【スタッフコラム】強い風が吹く朝に

お客様係 石井

朝、家を出ると、強い風が吹いていました。

一緒にいた1歳児はびっくりして泣き出し、3歳児は「うわっ、すごい!」と叫んで風に向かって走り出します。

私は、涙の1歳児の手を引いてなだめつつ、「まえにっ、すすめないっ」と笑いが止まらなくなった3歳児に「がんばれ〜」と言いながら、なんとかかんとか、保育園に向かいます。

対照的な二人の様子がおもしろくて、会社に向かう電車のなかでも、私はそのシーンを思い出していました。

「どうしていいか分からず、動けなくなって泣いてしまう」
「走り出してみて、思いどおりにいかないことに笑ってしまう」

この違いが2歳分の差なのかなぁ、などと考えていたときに、ふと頭に浮かんだのは「じゃあ、私は?」ということ。

 

当たり前なことだけれど、すこし寂しい

彼らと比べると私は30年以上経験豊富ですから、さすがに向かい風に対してどうしていいか分からない、ということはありません。

風で目にゴミが入らない限り、泣くこともないはず。

時間に余裕があれば、風がおさまるまで屋内でおとなしく待つ、という選択肢を選ぶこともできます。

でも、3歳児が見せたような笑い方は、きっとしないだろうな。
どちらかといえば「もうっ、なんなのこの風」と、イライラしてしまうかもしれない。

それが私の当たり前で、自然なことでもあるのですが、どこかすこし、寂しく思えてしまいました。

 

今朝の風は、言い換えれば「いつもと勝手が違って、戸惑うこと」。

逆境というほど大層ではなくても、なんとなく前に進みにくいな、という向かい風を感じるのはよくあることです。
たとえば、仕事がスムーズに進まなかったり、疲れてやる気が出なかったり。

そういうときの対処法やごまかし方を、知らない訳ではありません。

でも、「もうっ、なんなのこれ」とイライラするのは、寂しい。

というより、うれしくない。

 

向かい風に、笑ってみる

いっそのこと、風に叫んだあの子みたいに、思いどおりにいかないことをカラリと笑えないかしら。
「うわっ、いつもと違う!」とつぶやきながら。

そうしたら、なんだかちょっと肩の力が抜けそうです。
「よーし、今回はそう来るのね。負けないぞ」と思えそうな気がします。
向かい風のなかを歩くように、ほんのすこし前傾姿勢になれそうです。

そういえば私が好きな漫画にも、チャレンジすべき壁にぶつかったときに思わず笑った人がいました。

うん、いいかも。
私も、あえて笑ってみようかな。

 

* * *

 

そんなことを思いつつ、乗り換え駅で満員電車に乗り込んでみた私ですが、電車のなかではつらさが先立って残念ながら笑える隙間さえありませんでした。

状況によって、できることと、できないことがある。

これもまた大事だ、と噛み締めた朝でした。

 


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