【Fikaにお邪魔しました】第2話:スウェーデンの定番家具、ストリング・シェルフが主役のリビングルーム

ライター 大迫美樹

北欧の暮らしって、一体どんなものなんだろう?

本特集『Fikaにお邪魔しました』では、そんな疑問にお答えするべくストックホルムの人々の暮らしぶりやインテリアを紹介していきます。

シリーズ1回目では、ストックホルム郊外の築70年以上のアパートに住む、リネアさんとエリックさん夫妻の自宅を訪れました。

おうち全体を少しだけ紹介した第1話に続き、第2話ではリネアさんの好きなものがつまったリビングルームを中心にお届けします。

 

デザイン好きには定番の「ストリング・シェルフ」が主役

▲スウェーデンの定番家具ストリングシェルフは、1943年にスウェーデンのデザイナー、ニルス・ストリニングによってデザインされました

窓からやさしい光が入る、明るいリビングルーム。

まず目に入ってくるのが、壁の中央に取り付けられた背の高い収納棚です。

この棚は、スウェーデンではよく見かけるストリング(String)と呼ばれる定番のデザイン家具。

機能的で実用性に優れているうえに、タイムレスなデザインが人気となり、今でもデザインやインテリアが好きな家では必ず見かける、一家に一台的なシェルフです。

リネアさん:
「ストリングはやっぱり外せないですよね。たくさんの収納が可能なうえに飾り棚にもなるし。そしてなによりもシンプルでデザインがいいのが決め手です」

▲日本の日めくりカレンダーは、タイポグラフィーとデザインが気に入って、東京へ旅行をした時に購入したそう

▲白い小さなプレートはスウェーデンの陶芸家クリスティーネ・テンマン、ベース代わりにしているのは、Skagerakのマグカップ、鉄のろうそく立てはノルウェーのアンデシェン&ヴォル

シェルフに飾られたオブジェや植物の並べ方にも、リネアさんらしさが光ります。

リネアさん:
「見るとどうしても欲しくなるのが植物と雑誌です。だからついつい増えてしまって。手に取るたびに、いつもエリックにストップをかけられます」

シェルフにも、リネアさんが思わず買ってしまうという、雑誌に植物がたくさん並んで、見せる収納として目を楽しませてくれていました。

 

心がやすまる、やさしい色味のソファまわり

一緒に遊んだり、時にはソファーでお昼寝をしたりと、息子さんが生まれてから、特に長い時間を過ごす場所となったのが、ここリビングだそうです。

特に落ち着けるスペースが、グレーのソファーまわりだとか。

エリックさん:
「ソファーに寝転ぶと、気がついたら息子と2人で寝入ってしまうことがよくあります」

くつろぐのに快適だというグレーのソファーは、中心地にあるインテリアショップで購入。クッションやひざ掛けは、それぞれ違うお気に入りのブランドのもの。

そして壁にかかったアートは、セカンドハンドで購入したり、友人デザイナーのポスターだったり。

どれも好きなものを集めただけなのに統一感が生まれているのは、どことなく色味やトーンが合っているから。

隅にさりげなく飾られたグリーンもプラスされて、心休まるスペースとなっているのが印象的でした。

▲白に黒の模様が入ったクッションはストックホルムの人気ショップ、アフロ・アート(Afro art)のもの。ブルーグレーのクッションはインテリアショップ、ミンミ・スターフ・ムーベルマケリ(Mimmi staaf möbelmakeri)で購入。アパートの近所にショップがあるので、よく訪れるそう。ひざ掛けはヘイ(HAY)

 

グリーンたっぷりの窓辺、IKEAのベビーベッドも

▲窓の下にあるカゴは愛猫スノーレ(Snöret)のベッド

穏やかな日が差し込むリビングの窓辺にも、グリーンがバランスよく並べてありました。リネアさんの植物好きは母の影響だそう。

リネアさん:
「母からは植物についてたくさん教えてもらいました。子どもの頃から植物に囲まれて暮らしていたので、グリーンがない生活は考えられないです」

どんな場所にいても植物が目に飛び込んでくるような、そんな癒しのある空間は理想的といえるのかもしれません。

そして、窓の近くに置かれたベビーベッドは、イケア(IKEA)のもの。

寝室にスペースがないため、息子さんのベッドはリビングに配置したそうです。白を選んだことで、リビングのインテリアとなじんで違和感をあまり感じません。

 

