【メガネとわたし】前編:顔立ちだけじゃない。服装や気分に合わせたメガネ選びって?
メガネは似合わないと諦めていませんか? 実は顔だけでなく、全身に合うのが本当に似合う眼鏡なんです。似合わないからと避けてきたメガネ。でも、そもそも「顔に似合う」ことだけが正解ではないのかも? 顔だけじゃない、「自分らしさ」に合うメガネ。それって一体どうやって見つけるものなのでしょう? 眼鏡ライターの伊藤美玲さんにお話を伺いました。
編集スタッフ 奥村
メガネは似合わない。そう諦めていました
メガネを掛けた自分の顔が、昔から好きになれなかったわたし奥村。憧れつつも、心のどこかで「似合わないから」とメガネを避けてきました。
けれど最近視力が落ちて、いよいよメガネと向き合うことに……勇気を出してお店でメガネを手に取ったとき、店員さんにかけられたのはこんな言葉。
「鏡に全身を映して、試着してみてください。顔だけじゃなく全身に合うのが、本当にぴったりのメガネなんですよ」。
言われるままに、姿見の前に立ってみたら……あんなに苦手意識のあったメガネが、前よりなじんでいる気がしたのです。
「顔に似合う」だけがメガネの正解じゃない?
似合わないからと避けてきたメガネ。でも、そもそも「顔に似合う」ことだけが正解ではないのかも? そう思い始めたある日、とあるコラムで気になるフレーズに出合いました。
「似合うメガネの要素は、顔立ちだけではありません。服装や気分、キャラクター。そんな自分らしさを作る要素も、『似合う』の一部だと思うんです」
書き手は、「眼鏡ライター」の伊藤美玲(いとう みれい)さん。雑誌やwebを中心に、メガネに関する記事を日々発信しています。
顔だけじゃない、「自分らしさ」に合うメガネ。それって一体どうやって見つけるものなのでしょう? そのヒントを探すため、今回は全2話で伊藤さんにお話を聞きました。
「一目惚れした1本が、わたしの人生を変えました」
幼い頃からメガネっ子だったという伊藤さん。けれど眼鏡ライターになる前は、15年以上、メガネに引け目を感じてきたといいます。
伊藤さん:
「わたしは昔から強度の近視でした。近視用のメガネって度数が強くなるほどレンズが分厚くなって、掛けると目が小さく見えてしまうんです。だから、『おしゃれ』とは程遠いアイテムに感じられて。似合うかどうかで選ぶ以前に、ただ見るために必要な道具でした。
『写真を撮る時はメガネを外しなさい』と両親にも言われていたから、人前で掛けるのに抵抗を感じた時期もありましたね」
そんな伊藤さんの転機になったのは、社会人になってから、何気なく入ったメガネ店での出来事です。
伊藤さん:
「『強度の近視でも、レンズの小さなデザインなら薄く仕上げられますよ』と店員さんにはじめて教えてもらって。
その時に勧められたのが、フレームが紫、紺、エンジの3色になったメガネ。こんなおしゃれなメガネがあるんだ!と衝撃を受けたんです」
当時、保険会社に勤めていた伊藤さん。職場でも掛けられそうな、シンプルながら気の利いたデザインに一目惚れして、購入。それはメガネ人生の中ではじめての、ワクワクする体験だったと言います。
▲当時のメガネは、今でも大切に保管しているそう
それからというもの、「おしゃれなメガネ」に出合うことが、楽しくて仕方なくなった伊藤さん。
フレームに花のあしらいがあるものや、キラリと光る仕様のもの。たくさんの新鮮な出合いを経て、いつしかメガネは道具ではなく、自分を飾る 「アクセサリー」のような存在へと変わったと言います。
メガネは「似合う」かどうかだけで選ばない?
今までに、総勢100本以上のメガネを購入してきたという伊藤さん。では、自分に合うメガネをどんな基準で選んでいるのでしょうか?
伊藤さん:
「パッと見て『好きだな』と思えること。その直感を、大切にしています。
じつはわたし、ステキ!と思うメガネを見つけたら、似合わなくても買ってしまうことが少なくないんです。
ネックレスやピアスだって、自分に似合うかを吟味するより、直感でステキと思ったものを買った方がワクワクしませんか? メガネもそれと同じ。似合うかどうかばかりを気にするより、『好き』と思えたものを手に取る方が、きっと自分らしい選択。選ぶメガネにも、より愛着を持てると思うんです」
好きになったメガネに、似合うわたしになりたい
そうして自分好みのメガネに出合えたら、そのメガネが似合う自分に近づけるのが、伊藤さんのやり方です。
伊藤さん:
「最近、一目惚れしてこのメガネを買いました。
今まであまり丸フレームは掛けてこなかったけれど、このメガネが似合うわたしになりたいと思ったから、美容師さんに『このメガネに合う髪型に』とお願いして、前髪をカットしてもらったんです。
今日の黒いワンピースも、このメガネに似合いそう、と思って新調したものなんですよ」
そうウキウキと話す姿はまるで、お気に入りのネックレスを主役にコーデを選ぶときのよう。
似合わないからと諦めず、「似合おう」と前を向く。伊藤さんはその過程も含めて、楽しんでいるように見えました。
つづく後編では、そんな伊藤さんが「自分らしいメガネ」を選ぶ上で実践している、具体的なポイントを伺います。
(つづく)
【写真】岩田貴樹
もくじ
伊藤美玲
眼鏡ライター。保険会社、出版社勤務を経て、2006年にフリーのライターへ。メガネ専門誌やモノ雑誌を中心に、メガネにまつわるインタビューやコラム記事を執筆している。2015年から2017年まで、メガネの国際展示会「iOFT」で行われている「日本メガネ大賞」の審査員も務める。プライベートでは1児の母。http://mireito.petit.cc/。Instagramアカウント(@eyewear_note)
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