【ケの日のこと】思い描く「暮らし」には程遠くても。今のわたしの「ひと息」のつき方
「家族と一年誌『家族』」編集長 中村暁野
第6話:今を楽しむ
1月も終わりに差しかかっておりますが、2018年の目標は「今を楽しむ」にしたいと思います。今という時を楽しむために、まずは今という時を受け入れることから始めよう。そう気付いたのは昨年末のある日、椅子にも座らず、キッチンで立ったままシュトーレンを食べていた時でした。
そういえば毎年12月も半ばくらいになると、どうにも心落ち着かなくなるわたし。夫の仕事が佳境のこの時期に、家庭内でもクリスマス、大掃除、新年の準備等、イレギュラーな重大行事が立て続けに待っていると思うとあれもこれもやらねばと、どうにも肩に力が入ってしまう。なので、せめて1日の中に一息つける時間を作ろうと、自分のために大好きなパン屋さんのシュトーレンを買いました。薄く切って紅茶やコーヒーとともに食べる、そんな暮らしを夢見ていたのです。しかし、ちょっとのゆとりを作れないまま日々はすぎ、気づけばシュトーレンは半分に……。毎日キッチンの片隅でムッシャムッシャと消費され、いつの間にか半分になってしまったシュトーレンを、呆然と見つめるわたしでした。
お茶を淹れる時間がないわけではないのです。ただ、いつ何時0歳の息子が泣きだすか、ぐずりだすか、というハラハラの狭間では、淹れたお茶の香りを楽しんだり、お茶を片手に本をめくってみたり、そういう心の余裕を持ちにくく、結果立ち食いシュトーレン。不自由で、せわしなくて、お茶の一杯もままならない自分の暮らし。しなくてはいけないことの半分も終わってないし、ああ、こんなのは思い描く「暮らし」からはほど遠いわ……といつもの私なら大きなため息をつくところなのですが。
▲歩き始めた息子。ますます目が離せなくなりました
ふと、わたしの描く「暮らし」ってなんだろう?と思ったのです。行事ごとはできればきちんと行いたい。そんな中でも一息つける、自分の時間も持ちたい。それも日々の中でとても大切なことですが、行事は毎年やってくるし、お茶とお菓子をゆっくりと楽しむ、そんなことがこの先一生出来ないわけではないのです。丁寧にお茶を淹れ、お気に入りのお皿にお菓子を盛って食べることが、正しい一息のつき方と決まっているわけじゃありません。そう思うと、コロコロした子供にまみれて、やりたいことは思う通りに進まない、そんな今という時を過ごす上で、こうやって食べるシュトーレンこそ、今の私らしい一息のつき方と言えるのではないか?と思えてきたのです。だって子供の見ていない隙を狙い、素早く一口で食べるシュトーレンの、口中いっぱいに広がる濃縮された味わいを感じられるのって、きっと、今だけなのです。
「今を楽しむ」ためには、今わたしのそばにあるものを受け入れて、この今だからこそできることに喜びを感じよう。そんなことに気付いた年の瀬でした。ということで一向に大そうじは進まなくとも、お飾りを飾れぬまま迎えてしまったお正月も、それもまた良し。ズボラに拍車がかかってしまいそうな、そんな予感がしなくもない、2018年の始まりでした。
【写真】馬場わかな(1枚目)、中村暁野(2枚目)
中村暁野(なかむら あきの)
家族と一年誌『家族』編集長。Popoyansのnon名義で音楽活動も行う。7歳の長女、0歳の長男を育てる二児の母。現在は『家族』2号の取材を進めている。2017年3月に一家で神奈川県と山梨県の山間の町へ移住した。http://kazoku-magazine.com
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