【バイヤーのコラム】夫婦のプレゼント

バイヤー 山根 バイヤー 山根

「プレゼントを渡し合うのは、もうやめておこう」

それがうちの夫婦のルールでした。以前は誕生日やクリスマスといった機会のたび、お互いにプレゼントを渡し合っていたのですが、数年前に結婚して家計をひとつにしたころからだったか、プレゼントを渡し合う習慣をやめました。どうせひとつのお財布からお金が出るのだから、もっと役に立つものにお金をまわしたほうがいいんじゃない、というような意図からだったと思います。

プレゼントをもらっていたころは、好みと違う服を何度かもらったりして、「いやーうれしいけど、これ着られるかな……」と率直ではないにしろ偽らざるリアクションをしてしまうこともあって、いらぬモヤモヤを生み出してしまうこともありました。プレゼントなし条約の締結後は、そういった問題からも離れられる安心感もあったんです。

ところが今年のバレンタインデー、突然妻からプレゼントをもらったのでした。

中身はボディスプレーと、ポストカードに書かれた手紙。

その頃僕は香水のような、香りものを買って試してみたいと思っていて、香水に詳しい妻によく付き合ってもらっていろんなお店を見て回っていました。2つ3つ、気に入ったものはあったものの、慣れない買いものだからか購入するまでに至らずで、そんな中このプレゼントはまさに僕の背中を押してくれるかのようなもの。

添えられていた手紙には、見慣れた文字と手描きのイラストが。「そういえば昔はよく手紙ももらっていたな」と懐かしくなりました。

「プレゼントは、なくていい」そう思っていたのですが、こうやって改めてモノや文字で気持ちを表されるのは心が満たされるものなんだなぁ、と実感しました。

期待以上の贈り物をもらった気分になった僕は、1ヶ月後のホワイトデーに同じくプレゼントを返すことに決めました。

妻は紅茶が好きだから紅茶にしよう。
きっとフレーバーに詳しいから飲んだことのなさそうな季節限定のものにしよう。
手紙にはなんて書こう。カードも用意しないと。

プレゼントを渡すのは一瞬ですが、準備するのには意外と手間暇がかかるものです。

迎えた3月14日。用意しておいた桜のフレーバーの紅茶と手紙を渡しました。突然のプレゼントに、妻は驚きました。僕もそうだったように、「プレゼントはなくていい」というルールのおかげでサプライズ感が生まれ、うれしさが大きくなるようです。

喜んでもらえてよかったー、と感じたそのときでした。袋を開けて紅茶の缶を手にした妻がややためらいがちに言いました。

「あ、わたし桜のフレーバーは苦手なんだよね……」

苦手かい!

確かにうすうすそんな気もしてたけども。10年以上の付き合いなのにフレーバーの好き嫌いも知りきれてなかった自分に突っ込みつつ、「まぁ試しに飲んでみてよ」と笑ってその場は終わったのでした。

プレゼント、次のチャンスにリベンジできたらなと思っています。


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