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【60代でやめたこと、はじめたこと】前編:終の住処は「賃貸の1DK」。仕事も服も手放して
今年のはじめに、当店のVネックニットを着用した私服コーデを見せてくださった 小和田妙子 さん。その記事には、たくさんのお客さまから反響をいただきました。
もっと小和田さんのことを知りたいという思いから、今年70歳を迎える節目に、改めて「60代でやめたこと、始めたこと」について、全2話でお伺いする本特集。
とあるカフェにお越しいただき、まずは約一年前に持ち家を手放して、ちいさな貸アパートに引越したというエピソードから詳しくお伺いします。
終の住処は、1DKの小さな貸アパート
去年の夏、25年暮らした一軒家を手放して、小さな賃アパートに引越した小和田さん。広々とした一軒家の暮らしから、1DKのコンパクトなお部屋を「終の住処」に選んだ理由を尋ねてみました。
小和田さん:
「うちは夫婦ふたり暮らしで子どもがいないので、一軒家で暮らしていたら、もしものときに家族に迷惑がかかると思ったんです。夫も私も家族に迷惑はかけたくないという思いが強くて。アパートの一室くらいのスペースだったら、どちらかが先立ったとしても、一人で片付けられるかなと思いました。
家を売らずにを貸すことや、売るにしてもまたマンションを購入することを勧められたりもしましたが、不動産を持つと色々な手続きがあるので、そのへんをシンプルにしたくて賃貸を選びました」
そう考えるようになったきっかけは、小和田さんのお兄さまが亡くなったときのこと。
小和田さん:
「兄はマンションで一人暮らしをしていたのですが、とにかく持ち物が多くて。部屋を片付けながら、たった一人分でも物や家を処分するのは大変なことだなと体感しました」
その経験のしばらく後にご主人が病を得て、いよいよ暮らし替えを考え始めたといいます。
いつまで仕事をつづけたらいい?
ご主人と二人で、ご自宅で写真館を営んでいらっしゃった小和田さん。暮らし替えするには、仕事も関係してきます。もともと何歳まで仕事を続けようなど、人生計画はあったのでしょうか?
小和田さん:
「うちは七五三や成人式、卒入学式の写真も撮っていたので、シーズン中は体力勝負なところもあり、60代になってからは『いつまで続けられるかしら……』と漠然とした不安はありました。
とはいえ具体的に何歳までというのは決めずに働いていたのですが、2年半前に夫が仕事の後に倒れたんです。幸い2ヶ月ほどで復帰できたのですが、お互いに長く続ける難しさを感じ始めました。
屋外ロケができるようにと、敷地内には樹木や花を植えて庭づくりもしていましたが、とにかく家も庭も維持するのが大変だったんです。夫が倒れたこともあり、体が動くうちに片付けなくてはと思って。
リピーターのお客さまがほとんどだったので、迷惑がかからないよう緩やかに仕舞う準備も進めながら、去年の夏に写真館を閉めて、家も手放すことにしました。私が68歳、夫が77歳のときです」
「所有すること」をやめてみたら
自宅を兼ねた写真館を手放し、持ち物もぐんと減らした今の暮らしについて、どう思われているのでしょうか。
小和田さん:
「今は、持たないことの気楽さみたいなものをすごく感じています。
服も二人分で一畳半ほどのクローゼットに入るだけ。器もトレイに朝食用と夕食用とをセットしておいて、最低限のもので回しています。
よく後悔してない?と聞かれますが、寂しいとか悲しいという気持ちは、不思議とわいてこなかったです。負け惜しみとかでなく、何もない暮らしが気楽というか、今の私は楽しい。うまく言葉にできない感覚なんですけれど」
小和田さん:
「もともと断捨離するまでは、全然捨てられない性格だったんです。かわいいリボンとか包装紙とか紙袋とか、いつか使うかもしれないと取っておくタイプだったのですが(笑)
いざ家を手放すことが決まったら、期日もあったので、業者の方の力も借りて一気に処分しました。
私の場合、物を持つ豊かさみたいなものを楽しんでいた時期もありましたが、ここ数年は物に縛られているような感覚があったのかもしれません。だから手放したら、すごくスッキリしたんです。自分でもこんな気持ちになるとは思いませんでした」
60代の大きな出来事は、愛犬との別れ
60代でいちばん印象的だったことについて尋ねると、愛犬との別れと小和田さん。
小和田さん:
「前の家を建てたあと、40代から大型犬を飼い始めて、3頭のラブラドールと暮らしていました。それから20年近く犬が中心の暮らしをしていたので、7年前に最後の子を看取ったあと、犬がいない生活に最初は戸惑いもありました。
たとえば出かけるときに食事の支度や雨の備えをしたり、出先で日陰がある駐車場を見つけたり。外出するのも山とかドッグランなど、自然のなかが多かったですから。犬が家に入るときに足を拭く雑巾を無意識に洗ってしまい、もう必要ないんだったとなったり。夫婦ふたりの生活は静かで、最初はなかなか慣れませんでした」
小和田さん:
「でも、ちゃんと見送ることができてよかったです。あの子たちを残してはいけないと思っていたので。また犬を飼えたらという気持ちもあったけれど、先のことを考えたらできませんでした。
ただ今は、自分たちのことだけ考えられるありがたみのようなものを感じています。
犬との暮らしや、仕事の面でも、いつも先々のことを考えて、いろいろなことに気を配りながら暮らしていましたが、今は自分たちのことだけを考えられる。それって、心も体も軽くなる感じがして、しみじみありがたいことだなと思うんです。
だからなのか、最近は朝起きるとすごくお腹が空いてるんです。なので朝からいっぱい食べて、もうそれだけで幸せなんですよね」
小和田さんが60代で経験したことを羅列したら、大変なことの連続のように思えそうですが、お話してくださった小和田さんは、なんだかとっても清々しい表情をされています。
それはきっと今が楽しいから? つづく後編では、60代で始めたことについて詳しくお伺いします。
【写真】鍵岡龍門
【撮影協力】暮らしカフェ
もくじ
第1話(6月16日)
終の住処は「賃貸の1DK」。仕事も服も手放して
第2話(6月17日)
67歳でインスタグラマーに。「何者でもない自分」のおかげで、今の幸せがある

小和田妙子
1955年生まれ。夫と静岡県富士宮市で写真館を32年間営み、2024年に閉業。その後自宅を手放して1DKのアパートに引越し、身軽な暮らしを楽しんでいる。日々のコーディネートをInstagramに投稿中
Instagram: @taechan1001
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