【玄関調べ】第1話:急な来客も大丈夫!また来たいと思われる、おもてなし玄関(大塚彩さん)
編集スタッフ 岡本
玄関、見落としてませんか?
「いらっしゃい」と迎えたり、「ただいま」と帰ってきたり。
玄関はその家の顔、と言われるように、 わずかなスペースで繰り広げられる暮らしのシーンは、意外とさまざまですよね。一方で、狭さや日差しなどの制限が多く、インテリアを楽しむのがむずかしい場所でもあります。
だからこそ家づくりにこだわる方たちが、玄関とどう向き合い、使いやすく心地よい空間にしつらえているのか気になる!
そんな好奇心を抱いて、3軒のお宅の扉を開けてみました。
すると、入った瞬間からおもてなしの心遣いが感じられたり、家族への思いやりが伝わってきたり。私の期待をスイッと超えて、玄関は“人となり”をも表す場所なのかも、と思わせてくれたのです。
まずはじめにお邪魔したのは、毎月2回ほど来客があるという大塚彩(おおつかあや)さんのご自宅です。
\いらっしゃい!/
以前の特集「暮らし上手の収納術」では、考えつくされたスペース活用アイデアの数々をご紹介いただきました。
玄関の工夫も見せてください!とお邪魔すると、細やかな心配りが感じられるすてきな空間が広がっていましたよ。
生活感をとことん隠して、いつだって来客OK!
大塚さん宅の印象は、『広々としていてお店のように統一感された空間』。それは玄関を一歩入ったときの印象からきているものでした。
設計の段階から打ち合わせに参加して建てた、というご自宅を拝見したところ、制限となる要素は見当たらないのですが……。
大塚さん:
「来客が多いので、なるべく生活感を出したくないと思っています。けれど、洋服や小物が大好きなので、我が家はモノが多くて。なので収納アイテムにこだわったり、布で目隠しをしたり、家全体で工夫しています。
とくに玄関は、靴やこまごました日用品など、置かないわけにはいかないモノが多い場所。
そこで、施工メーカーの方に、置きたいモノを伝えて、どう隠せるか相談しました。出来あがったスペースをどう活かすか、今も試行錯誤しています」
モノは多いけれど、生活感を隠したい。相反するようにも見えますが、たくさんの小さな工夫でこの願いを叶えていました。
靴収納に、スッキリ玄関の秘密あり。
夫婦で洋服好き、とくに夫はスニーカーを集めるのが趣味のひとつだそうですが、そんなにたくさんの靴が収納されていそうな場所は見当たりません。
一体どこにしまっているのですか?と聞くと、思わぬスペースを見せてくれました。
大塚さん:
「この家を建てるとき、“靴の収納スペースを玄関から見えない造りにしてほしい”と、リクエストしたんです。とことん生活感を出さないためには、靴も見えないようにしたいと思って。
それでできたのが、約4帖ほどのパントリーです。ここに造りつけたシューズラックのおかげで、90足ほどが収納できます。夫とはここに入る分だけ、とルールを決めて、靴が増えすぎないようにしています」
パントリーの入り口には、リバティ生地のカーテンが付けられ、一見するとその先にパントリーがあることに気づかないほど。靴以外にも、食料や日用品のストックが収納されていました。
目線は低く!掃除機を使って、時短できれいに。
玄関の掃除は週に3回ほど、ほうきと掃除機の二刀流で徹底的にゴミをなくしているのだとか。
大塚さん:
「玄関にも掃除機をかけると言うと驚かれるのですが、飼っている2匹の猫の毛がすごく抜けるんです。
ほうきで石などを掃きだしたら、たたきに落ちた毛やホコリをまとめて、最後に集めたゴミを一気に掃除機で吸い取るのが、いつもの段取り。自然としゃがむ形になり床との距離が近くなって、小さなゴミも見逃しにくくなった気がします」
▲真っ黒な体にまん丸な目がかわいいノノが迎えてくれました。シャイなココはなかなか姿を見せてくれませんでした。
必需品の定位置に。玄関には引き出し収納が便利!
