【朝は一日の下書きを】好き、がいい流れをつくる。安達茉莉子さんの朝をあじわうルーティン
我が家の朝は、毎朝5:30に鳴る目覚まし時計の音から始まります。
今日は何曜日だっけ。トーストにはなにをのせようか。ぼやけた頭をなんとか起こしてキッチンへ。
もっと寝ていたいなと思いつつ、顔を洗ったり、子どもたちの水筒を準備したり、考えずともできることからこなしていくと、次第に頭のもやが晴れていくのが分かります。
家族の変化や季節によっても、過ごし方に変化のある朝の時間。バタバタとあっという間に過ぎていきがちだけれど、そのときの暮らしぶりが表れる気がして、いろいろな人の朝の過ごし方に興味津々です。
当店が動画でお届けしている、モーニングルーティン『わたしの朝習慣』では、これまで81人の方に朝の過ごし方を伺ってきました。
まだ暗いうちから活動的に過ごしたり、体の調子を探りながらゆったり過ごしたり、そのどれもがその人らしさあふれる習慣ばかり。より豊かな朝時間となるヒントにたくさん出合うことができました。
作家・文筆家の 安達茉莉子 さんは、「朝」という時間そのものを楽しむことを大切にしているそう。
短い時間でも外の空気に触れること、今日の気分はどうだろうと自分に問うことなど、安達さんの朝の習慣はシンプルでありながら、一日の心持ちが変わる工夫が散りばめられていました。
明日から真似してみたい、そんな安達さんの朝習慣を読み物でもご紹介します。
今日はどんな日になるだろう。
安心して一日を始められる「下書き」の習慣
7:00 起床
ゴミ出しがてら散歩へ
部屋を「起動」する
7:30 朝食づくり
ノートに下書きをする
8:30 仕事部屋をセットアップする
9:00 執筆開始
朝日を浴びて、朝がスタート
窓から見える自然豊かな景色が印象的な安達さんのご自宅。美しい山々や広い空が、朝の訪れを知らせてくれます。
安達さん:
「朝がすごく好きなんです。ちゃんと味わいたくて、起きたらまず窓を開けて山を眺めたり風を感じたり。
ゴミ捨ても外に出るいいきっかけになっていますね。
ゴミ捨て場までの少しの距離を歩きながら、山に光が当たってきれいだなとか、鳥が鳴いているなとか、そんなことを感じるだけで気分が良くなって。
外の空気を吸って朝日を浴びると、さてスタートするぞという気持ちになります」
パン?ご飯? 自分に問いながらつくる朝食
安達さん:
「散歩から帰ったら、部屋をひとつずつ起動していくイメージで、カーテンを開けたりロウソクに火を灯したりしています。
外を歩いて自然に触れたことで、それに連動するように自分もあったまってくるような。
朝のシンと静かなリビングに徐々にライブ感を足していく、そんなイメージです」
起きてから30分。自然の力を借りて気持ちも体もスイッチが入ってきたころに、朝食づくりに取り掛かります。
まずはお気に入りのガラスのポットでお湯を沸かしながら、ある問いを巡らすのだそう。
安達さん:
「毎食朝ごはんのようなものを食べたいくらい、朝ごはんが好きです。
パンにするかご飯にするか、パンなら甘い系かしょっぱい系か、今日の私はどんな気分だろうと考えるのも楽しい。
自分に問うと、ちゃんと答えが出てくるんです。その感覚も楽しんでいます」
安達さん:
「今日なに着よう、どんなメイクにしよう。
そんな小さな選択が人生を形作っていくと思うと、朝一番に考える朝食も大事にしたいと思うようになりました。
一瞬、ちょっと考える。そうやって正直に過ごしていると、きっといざというときも自分に正直でいられるんじゃないかと思います。
私が私自身と近しくなれる、大事なタイミングです」
そう話しながら出来上がったこの日の朝食は、こんがり焼いたベーグルにスクランブルエッグ、アボカドなど。
やさしく揺れるキャンドルと朝の光のなか、今日の自分にぴったりな朝食をいただきます。
ノートに一日の「下書き」をする
お香を焚いて空気をリセットしたあと、一冊のノートを取り出す安達さん。ここからゆるやかに仕事モードへ切り替えていきます。
安達さん:
「いつからか一日の下書きをするようになりました。
たとえば絵を描くときもいきなり描き始めるのは不安だし、ちょっと大変ですよね。でも簡単に下書きをしておくと、イメージが湧いて描きやすくなる。
それと一緒で、今日一日の下書きを書いてみるんです。そうするとアイデアが湧いたりあの人に連絡しようと思いついたり、このあとのラフスケッチが出来上がります。
見通しが立つことで安心できるし、この作業が楽しくて長年続いている習慣です」
安達さん:
「基本的には自宅で執筆作業をするので、ずっとパジャマでいようと思えば、そうできる日々です。
けれど好きな服を着たり気分が上がるメイクをしたり、私自身が私の好きな状態でいる方が心地いいと感じるタイプなので、仕事をしやすい状態へセットアップしていきます。
なかでも香水は気持ちを切り替えるのに欠かせないもののひとつ。
周りに気を遣うことなく好きな香りをまとえるのっていいなと思って始めた習慣だけれど、今となってはセットアップの作業を超えた『好き』がここにある気がします。
目的でも手段でもなくただ好きだから続けている。そんな習慣が結果的にいい朝をつくってくれています」
§
リビングを起動していく、一日の下書きをする、仕事モードへとセットアップしていく。
安達さんの目線で朝をとらえてみたら、日々当たり前にしていることにも自分なりの意味があるような。ひとつひとつのステップで人生を形作る大事な選択を重ねている、そんなポジティブな気持ちがわいてきました。
やっぱりモーニングルーティンにはその人の大事な考えがぎゅっと詰まっているような気がします。
安達さんの朝の過ごし方は、こちらから動画で見ることができますよ。
鳥のさえずりや部屋に差し込む柔らかい光など、朝ならではの空気感を味わってみてくださいね。
※この記事は2025年3月に取材した動画を元に制作しております。現在の暮らしとは異なる部分がある可能性がございます。
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安達茉莉子
作家、文筆家。東京外国語大学英語専攻卒業、防衛省勤務、篠山の限界集落での生活、イギリスの大学院留学などを経て、言葉と絵を用いた作品の制作・発表を始める。『私の生活改善運動 THIS IS MY LIFE』(三輪舎)、『毛布 – あなたをくるんでくれるもの』(玄光社)、『世界に放りこまれた』(ignition gallery)などの著書がある。
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