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【店長コラム】いくつになっても、あたらしい感情を手にいれたい。
店長 佐藤
小学2年生の息子が、ある頃から「あたらしい感情を手にいれた」と報告してくれるようになりました。
はじめてその言葉を聞いたときは「え?今なんて言った?もう一回言ってみて」とお願いしたくらい、わたしにとっても新鮮すぎるセリフでした。
あたらしい感情を手にいれる。それって、どういうことなの?と。
母親であるわたしの胸のうちまで、不思議な気持ちで満たされたのを覚えています。
息子の口からそのセリフが出てきたのは、はじめて友達の家にひとりで遊びに行って晩ご飯までいただいて帰ってきた日のことでした。
帰ってくるなり「今日はあたらしい感情を手にいれたよ!」と。
話を聞けば、今日という日が楽しみすぎてドキドキして、でも行くまではすごく緊張もして、その気持ちがあたらしい感情だったとのこと。
つい先日も、別の場面で同じセリフが飛び出しました。
ある日曜日。お昼ご飯を外食したあと親子で並木道を散歩していたのですが、たまたま通りかかった公園で木工のワークショップをしていました。
台風で折れてしまった桜の木をつかって、バターナイフや菜箸、コップやカッティングボードなどをつくらせてもらえるというワークショップ。
造形など手を動かすことが大好きな息子は、いったん興味をもって立ち止まったらその場を決して動こうとしませんでした。絶対に自分もなにかつくっていきたい!と。
早く家に帰りたかったわたしは、少しばかり面倒くさいなぁという気持ちがあったのも正直なところだったのですが、そこから2時間公園にとどまって息子の木工体験に付き合うことに。
桜の木片を一生懸命やすりで削って、出来上がったぽってりとしたかたちのバターナイフは、それはそれは息子らしいユニークな作品になりました。
その場でバターナイフづくりを教えてくださった年配の男性にもすっかりなついてしまい、「なかなかいい腕してるぞ。いい筋してるぞ」と初対面の方に自分の手先の動かし方やセンスを褒めてもらえたことがとても嬉しかったみたいなんですね。
出来上がったばかりのバターナイフを握りしめての帰り道、「今日もまたあたらしい感情を手にいれた」と息子が言いました。
「はじめて会った人に褒めてもらえてうれしかった感情」とのことでした。
それを聞いて、いやぁ2時間付き合ってよかったわと思ったわたしは、こんなことを話してみました。
「今日なにがキッカケになってこんなに楽しい日曜日に変わったか覚えてる?」
「お母さんと◎◎が最初に歩いていたのは、あっち側の歩道だったのに、途中でふと思いついて歩道橋をわたって向こう側の道を歩いてみようってことになったじゃない?あのままさ、歩道橋を渡らないでもとの道を歩いていたらワークショップを偶然通りがかることはなかったよね」
すると息子は
「そうか!学校で小さなキッカケが大きなことになるって教わったことあるけどさ、今日のがそれかい!」と大きな声で言いました。
「そうそう、そうなんだよ。どんな会社に入るかとか、誰と結婚するかとか、どこの学校行くかとか、そういうおっきな選択じゃなくても、今日みたいなちっちゃな選択が思いがけずすごく楽しい展開を呼ぶことだってあるんだよ。お母さんも、そういうこと仕事でも何度もあったよ」と伝えました。
息子があたらしい感情を手にいれたついでに、わたしも大切なことをひとつ息子に伝えられた気がして、その瞬間に味わった感情はわたしにとってもあたらしい感情だったのかもしれないというハナシ。です。
いま小学2年生の息子は、まだまだこれからの人生でたくさんのあたらしい感情を手にいれるのでしょう。
わたしにもまだまだこの先の人生に「あたらしい」「こういうことだったのか」と思える感情が待っていたらうれしいです。
そのためにもまずは、いま分かっている「つもり」になっている感情から解きほぐしてみたいものです。
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