【暮らしの色あそび】後編:インテリアも、洋服も。色小物で日々を彩りませんか?

ライター 嶌陽子

あたたかな日差しのもと、自然も人も生き生きとするこの季節。心機一転の春だからこそ、「色」のチカラを暮らしに取り入れてみませんか?

お邪魔したのは、色使いの上手な料理研究家・フードスタイリスト、黄川田としえさんのお宅。インテリアをはじめ、愛用品の数々を見せていただきました。

家の数ヶ所の壁を鮮やかな色に塗って楽しんでいるという前編

続く後編では、日々使っている食器や調理道具、さらには黄川田さんのファッションにおける色の楽しみ方を教えてもらいます。

 

白いテーブルクロスは、色の器を引き立てるすぐれもの。

色のある器も普段からよく使っているという黄川田さん。器を買う時は、特にお店や作家で決めているわけではなく、好きと思ったものを直感で選ぶといいます。

藍色のプレートやきれいなブルーのガラスボウルなど、どの器も表情豊か。白いクロスの上だと、それがいっそう映えます。

▲手前の藍色の大きな丸皿は伊藤丈浩さん作、マットなブルーの丸皿は鈴木史子さん作、ガラスボウルは小谷栄次さん作(倉敷ガラス)、花柄の中鉢は岡本芳久さん作。ブルーの模様が描かれたボウルは沖縄のやちむん。

黄川田さん:
「白いクロスは、色の器をすごく引き立たせてくれます。

染みがついてしまうからと、使うのをためらう人も多いようですが、汚れたら漂白できるので、実はそんなに難しく考える必要はないんです。1枚持っておくと便利ですよ」

一方、色のクロスも普段から楽しんでいるそうです。出してくれたのは、濃いフューシャピンクのクロス。ここに先ほどの器を置くと、またガラリと違う雰囲気になります。

黄川田さん:
「このフューシャピンクも、一見ハードルが高そうに見えるかもしれませんが、意外と何にでも合うんです。

以前、フードスタイリングの仕事で、濃いピンクのクロスにシルバーを置いた時に、『きれいだ!』と開眼。それ以来好きになり、よく使っています」

 

キッチンを明るくする、色とりどりのル・クルーゼ。

キッチンも見せていただきました。きれいに整えられたキッチンの中で目を引くのは、重ねて置いてある、カラフルなル・クルーゼの鍋。

黄川田さん:
「ル・クルーゼが好きで、少しずつ買い足してきました。半分以上が15年以上使っているもので、どれも愛着があります」

きれいな色が、キッチンのアクセントにもなっています。仕事柄、キッチンに立つ時間が圧倒的に多い黄川田さんにとっては、気持ちを明るくしてくれるアイテムです。

さらに、小さな花やグリーンも、空間を生き生きとさせる大切な要素。

黄川田さん:
「食べ物を扱う場所なので、植物は、花びらがぽろぽろ落ちてこないものや、花粉がたくさんついてないものを選ぶようにしています」

 

季節に合わせた色味の布で、簡単模様替え。


前編で紹介したように壁をペンキで塗らずとも、部屋の雰囲気を大きく変えられるのが布。

黄川田さんのお宅の玄関テーブルの下には、さまざまな色の布が入ったかごが置かれていました。

黄川田さん:
「仕事で使うことも多いので、布はたくさん持っています。季節に合わせてソファに好きな色の布をかけるだけでも、部屋の雰囲気ががらっと変わりますよ」

▲春はピンクなど、夏は涼しげなブルー、秋は茶系などの布で季節感を演出。

目に触れる面積が大きいので、部屋の印象がかなり変わります。タペストリーのように、好きな布を壁に貼ってみるのも手かもしれません。

シンプルな装いが、華やかなターバンでぐっとあか抜ける。

さて、次は黄川田さんのファッションアイテムもいくつか見せてもらいました。

何枚も持っているのが、色のきれいなスカーフ。古着屋さんなどで買うことが多く、ほとんどがビンテージのものです。

黄川田さん:
「白いトップスなど、服の色はシンプルなことが多いんです。だから、頭にターバンとして巻いて、アクセントにしています。

その日巻くスカーフは、その時の髪色に合わせて選ぶこともあれば、夏だったらブルー系、秋口は茶系など、季節に合わせたりもしますね」

シンプルな装いに少し小物を足すだけで、印象的な装いに。顔まわりも明るくなって、チャーミングな雰囲気です。

▲トップス、ボトムスとも「Omas Hande(オーマス ヘンデ)」。

もうひとつ、鮮やかな色を取り入れることが多いのがソックス。パンツの裾からちらりとのぞかせるのが黄川田さん流です。

▲リネンやウール、手編みのものなど、さまざま。

黄川田さん:
「ナチュラルな雰囲気の服も、もちろん好きです。でも、それだけだと、ちょっと物足りなくて。
どこかに少し、ビビッドなものや毒が入っているのが自分らしいおしゃれだと思っています」

「自分の色」で、暮らしを自由に楽しんでみませんか?

▲棚の上に飾ってあった色とりどりのキャンドル。お祝い事の食卓などで使っているそう

前後編にわたってお届けした、黄川田としえさんに聞く“色の楽しみ方”。

色の壁があると、その前に飾る小物や植物がこんなにも生き生きと見えるとは。実際に見せていただいた際の、素直な驚きでした。

「壁塗り=大変」というイメージも、コーナーを絞ることで少しは払拭されそうです。

また、季節に合わせた色の布をソファにかけたり、うつわや調理道具、ファッション小物といった日用品で色を取り入れるアイデアは、明日からでも実践できそう。

黄川田さん:
「大きな仕事がある日に、『頑張るぞ』という気持ちで、カラフルなスカーフを頭に巻いて色から元気をもらうこともあります。一方で、好きな色のラグを敷いて落ち着くことも。

色は自分にとってモチベーションを上げたり、リラックスさせてくれたりする大事な要素ですね」

結婚や出産を経験したり、仕事を通じてさまざまなものに触れることによって、今のスタイルが出来上がっていったという黄川田さん。取材中、何度か口にした「自分らしい」という言葉が印象的でした。

一見、びっくりするような大胆な色使いも、自分が本当に好きなものを大切にした結果。だからこそ、本人や家全体に、違和感なく馴染んでいるのかもしれません。

私も、黄川田さんのように、自分の“色”を見つけて大切にしていけたら。日々のささやかな楽しみが、さらに増えていきそうです。

(おわり)

【撮影】鈴木静華

 


もくじ

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黄川田としえ(totto)

料理家・フードスタイリスト・tottorante主宰。メディアでのフードスタイリング、レシピ開発、出演などをはじめ、料理講師、カフェメニュー監修など多岐にわたり活動中。フードスペースやその空間を演出するイベント等のフードケータリング、子どもたちの心と体の成長をサポートする家族向けワークショップを各地で開催中。著書「毎日のごはんと心地よい暮らし(宝島社)」など。
ホームページ toshiekikawada.com
Instagramアカウント @tottokikawada

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ライター 嶌陽子

編集者、ライター。大学卒業後、フリーランスでの映像翻訳や国際NGO職員を経た後、2007年から出版社での編集業務に携わる。2013年からフリーランスで活動を始め、現在は暮らしまわりの記事や人物インタビューなどを手がける。執筆媒体は『クロワッサン』(マガジンハウス)、『天然生活』(地球丸)など。プライベートでは1児の母として奮闘中。


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