この眺めが一番好き!という、ポスターや雑貨がならぶスペース

こちらは、グレーソファーの向かい側。この角度から眺めるリビングルームがリネアさんのいちばんのお気に入りだそうです。

バランスよく飾られたグリーンの数々がまた目をひきます。植木鉢の多くは蚤の市で手に入れることが多いとのこと。

味わいのあるレザーのソファーは、デンマークのヴィンテージ。ひざ掛けやトルコに旅行した際に購入したというクッションの模様が良いアクセントとなっています。

ソファーの後ろには、自分たちでペイントを施したというイケア(IKEA)の収納。そのうえに丁寧に並べられたオブジェや器には、ひとつひとつにリネアさんの思い出がつまっています。

▲茶の陶器の器は、陶芸の街として知られるグスタフスベリにアトリエを持つ、スウェーデンの陶芸家シーナ・ビヨルクルンド(Kina Björklund)の作品

じつは日本に旅行をしたこともあり、日本が好きなおふたり。

壁にかかったアートは、日本の家屋をモチーフにしたイラスト。スウェーデンのアーティスト、ヨン・ココ(Jon Koko)の作品で、彼は日本好きが高じて日本に活動拠点を置く作家さんだとか。そしてふたりと地元が一緒だということを教えてくれました。

イラストの下の小さなろうそくとろうそく立ては、日本のセレクトショップで購入したそう。右のシルバーのブリキ缶は東京の下町に工房があるシュロ(SyuRo)のもの。

リネアさん:
「白の器も、日本のD&Departmentで購入しました。日本にはデザインもクオリティーもよい、美しいものがいっぱいあって、お店を見るたびにワクワクします」

▲鉢が置かれた籐のスツールはセカンドハンドショップで購入。高低差をつけることでリズミカルな印象をもたらします

スツールの上に飾られた植木鉢と、モノトーンチェックの陶器の壁掛けは、ほかの部屋でもよくみかけた陶芸家エメリエの作品。陶芸にも興味のあるリネアさんは、彼女の作品の大ファンだそう。

並べているものは日本やスウェーデンと国籍はバラバラなのに、部屋のインテリアがなぜかしっくりとまとまっているところに、リネアさんのセンスの良さを感じました。

 

子どものおもちゃはざっくりとカゴに収納

▲セカンドハンドショップで購入したカゴはおもちゃ入れに

もうすぐ1歳半になる息子さんは、今はまさに散らかし盛りの頃。

おもちゃは片付けても、またすぐに散らかるので、簡単に収納できるように、リビングのカゴにひとまとめにしているそう。

エリックさん:
「さまざまな場所に片付けてしまうと、息子の年齢だとまだ自分で探して見つけるのは難しいので、こうやってみえるところにざっくりと入れてます。自分で好きなものを選んで遊ぶことができるのでいいですね」

最近息子さんがよく手にするおもちゃが、木製の車のおもちゃだそうです。この日も車のおもちゃを手にして「ブーブー」と音を真似しながら、元気よく走り回っていました。

あえて収納せずにみせることで、おもちゃのカラフルな色味がインテリアに花を添えて、良いアクセントになっています。

リネアさんのインテリア術が発揮されたリビングルームはいかがでしたでしょうか。

心落ち着く空間に、リネアさんが時間をかけて揃えてきたモノが、雰囲気作りとして大きな役割を果たしているように感じました。

つづく第3話は、キッチン&ダイニングとベッドルームの様子をお届けします。どうぞお楽しみに!

(つづく)

【Photo】Markus Karlsson Frost

 


もくじ

 

Linnea & Erik Paulsson Neppelberg

リネア & エリック・ポールソン・ネッペルベリー。ストックホルム郊外のアパートで、1歳の息子さんと愛猫と一緒に暮らす。リネアさんはフリーのグラフィックデザイナー、エリックさんはスウェーデンの国営放送局勤務。リネアさんは年に1~2回発行の雑誌「Pet people」を主宰。
http://www.petpeople.se
http://www.linneapaulsson.se

ライター 大迫美樹

コーディネーター、ライター、通訳者など。大学卒業後、アパレル会社や広告制作会社勤務を経て、2007年にスウェーデンのストックホルムへ移住。現在はフリーランスで、雑誌や広告、TV、日本企業の仕事を中心にコーディネート全般、執筆を手がける。またスウェーデンのライフスタイルを届けるウェブサイト「KOKEMOMO Sweden」も運営中。インスタグラムアカウントは @mikikosmic

 


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