
4月は寒暖差で体調が揺らぎやすかったり、新生活に緊張して気持ちがそわそわしたり。ちょっとしたストレスやイライラも感じやすい季節ですが、めげずに自分で自分の機嫌を取り、朗らかに過ごしたいもの。
そこで、仕事に子育てに忙しそうなのに晴れやかな笑顔が印象的な郡司杏(ぐんじ・あん)さんのアトリエを訪ね、ヒントを伺いました。郡司さんはアパレルブランド「JöICEADDED(ジョイスアディッド)」の運営・デザイナーを務めています。
前編では、家の中や仕事場で良い気分を保つのに役立っているものをお聞きします。
気分のムラや落ち込むこともあるけれど……

SNSで拝見したり、お仕事でご一緒したりするときの郡司さんはいつも楽しそうですが、感情の波を感じることはありますか。
郡司さん:
「めちゃめちゃありますよ。ホルモンバランスの影響や仕事上のトラブル、2歳の子どものいろいろや、夫とのちょっとしたすれ違いなどで、日々揺らいでいます。
でも、周りに不機嫌な態度を取るのはよくないな、と思っているんです。
無理に笑顔を作る必要はないけれど、最低限のマナーとして、メンタルが落ちていても、ふだん通りの自分でありたいな、と。
とはいえ、夫や両親にはつい当たってしまうこともあるので、そこは課題です(笑)」

そんなときに、モノの力を借りて機嫌を取ることは有効なのだとか。
郡司さん:
「お気に入りのモノを眺めたり、使ったりすることで、気分を害する原因、たとえばトラブルやつまずきから、気持ちをそらすことができるんですよね。
ほっとしますし、少し笑顔を取り戻すことができて、機嫌も直る。
やっぱり私はモノが好きだな、助けられているな、と思うことが多いです」

ふだんは圧倒的に仕事場で過ごす時間が長いという郡司さん。朝の支度をし、お子さんを保育園に送ったら、18時過ぎにお迎えに行くまで仕事に追われています。
郡司さん:
「デザイナーというと、みなさんキラキラした姿を思い浮かべてくださるようなんですが、まったく違うんです。
デザインだけでなく、運営もひとりで行なっているので、検品や発送といった作業や事務仕事のほうが多いくらい」
ちっとも優雅ではないと話す日々を助けてくれるモノを5品、教えてもらいました。
やすらぎを与えてくれるお茶

郡司さん:
「ちょっとひと息つきたいときに、お茶を飲みます。アトリエには自分ひとりしかいませんし、いつもタスクに追われているのでほんとうにひと息。ゆっくり休憩するほどの時間は取れないんです……。
お茶をいれるひと手間さえもったいないと思うくらい忙しいときも、やっぱり人間でいたいというか(笑)。仕事の手を止めてお湯を沸かすだけでも気分転換になりますし、ふだんの水分補給は水なので、お茶を飲むことでやすらぎ、彩りが与えられて働くマシンのような状態から人間に戻れます」
フレーバーティーが特に好きで、最近のお気に入りはシナモンの香り。郡司さんの定番は、パッケージも素敵な〈norm tea house〉のほうじ茶や烏龍茶のブレンドティーだと教えてくれました。
奮発したカップで、自分を励ます

見ているだけで癒されるかわいいフォルム。〈アスティエ ド ヴィラット〉のカップは、20代で手に入れ、ずっと使い続けています。
郡司さん:
「当時の自分には贅沢でしたが、あこがれのカップだったので。
疲れていたり、仕事で問題が発生したりしたときも、ふと目にしただけで『がんばるぞ』と思えます。
右奥にあるビンテージのグラスは、冷たい飲み物を飲むときに。フォルムが美しく、視覚的にもいやされます。
こうした日用品こそ、大事にしたいものを使うことで、生活が豊かになる気がします」
花器と花から、エネルギーをもらう

大きめの花器に、気分で選んできた花をぽんぽんと入れ、あちこちに飾っています。
郡司さん:
「花器はビンテージのものをよく探します。鳥などの動物柄や幾何学模様などが描かれたものが好き。
花は仕事場に来る途中や、お昼ごはんを食べに外に出たときに買ってくることが多いですね。忙しいときは絶やしてしまうこともありますけれど、生き生きした花がちょっとしたときに目に入ると、気持ちがおだやかになります」
本で違う視点を得て、リフレッシュ

郡司さん:
「若い頃から、読書をする時間を大切にしてきました。
子どもが生まれて小説を読む時間はなかなか取れなくなりましたが、それでも本は、現実から離れて違う場所に行くツールのひとつです。
子どもも本が好きなので、子どものためだけではなく自分も楽しめたり学びになったりする絵本を選び、一緒に読みます。パラパラとページをめくるだけで気分転換になるんですよ。
我が家は食事中にテレビは見ませんが、本は読んでいいことにしています。たとえば野菜の本を持ってきて、にんじんのことを学びながら食べさせたりも(笑)」
スチーマーで、大好きな洋服を生き返らせる

高温の蒸気で、服のしわを伸ばすスチーマーは、〈SteamOne(スチームワン)〉のもの。服が好きな郡司さんにとって、なくてはならない必需品なのだとか。
郡司さん:
「着る前にさっとスチームを当てるだけで、服がしゃんとするというか、プリっとするんですよ。クローゼットでぎゅうぎゅうに押されて寝ていた繊維がふわっと膨らむので、買ったばかりのような感じに。
どうせ着ているあいだにしわになりますし、他人から見たら何も気にならないと思いますが、自分の目に映る服がきちんとしていると、朝から気分がいい。
ニットやコートのように頻繁に洗えないものは匂いが気になりますが、スチームを当てると消臭効果もありますし、1日を気分よくスタートするためのマストアイテムです」
自分で自分の気持ちを整えたいから

家や仕事場で郡司さんのご機嫌をつくる5アイテムを見せてもらったところ、共通項が見えてきました。
郡司さん:
「これがあると、気持ちが整って落ち着く、そういうアイテムですね。他人目線ではなく、自分の心がおだやかになるモノ。
よく目に入るものは、できるだけかわいいもの、生活感が出過ぎないものを選ぶように気をつけています。家や仕事場を丸ごと変えることはできないけれど、小さなところを少し意識するだけで、気分よく過ごせるように思います」
続く後編では、プライベートや仕事で出かけるときに、気持ちが高まって楽しくなるアイテムを伺います。
(つづく)
【写真】メグミ
もくじ
第1話(4月27日)
ちょっとした時間に好きなものがあると嬉しい。家や仕事場で日々を支えてくれるもの。
第2話(4月28日)
今日も気分よくいたいから。凛とした気持ちをつくるものを持ち歩いてます。
郡司 杏
2011年にスタイルデパートメントにて「PULETTE」を立ち上げ、2018年に活動を休止。2021年に独立し、自身の会社にて「JöICEADDED(ジョイスアディッド)」を設立。
Instagram:@gunjian, @joiceadded
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