【ちゃんと知りたい、部屋干しのこと】前編:洗濯のプロに聞く、洗い方の基本。まずは「3つの量」を見直しましょう

編集スタッフ 吉野

毎年必ずやってくる、梅雨。雨模様が何日も続くこの時期、いつも悩んでしまうのが洗濯でした。

「できるだけ晴れた日に洗濯したいけれど、どんどん洗濯物が溜まってしまう……」

「今日は晴れる予報だけれど、出かけている途中で雨が降ってきたらどうしよう?」

朝から晩まで天気予報をチェックして、考えなければいけないことがたくさん。今は仕方がないのだと半ば諦め、解決しないまま翌年の梅雨を迎えていました。

そんな中でお話を伺ったのが、洗濯家・中村祐一さん。

クリーニング店の3代目として家業を継いだ後、家庭での洗濯の悩みを解決するアドバイザーとして、テレビや雑誌、ウェブメディアなど、多方面で活躍されています。

今回気になったのが、中村さんが一年を通して「部屋干し」をされているというお話。

これなら梅雨の時期に限らず、洗濯についての迷いが減らせるかもしれない!

そう思い、ずっと苦手意識のあった部屋干しのことをお聞きすることにしました。


「洗い方の基本」さえ知っていれば、干し方は自由

はじめに中村さんからいただいたのは、意外な視点からのアドバイスでした。

部屋干しで気になっていた、ニオイやどこかさっぱりしないイメージ。これらは干し方ではなく、洗い方に着目するとぐんと良くなるようです。

そこで、まずは「基本の洗い方」から教わることに。なにか工夫が必要かと思いきや、洗濯機と洗剤があればすぐにできる、とてもシンプルな工程でした。

▲使うのはいつもの洗剤だけ

中村さん:
「部屋干しのニオイ対策で何より大切なのは、汚れをしっかり落とし、すすぎ切ること。汚れは菌の餌となり、その菌の排出物がニオイの元になってしまうんです。

ただ空気中など、身の回りに常に存在する菌へのアプローチはキリがなく、なかなか難しい。そこで基本の洗い方では、菌の餌となる汚れを落とすことにフォーカスしています」

中村さん:
衣類・水・洗剤の3つの量を確認して、

洗い15分・すすぎ3回・脱水3分。

これを覚えていただきたいです」

今回は、夫・息子2人と暮らすスタッフ森下宅で。タオル類を含む家族4人分の洗濯を、中村さん監修のもと、いざ実践です


基本の洗い方、ポイントは?


「3つの量」を確認する

中村さん:
「3つの量とは、衣類・水・洗剤のこと。まずはここから確認してみましょう。

衣類の量の目安は、ドラム式なら半分くらい、縦型なら6〜7分目まで。入れすぎると衣類に水や洗剤が行き渡らず、しっかり洗えません。

森下さん宅の洗濯機はドラム式なので、入れる洗濯物は半分、このくらいがいいですね」

中村さん:
「洗浄力を上げるため、水量は自動で表示される量よりも1〜2段階多めに設定します。洗剤は容器に書かれている規定量を入れ、適正な濃度になるようにしましょう。

せっかく水量を増やしても洗剤の濃度が低いと、汚れを包み込むことができません。これは汚れを落とすことができなかったり、落としたはずの汚れが衣類に戻ったりしてしまう原因に。

洗濯物のニオイや黒ずみは、この汚れが『落ち切らなかった』『戻ってしまった』ことにより生じていることが多いんです」

▲「洗剤の規定量は、容器の裏側を確認してみてくださいね」


洗い15分、すすぎ3回、脱水3分

▲洗濯機の設定可能な時間に合わせ、今回は脱水2分に。洗い・すすぎ・脱水の時間は、コースで設定しておくのもいいですね

中村さん:
「汚れを落とすのには最低10分以上必要で、20分くらいで頭打ちになると言われています。長すぎると汚れが戻ってしまったり、生地へのダメージが増えたりするので、洗いは15分が目安です。

すすぎは3回。1〜2回では足りていないことがほとんどです。ニオイを防ぐためには洗いで落とした汚れを残さず、しっかりすすぎ切ることが大切になります。

ドラム式の洗濯機は水量が少なめの仕様になっているので、水を注ぎながらすすぐ『注水すすぎ』がおすすめですよ。

脱水は1分ほどでかなり絞れており、3分より長くしてもあまり意味がなく、逆に今度はシワがきつくなってしまいます。部屋干しするからと長めに脱水しても、実はあまり意味はありません」


洗濯ネットや柔軟剤は使わない?

