍で作ったもの。バッグやアクセなど、気ままなハンドメイドも楽しい

何者でもない自分に、一度は悩んだことがある方も多いのではないでしょうか。かくいう私も「何者かにならなくてはいけないのかな?」と戸惑った時期がありました。

「何者でもない自分」が歩を進めた先に、小和田さんが見ているような景色があるなら、手のひらの幸せを大切に、味わいながら歩いていこう。どんな暮らしをしていても、どんな仕事をしていても、どんな世界が見えるかは自分次第なのかもと、楽しそうに話すお顔を見て思いました。


【写真】鍵岡龍門

【撮影協力】暮らしカフェ



もくじ

小和田妙子

1955年生まれ。夫と静岡県富士宮市で写真館を32年間営み、2024年に閉業。その後自宅を手放して1DKのアパートに引越し、身軽な暮らしを楽しんでいる。日々のコーディネートをInstagramに投稿中

Instagram: @taechan1001


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