大塚さん:
「玄関に置いておくと便利なものって、鍵とかハンコとかペンとか……けっこう細々したものが多いんですよね。
そういったこまかい日用品を収納しているのが、このキャビネットです。小さな引き出しが26個ついていて、それぞれに小物を収納しています」
大塚さん:
「一番出し入れしやすい上の段には、宅配便の開梱セットや鍵、飼っている猫のケアグッズを。一番下の大きめの引き出しには、ゴミ袋を入れています。ゴミ出しをしたその帰りに、玄関で新しい袋を取ってセッティングするという動線です。
我が家は本当にモノが多いのですが、こうして引き出しに入れてしまえばごちゃっと感は出ません。引き出し好きが高じて、DIYで作ってしまったほどです」
引き出しにはラベリングを考えたこともあるそうですが、頻繁に使うものだけを収納しているため、どこになにがあるかは、自然と覚えたのだとか。
夫婦ふたりが共通して使うものだけを入れる、というルールを設けて、あまりモノが増えすぎないように工夫していました。
さらに生活感が漂いやすいスリッパ収納にも、きらりとアイデアが光っていましたよ。
大塚さん:
「以前はスリッパをカゴに入れて、床置きしていました。でもすぐにホコリがたまるし、来客は月1,2回だからずっと出しておく必要はないなと思って。今は、巾着袋に入れてフックに下げています」
▲一番奥のスリッパは夫用のARIZONA(アリゾナ)。足の形にしっくりくるモデルを選べるのも、ビルケンシュトックの良さだそう。
大塚さん:
「スリッパは、ビルケンシュトックのMADRID(マドリッド)を男女2足ずつ。EVA素材を選んでいるので、とても軽いですし、汚れたらアルコールスプレーで除菌できます。お手入れがラクなのがうれしいんです」
お客さんのために清潔を保ち、家族のために足に合ったものを選ぶ。相手の立場になって考えているからこそできる、心配りだと感じました。
ずっとここにいたい!つい長居したくなるそのワケは?
人が来る前提でインテリアを考えている、という大塚さん。どこにいても統一感があるそのワケは、部屋ごとに設けているコンセプトに秘密があるようです。
大塚さん:
「コンセプトを決めるとインテリアに統一感が出ますし、モノ選びに迷ったときの参考になるんです。
ちなみに玄関は、“フランスの田舎の家” をイメージしています。落ち着いた雰囲気になるよう、アンティーク家具やくすんだ色の小物を選びました。なかでもお気に入りなのは、このディフューザーです」
大塚さん:
「お客さんのなかには動物の匂いが苦手な方もいるかなと思って、香りにこだわって選んでいます。それに一度に10人以上の来客がある日なんかは、たたきにもたくさん靴が並んで、匂いがこもってしまって。
今使っているのは、IDEEで見つけたもの。ワインがモチーフになっていて、デキャンタの形の入れ物や、ぶどうの木のスティックなど、細部まで凝った作りになっているんですよ。
冬は甘い香りのものを置いたり、夏は柑橘系やハーブなどさっぱりしたものに変えたりと、季節に合わせて楽しんでいます」
ふわ〜っと包まれるように漂う、優美な香り。大塚さん宅に踏み入れたときの空気感が、いまも印象深く思い出される理由は、この香りだったのかもしれません。
▲イタリアのブランド 、Dr. Vranjes(ドットール・ヴラニエス)のROSSO NOBILE(ロッソ ノービレ)
▲花器は、Tse&Tse associees(ツェツェアソシエ)のもの。お花に詳しくなくても、ポンポンと気軽に活けるだけで雰囲気が出るところがお気に入り。
どこまでも細やかなおもてなしが感じられる、大塚さん宅の玄関。そこには予想のひとつ先を行く、小さな工夫が散りばめられていました。
一度訪れた友人たちが、また来たい!と思うからこそ、人が定期的に訪れる家になる。玄関を拝見して、来客が多いそのワケが分かったような気がしました。
つづく第2話では、イラストレーター堀川波さん宅の玄関をご紹介します。家族への思いやりあふれる、アイデアたくさんの玄関ですよ。ぜひお楽しみに。
(つづく)
【写真】鈴木静華
もくじ
大塚 彩
千葉県在住。郊外に、シンプルで住みよい「無印良品の家」を建て、夫と2匹の猫・ノノ&ココちゃんとともに暮らす。アパレルECサイトで働きながら、料理にお菓子作り、手芸、DIY……と趣味も多く、夫婦そろって大の洋服好き。休日には自宅へ人を招き、手料理をふるまうことも多い。
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