基本の洗い方で登場せず気になったのが、洗濯ネットや柔軟剤のことでした。

中村さん:
「家庭での洗濯では、基本的に洗濯ネットを使うことはおすすめしません。洗濯ネットに入れると、洗濯中に衣類の動きが抑えられ、洗浄力が下がってしまうんです」

中村さん:
「なんとなく服が傷んでしまうのでは?と使っている方も多いのですが、実際にはネットを使う必要のないものであることがほとんどです。

ソフトな洗い方をしたいものは、ネットに入れるのではなく別に仕分けましょう。そして色落ちや素材への影響が少ない中性洗剤で、洗濯機のおしゃれ着・手洗いコースを使って洗うのがおすすめです。

ただ目指す仕上がりによっては、家庭での洗濯ではどうしても難しい場合も。ドライクリーニングに出してプロに任せることも選択肢の一つに入れてみると、より服を長持ちさせられますよ」

▲おしゃれ着用の洗剤はほとんどが中性。容器の裏側には中性・弱アルカリ性、それぞれ向いている衣類の素材や用途が書かれている

中村さん:
「また柔軟剤は、衣類に柔軟性や静電気防止の効果を与えるためのもの。例えばニットなどに使うのがおすすめで、ほとんどの衣類には必要ないことが多いです。

洗濯で汚れをしっかりすすぎ切れると、衣類本来の柔らかさが戻り、柔軟剤なしで問題ないと実感するはず。タオルの吸水性もアップします」

タオルと服、白いものと色移りしそうなもの……など、仕分け方に基準はあるのでしょうか?

中村さん:
「今回ご紹介した洗い方は、本来は綿やポリエステル素材の白いアイテムを想定したもの。その他に色物ウールのニットなどソフトに洗うもの、と衣類を計3つのカテゴリーで分け、まとめて洗うことをおすすめします。

白物と色物は細かく何個も分ける必要はなく、色の薄いものと濃いもので、それぞれまとめて洗っていただいて大丈夫ですよ」


洗濯は「自分がどう着たいか」が一番大切

中村さん:
「洗濯の仕方や洗剤の種類、そもそも家で洗うかクリーニングに出すか……と、洗濯で迷ってしまうことって意外と多いと思います。

けれど大切なのは『洗えるかどうか』ではなく『自分がどう着たいか』。極論を言ってしまうと、全ての服は洗濯機と洗剤さえあれば洗えます」

中村さん:
「けれど同じシャツ一枚でも、着る人やシーンによってどう着たいかは変わりますよね。単に汚れのことだけではなく、どんな日に着たいか、どう時間を使いたいかもそれぞれだと思います。

日常着として清潔に着たいのなら洗濯機で着る度に洗う、特別な日にシミやくすみなくパリッと着たいならクリーニングに出す……など。

まずは自分がその服をどう着たいのか?というゴールを定めて、あとはそのための洗い方を選べば良いとしたら、迷いが減ってきませんか」

▲5年愛用している白シャツは、今日教わった基本の方法で洗濯。黄ばみやくすみなどが気になることなく、白さを保てているのだそう

中村さん:
「どう着たいかは、どう暮らしたいかにも必ず繋がります。

洗濯から、皆さんの生活が快適なものになっていったら嬉しいです」

***

取材から1ヶ月近く、基本の洗い方を参考に洗濯しています。

事前にささっと手洗いしてから洗濯機に入れていた白い靴下の汚れも、リネンのパンツのシワも、洗濯機といつもの洗剤で本当に解決。部屋干しでも臭わずにさっぱり乾いているのを感じて、これが「汚れが落ちている」ということなんだ……と実感しています。

続く後編では、「浴室での部屋干し」についてご紹介します。早く乾かすコツや、浴室乾燥機がある・ない場合のポイントもお聞きしました。

【写真】土田 凌



もくじ

第1話(6月26日)
洗濯のプロに聞く、洗い方の基本。まずは「3つの量」を見直しましょう

第2話(6月27日)
部屋干しは浴室で完結。「早く乾かす」ポイント3つ

中村祐一

長野県のクリーニング会社「芳洗舎」3代目。洗濯から考えるよりよい暮らし方の提案を行い、「衣・食・住」における「衣文化」の革新に洗濯の側面から取り組む。テレビや雑誌、ウェブメディアなど、多方面で活躍中。仲間のクリーニング師と共に、洗濯講座の開催や災害時の洗濯支援活動などもおこなう。


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