【ケの日のこと】「飽きっぽい」は短所だと思っていたけれど。
「家族と一年誌『家族』」編集長 中村暁野
第17話:長所と短所は裏表
わたしの夫はなんでも思いついたら即行動というタイプです。その行動力が彼の長所だとは思うのですが、それが突飛すぎてついていけないことも多々。そして瞬発力はあるのですが、計画を立てる、コツコツ続けるといったことは極端に苦手で、始めたはいいけれどそのまま放置されていることも山ほどあります。
たとえば、今はすっかり娘の担当として定着した朝のコーヒードリップ。それまで飲む習慣がなかった我が家にコーヒーが登場したのは数年前。「ぼく、いずれコーヒースタンドやるってどうだろう? 『ヒョータコーヒー』ってよくない?」と言った夫(名前はヒョータ)が意気揚々とドリッパーを用意し、淹れてくれるようになったことがきっかけでした。しかしそれも数日で終了。あっという間に気が向いた時に淹れてくれる程度に。
そして変わって現れたのはらっきょうを開発するというアイデア。「『ひょーたんらっきょう』っていい名前じゃない?」と、毎度ネーミングから入るのがお決まりで。しかしこちらは、保存食のワークショップに申し込んだものの参加出来ず、作る前から終了となりました。
▲タイルを貼ったものの、数ヶ月放置していた目地埋めに取り組む夫。
そんな夫がある時「ぼくはこれからカレーを極める!」と宣言。週に一回カレーを作ると言うので、いつもは聞き流していたわたしも飛びつきました。料理するのは好きですが、毎日の食事作りに息切れする日があるのも正直なところ。週に一度でもカレーが出てくるなんて、かつてなく嬉しい思いつきに「いいと思う!スパイスとか奥深くて面白いと思う!」と後押しし、気分をノせ、作ってもらったバターチキンカレー。レシピに忠実に長時間かけて作っただけあり、とても美味しく感じました。
それが、かれこれ2年ほど前のこと。先日夫が「ぼくはいずれパン作りを極める!」と宣言した瞬間に、2年前の “カレー宣言” を思い出し、結局作ったのってあの日のバターチキンカレーのみじゃないか!ということも思い出しました。
▲半分ほど色を塗ったところで放置されている我が家の玄関。
そんなわけで、夫の短所は飽きっぽいところ、といえます。ですが、夫の仕事(イベント等の企画やそれにまつわる空間デザイン)においては、そのつぎつぎと興味が移りひとところに留まれない性質こそが、とても活きている気もするのです。
人の長所と短所って実は裏表なのかもしれません。
そう思うと、落ち着いた、こつこつとした習慣のある日々への憧れはあるものの、次は何がくるか予測不能な我が家の「ケの日」もまた悪くない。そう思える気もしてきます。とはいえ、やっぱり週に一度のカレー(パンでもいい)は再開を心待ちにしています。
【写真】中村暁野
中村暁野(なかむら あきの)
家族と一年誌『家族』編集長。Popoyansのnon名義で音楽活動も行う。7歳の長女、1歳の長男を育てる二児の母。現在は『家族』2号の取材を進めている。2017年3月に一家で神奈川県と山梨県の山間の町へ移住した。http://kazoku-magazine.com
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