【ノルウェー日記番外編】ひとり時間は意識して作る?リタイアをしたご夫婦の、いきいきとした毎日の過ごし方。
ライター 桒原さやか
ふたりはいつも、忙しそうで、楽しそう。
わたしが今住んでいるのは、一軒家の一階部分。二階にはノルウェー人のご夫婦が住んでいます。
左から、料理が得意なカーリンさん、おしゃべり好きなホーラルドさんです。もともとは会社や病院の事務のしごとをしていましたが、一年前に退職をして、今はふたりの時間を楽しんでいます。
ご夫婦そろって自然が大好きで、キャンピングカーに乗ってノルウェー中を旅したり。ハイキングに出かけたり、庭しごとをしたり。
いつもあちこち走りまわって忙しそう。でも、いきいき暮らしているように見えるのです。
あんな風に老後を過ごすことができたらきっと楽しいだろうなぁ……と、思っていました。
そこで今回はお二人が元気にいきいきと暮らしているコツが知りたくて、お話を聞かせてもらうことに。
それでは早速、お邪魔させてもらいますー!
リビングは大きな窓があって、いつも気持ちいい光がはいってきます。
意識してつくる、ひとりの時間。
まずはお二人に、朝の過ごし方について聞いてみました。いっしょに朝ごはんを食べた後は、コーヒーを淹れるのが習慣なのだそう。
ホーラルドさん:
「コーヒーを飲みながらニュースをよんでいると、一日がはじまったなぁという気持ちになるんだ。
その後はお昼ごはんまで、それぞれが好きなことをする時間。わたしは庭しごとをしたり、木の工作をしていることが多いかな」
そういえば、奥さんだけで散歩にでかけたり、買い物に出かける姿をよく見かけます。
編み物、裁縫、キャンピングカーの本。ノルウェーの人たちは多趣味で、インドアとアウトドア、両方の趣味をもっています。
カーリンさん:
「ひとりの時間って、必要でしょ?自然のなかを一時間くらい歩いていると、たいていのことは気にならなくなるの」
子育てをしていたときも、こどもを両親に預けたりして、「ひとりの時間」を意識して作っていたのだそう。ハイキングと編み物がわたしの一番の気分転換!とカーリンさんは言います。
今は冬用のニット帽を作っているそうです。
家事は「エクササイズ」だと思って、全力で取り組む 。
家のメンテナンスは自分たちでするのが当たり前なので、北欧では家のしごとがたくさん。例えば、夏はペンキ塗りや屋根の修理、冬になると雪かきもしなくちゃいけません。
ホーラルドさん:
「薪割りも、庭の手入れも、家の掃除だって、ぜんぶカラダを動かすでしょ?
これはね、運動だと思っておもいっきりするんだよ。その方が効率もいいし、カラダも気持ちいいんだ」
そういえば、冬の日に雪かきを10分しただけで、汗をたくさんかいた覚えがあります。家の掃除だって、エクササイズだと思って取り組むと、気持ちもカラダの動かし方だって変わってくる気がします。
家事の分担はざっくりと。困ったら助けあえばいい。
料理や掃除、洗濯はカーリンさん。ペンキ塗り、家のメンテナンス、雪かきはホーラルドさん。
ざっくりと「家の中のしごと」は奥さん、「家の外のしごと」は旦那さんと決まっているそうなんです。この役割分担は、結婚した当初から変わっていないのだとか。
カーリンさん:
「わたしは料理が好きだけど、彼はそんなに得意じゃないの。その逆もあって、家のメンテナンスがわたしは苦手だから、彼にまかせちゃっているわ。」
ホーラルドさん:
「分担はざっくりと決まっているけれど、まかせっきりはつまらないでしょ? 料理はカーリンが中心にしているけれど、忙しそうなときはもちろん私も手伝うよ」
それぞれの得意分野が担当になっているんですね。とはいっても、家事についてお互いに不満なところがあるんじゃないかな……と思い聞いてみると、こんな返事がかえってきました。
ホーラルドさん:
「そういえば、カーリンはなぜか車のクリーニングだけはしてくれないんだよ」
カーリンさん:
「でもね、彼は洗濯をしないのよ!」
お互いの顔を見て、笑いはじめました。どうやら、お二人の家事は、絶妙なバランスが保たれているみたいです。
夏は一ヶ月、ノープランの旅へ!
ノルウェーではキャンピングカーを持っている家庭はめずらしくありません。お二人もお子さんが10歳になったとき、キャンピングカーを購入しました。こどもの健康のために、自然とふれる機会を作ってあげたいと思ったことがきっかけなのだとか。
今でも夏の時期には、長くて一ヶ月ほど旅にでます。
ホーラルドさん:
「天気に左右されることが多いから、予定はほとんど決めていないだ。晴れている日は車を停めて、近くの山をハイキングしたり、サイクリングしたり。
雨の日はひたすら車を走らせて、先に進むんだよ」
カーリンさん:
「友人や家族とキャンピングカーで合流するのも楽しみのひとつなの。夜は焚き火をして、そのまわりでワインを飲みながら、一晩中話をするの。最高でしょ!」
ノルウェーの人たちは、自然の楽しみ方をよく知っています。大自然のなかで一日中過ごすなんて、すばらしく気持ちいいんだろうなぁ。
お二人の、次の目標はなんですか?
ホーラルドさんが作った木製時計。
秋から春のはじめまでオーロラが見えることもあり、世界中からたくさんの観光客がトロムソに訪れます。そこでピン!ときたカーリンさんは、家の一部を宿泊場所として貸し出すことを思いついたのだとか。
今年の冬からスタートできるように、準備をはじめています。
カーリンさん:
「ふと思い立ったから、夫に相談してみたら、すぐにいいね!って言ってくれたの。いろんな国の人が泊まりに来てくれたら、面白そうじゃない?
うまくいかなかったら、またそのときに考えればいいものね」
はじめの一歩は億劫になってしまいがちですが、とりあえず動いてみる。そして、なにか困ったことがあれば軌道修正したらいい。こんな風に気軽に動けたら、あたらしい出会いがたくさんありそうです。
家の外から見たオーロラ。九月から四月はじめまで見られます。
自然のリズムに、まかせてみたらいいのかも。
てっきりリタイア後の暮らしは、働いていたときとはガラリと変わるものだとばかり思っていました。でも、このご夫婦の場合は、ちょっとちがうようです。
以前と比べると、旅行にいく回数や自由な時間が増えたというのはもちろんあります。でも、費やす時間は変わっても、大きく生活が変わったわけではないんですね。
天気がいい日は外に出て日光浴をしたり、庭の手入れをしたり。雨が降っている日は家で編み物をしたり、テレビを見てゆっくりしたり。
北欧では自然が近いこともあって、一日の過ごし方が天気に左右されます。また、北欧の冬は長くて暗く、夏は冬の厳しさがうそみたいに気持ちいい。このメリハリが暮らしのリズムを作ってくれるんでしょうね。
わたしは今三十代半ばで、リタイア後の暮らしはまだまだ先のことですが、お二人の暮らしぶりを見て、これからがちょっと楽しみになりました。
ベランダからの景色。よくご夫婦でベンチに座って本を読んでいます。
ライター 桑原さやか
『北欧、暮らしの道具店』で、お客さま係として6年間働いていた元スタッフ。旅が好きで、冬の旅行で訪れたノルウェーの北極圏にある町、トロムソに一目惚れ。スウェーデン人の夫と共に、2016年6月より移住をはじめている。
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