【お坊さんのお悩み相談室】第4回:「お父さんなんでいつもダメって言うの?」子供のしつけに悩んでます。
編集スタッフ 松浦
家事や子育て、日々の仕事。私たちのくらしには、小さなことから大きなことまで「悩み」がつきものです。
連載「お坊さんに聞く、くらしの悩み相談室」は、日々のモヤモヤを、お坊さんに答えていただく新連載。
クラシコムのオフィスに「くらしのお悩み箱」なるものを設置し、スタッフのくらしの悩みを集めました。
お答えいただくのは、著書『お寺ごはん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)なども人気の、浅草・湯島山緑泉寺 僧侶の青江覚峰さん。優しい笑顔が印象的な、3児の父でもあります。
最近息子に、「お父さんなんでいつもダメって言うの」と言われて少しショックというか、反省をしました。
そんなにダメダメ言っているつもりは無いのですが、子供のやんちゃ具合が増して、最近子供をしかる場面が増えたからかもしれません。
どんな声かけをしてあげれば子供も納得するのか、お坊さんの視点からアドバイスをいただきたいです。息子は今4歳です。 (スタッフS)
子育て。本当に、これは悩ましい問題です。
私事ですが、我が家には小学校6年生を筆頭に、4年生、2年生の三人の子どもがいます。皆さんと同じように、常に子育ての悩みに振り回されています。ですので今回のお悩みは、仏教の立場からというより、一人の親として思うことをお話したいと思います。
決して、「これが正しい」とは限りません。ただ、お寺という環境で子育てをしながら、なんとなく「子育てとはこういうものなのかな」「こんなふうに考え、行動できたらいいな」と感じるものを、皆さんにもお伝えできたらと思うのです。
親であれば、子どもに健やかであってほしい、幸せになってほしいと願うのは当たり前のことで、そのためにできるだけの努力をするもの。
けれど、その努力の方向がいまいち定まらない、思うように結果が出ない…… そもそも、自分の考える幸せが、必ずしも子どものそれに結びつくのかわからない…… 子育て真っ最中は、ゴールが見えにくいものです。
他のことなら、理想や目標を実現するためにどんな道筋を通ればいいのか、それなりに予測がたてられるのに、子育てに関してはそううまくいかない。なぜでしょうか。
これはズバリ、親と子どもは違う人間だから。このひと言に尽きる気がします。
例えば我が家の子どもは三人とも、顔かたちも性格も全く違います。
長女は、自分のやりたくないことでも求められれば一生懸命やり、その努力と結果を褒めてほしいというタイプ。次女は、認められなくとも叱られようとも、自分のしたいことをしたい、やりたくないことは絶対にやりたくないというタイプ。いつも朗らかで癒し系の三女は、一歩引いているように見えて、最後の最後では誰よりも強情なところがあります。
同じ親から生まれ、同じ環境に暮らし、同じものを食べていても、三人は一人ひとり間違いなく違う人間です。同じ言葉で伝えても、反応は三者三様。叱っても、褒めても、返ってくる反応はそれぞれ違います。
もちろん、一人ひとりの適正を見極めて子育てしていくのが望ましいことですが、「見極める」人間は、親しかいません。
「しっかり見てあげなくては」と、一生懸命になるあまり、初めの頃は、子供に対してやりすぎなところもあったと思います。それでも、子どもがすくすく育っていく様子を見ると、「親はなくとも子は育つ」と昔から言い古された言葉を実感するばかりです。実際、とりわけ三女に関してはいつの間にかひらがなが読めるようになり、いつの間にか一人で頭が洗えるようになっていました。
私も妻も、手取り足取り教えてはいないのに。
これは、親がどうしたということではなく、三女自身が、自分の生まれ持った環境によって得たものです。
自分の物差しだけで、人一人の人生を方向付けようなどというのは、おこがましいことなのかもしれないと思います。
親心があるのは自然なことです。子どもを愛おしく思い、どうにかして困難から遠ざけてあげたいと思うのは、どうしようもなく当たり前の気持ちです。
でも、どこまでいっても、親と子どもは違う人間でしかありません。
わたしたちは、自分の心と体でさえ、自分の思いどおりにならないことを知っています。あまつさえ、自分と子どもはどこまでいっても別々の個人です。
それをしっかりと心得ることが、子育ての悩みに向き合うスタートになるのかもしれません。私も子育てをしている親のひとり。これだ!という答えはでませんが、子どもが安心して楽しく過ごせる環境をできるだけ整えてあげたいのです。
青江覚峰
もくじ
僧侶 青江覚峰
浄土真宗東本願寺派 湯島山緑泉寺住職。米国カリフォルニア州立大学にてMBA取得。料理僧として料理、食育に取り組む。「暗闇ごはん」代表。超宗派の僧侶によるウェブサイト「彼岸寺」創設メンバー。
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