【スタッフコラム】短所を克服「しない」という、もうひとつの選択肢

編集スタッフ 二本柳

「短所」は克服すべきものでしょうか?

と言うと、なんだか反抗的な感じになってしまいますが、チームのマネジメントをするようになってから、思いもよらぬ苦手意識を人は抱えているのだということを知りました。

たとえ完璧に見える人も、朗らかにふるまえる人も、頭のいい人も、他人からは想像もつかない短所を自覚していることがある。

根が真面目であればあるほど、自分のどこかに “粗” を見出してしまうというのもあるかもしれません。

そして、真面目であればあるほど、 「どうしたらそれを克服できるだろう?」と悩んでしまうんですよね。

私はつい、一緒になってそれを「克服する」方向で頭を抱えてしまうんです。

でも他人だからこそ、そうじゃない、つまり「克服しない」視点も持てるのかもしれないと最近思うようになりました。

 

コンプレックスを自慢に変えた美容師さん。

突然ですが、私は子供のころから「くせ毛」に悩まされていました。

母も姉も直毛なのに、なぜ私は…… と小学生で初めて縮毛矯正をかけ、10代後半はストレートボブに憧れてヘアアイロンが欠かせないものとなりました。

とにもかくにも、くせ毛は「克服すべき」対象でした。

それを変えてくれたのが、7年前からの付き合いとなっている美容師さんとの出会い。

まだ今ほどには「外国人風くせ毛」 「ゆるふわパーマ」などの言葉が浸透していなかった当時、私の髪を「くせ毛だからいい!」と絶賛してくれる変わり者が、その人でした。

彼はこう続けました。「パーマのかけ甲斐があるよ」と。 そう、クルクルに悩む髪を、今よりさらにクルクルにすると。

はたしてその提案は、長年にわたる “くせ毛との戦い” から私を救い出してくれることになったのでした。

くせ毛をどうにか直そうと、ごまかそうと、一生懸命になってくれる美容師さんはたくさんいました。親身に解決策を考えてくれて、それはそれはありがたいことでした。

でもこれを否定せず、克服しないという選択肢を与えてくれた美容師さんは初めて。

あれほど嫌だったくせ毛が、どこか自慢できるものにすらなっていることに、自分でもあらためて驚いています。

 

「がんばれ!」 の言葉以外に。

これを思い出して、実はちょっとヒヤリとしたんです。

なにかを「克服したい」という思いを抱く人に、私は「がんばれ!」としか言ってないのではないだろうか? 「大丈夫だよ、がんばって!」とばかり声をかけてないだろうか?

もちろん、そう言われて嬉しい場面もあるけれど。でも、それが克服すべき対象である限り、イコール否定されるものになってしまうことを、美容師さんのことと一緒に思い出しました。

「そこがいいんじゃない!」

他人だからこそ、こう言える選択肢があることを頭のどこかにとどめておきたいな、と思います。

 


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