【スタッフコラム】二度目の引越し、二度目の街へ。
編集スタッフ 奥村
この秋、引越しをしました。ダンボール箱の山も片付いて、ようやく暮らしのリズムが落ち着いてきたこの頃です。
越した先は、社会人になりたてだった数年前にひとり暮らしをしていた街。一度は別の場所に暮らしてみたものの、結局またここへ戻ってきてしまったのです。
離れがたい理由って?
▲引越しそばを、早速
数年ぶりに見た街並みは、新しいお店も増えてちょっぴり変化を遂げていました。
けれどお気に入りの喫茶店や、活気ある雰囲気が好きな商店街は変わらずにあって。ひとつひとつ好きだった場所やモノを思い出しながら、週末のたび近所を歩いています。
一生のうちに住める場所は、決して多くはないもの。それなのにまたこの街を選んでしまうのは、目には見えない特別な理由がここにあるからだと思うのです。
もがいてばかりの私を、見守ってくれた街。
はじめてここに住んだ頃の記憶は、思い返せばほろ苦いものばかりでした。
自立したいと強がってひとり暮らしを始めたものの、貯金は早々に底をついて、いつもスーパーの特売品コーナーを頼りにしていたこと。
慣れない仕事に落ち込んで帰宅した夜、話し相手のいない心細さを紛らわそうと、あてもなく散歩していた近所の通り。
月に一度、お給料日だけのごほうびと決めて通っていたカレー屋さんのカウンター席。
やる気だけは有り余っているのに、お金も能力も、経験の数も、いろんなことが足りなくていつももがいていた。そんなデコボコのわたしの暮らしを優しく見守ってくれていたのが、この街の風景でした。
あの頃とおなじ経験は、きっともうできないもの。だから私にとって、ここは初心に帰れる場所なのかもしれません。
▲その頃住んでいたアパートのベランダは、猫の通り道。よく来客がありました
あれから数年。暮らしの形も、仕事もガラッと変わりました。この街との関係は、あの頃とはまた少し違ったものになっていく気がします。
懐かしい街との、二度目のお付き合い。まだまだスタートしたばかりです。
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