【ちゃんと知りたい、部屋干しのこと】後編:部屋干しは浴室で完結。「早く乾かす」ポイント3つ
ニオイが気になる、さっぱり乾かないイメージ……どうしても苦手意識のある部屋干し。特に雨模様の日が多いこの時期は、毎年モヤモヤしながら過ごしていました。
そんな中でお話を伺ったのは、洗濯家・中村祐一さん。家庭での洗濯の悩みを解決するアドバイザーとして、多方面で活躍されています。
前編でお聞きしたのは、ニオイの原因となる汚れをしっかり落とす「基本の洗い方」。つづく後編では、浴室を使った部屋干しのポイントを教えていただきました。
今回撮影したスタッフ森下宅の浴室は、浴室乾燥機や窓がないつくりですが「全く問題ないですよ」と中村さん。
ご自身も、以前は梅雨に限らず一年中、この方法でご家族4人分の洗濯物を干していたのだそうです。
前編「基本の洗い方」はこちら部屋干しは、浴室で完結できます
中村さん:
「そもそも浴室は湿度が高くなることを前提にしたつくりなので、家の中でも部屋干しによる湿気の影響が出にくい場所。我が家では、お風呂から上がったら干して、次の日入る前に回収するサイクルにしていました。
一日中干したままでもじゃまにならず、濡れた洗濯物を移動させる手間もないので、生活の中にスムーズに取り入れられますよ」
▲物干し竿ホルダーを使うときは、長さを調節できる物干し竿が便利
中村さん:
「浴室に備え付けの物干し場がない場合は、突っ張り棒で十分です。
他にはマグネット付きのホルダーを使って物干し竿を設置する方法も。ご自宅の浴室に合ったものを見つけてみてください」
「空気の流れ・湿度と温度・表面積」を意識しましょう
▲前編から引き続き、スタッフ宅で教わっています◎
中村さん:
「洗濯で汚れがしっかり落ちていれば、嫌なニオイはしにくくなるので、それだけで部屋干しのネガティブさはほとんどなくなるはず。
その上で『早く乾かす』ために大切なのは、干す場所の空気の流れ・湿度と温度・洗濯物の表面積です」
サーキュレーターで空気の流れを
▲空気中の水分は上から下へ落ちていくので、風を洗濯物の正面や下から当てます
中村さん:
「濡れている洗濯物の周りは、湿った空気が溜まった状態。
そこにサーキュレーターや扇風機で風を送ることで、常に新しく乾いた空気に入れ替えると、水分が空気中に逃げていきます。換気扇も回しておきましょう」
中村さん:
「風が通りやすいよう、洗濯物同士の間隔を広くするのもいいですね。
ただ洗濯物の量が多くてそうもいかない場合は、洗濯物同士が触れないくらいの幅で。このくらい近くても大丈夫です」
湿度を下げるため換気扇をオン。ドアも開けましょう
中村さん:
「空気がジメジメしていると、洗濯物から蒸発した水分を抱え込みきれず、乾きが遅くなる原因に。
逆に乾いた空気は、水分をぐんぐん受け取ってくれます。換気扇は常に回し、できる限り湿度を下げましょう。
また温度については高いほど、空気が水分を抱え込みやすくなります。
浴室乾燥機を使うと温度が上がるので乾きやすいのですが、同時に湿度を下げなければ逆効果。湿った空気の排気がうまくいかない場合には、浴室のドアを少し開け、そこからサーキュレーターや扇風機で風を送ります。湿った空気が逃げやすくなり、乾くのが早くなるはずです」
乾きやすくなる干し方の工夫
中村さん:
「水分は、空気に触れたところからしか逃げられません。だから出口を増やすには、服の表面積を大きくすること。
シャツであれば、ボタンを外し襟は立てます。パンツは裏返し、筒状に干すと乾きやすいですよ」
中村さん:
「また干す前に10〜20回振りさばくと、繊維が起き上がり、仕上がりが柔らかくなります。タオルを干すときにぜひやってみてください」
リビングや居室に干すなら
中村さん:
「リビングなどの部屋で干すときにも、大切なポイントは浴室のときと変わりません。
エアコンのある部屋であればドライモードにして、できればエアコンの風があたる場所に洗濯物をおきましょう。湿度を下げるために除湿機を使ったり、サーキュレーターで下から風を当てたりするのも効果的です。
ちなみに湿度は低いほどいいですが、人が過ごしていて快適と感じるくらいならば大丈夫です。ご自身の過ごしやすさを基準に調整してみてくださいね」
部屋干しの味方になるアイテム
中村さん:
「決して必須ではないのですが、特に湿気が多い時期には、サーキュレーターや扇風機、除湿機があると乾きやすく、助かることが多いかと思います。
リビングなどの部屋で乾かすときには、大きめの物干しタワーがあるといいですね。
また、タオルなどを乾かすためにはやはり乾燥機もおすすめ。ガス乾燥機でなくても、電気式のもので十分です。配管工事なしで、コンセントがあれば使えますよ」
***
我が家には浴室乾燥機がないから、と浴室での部屋干しは諦めていました。
取材をきっかけに早速物干し竿とホルダーを探し、前編での洗い方と一緒に試すこと1ヶ月。本当に一度もニオイが気になったことがなく驚いています。
中村さんから洗濯と部屋干しのことを聞き、個人的に一番大きかったのは、全ての行動に「理由」が加わったことでした。
洗濯物を仕分ける、洗剤を選ぶ、水量を設定する。洗濯機から取り出したら20回振りさばいて、扇風機で風を送る。
その一つ一つに理由があって、それは全て自分の「この服をどう着たいか」につながっていることが、なんだかすごく嬉しくて、そしてシンプルで気楽です。
部屋干し問題が解決した今年の梅雨は、少しだけ肩の力を抜いて過ごせそうな気がしています。
前編「基本の洗い方」はこちら【写真】土田 凌
もくじ

中村祐一
長野県のクリーニング会社「芳洗舎」3代目。洗濯から考えるよりよい暮らし方の提案を行い、「衣・食・住」における「衣文化」の革新に洗濯の側面から取り組む。テレビや雑誌、ウェブメディアなど、多方面で活躍中。仲間のクリーニング師と共に、洗濯講座の開催や災害時の洗濯支援活動などもおこなう。
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