【お坊さんのお悩み相談室】第12回:趣味や特技など、熱中できることが特になく不安になります
編集スタッフ 松浦
家事や子育て、日々の仕事。私たちのくらしには、小さなことから大きなことまで「悩み」がつきものです。
「お坊さんに聞く、くらしの悩み相談室」は、仕事や子育てなど、日々のモヤモヤを、お坊さんに答えていただく連載。 クラシコムのオフィスに「くらしのお悩み箱」なるものを設置し、スタッフのくらしの悩みを集めました。
お答えいただくのは、著書『お寺ごはん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)なども人気の、浅草・湯島山緑泉寺 僧侶の青江覚峰さん。青江さん自身も、3児の父として、子育てにも奮闘中ということもあり、お坊さん目線、そしてひとりの親目線でお話ししていただきます。
趣味や特技など、熱中できることが特になく不安になります。何かに夢中になっている人ってやっぱり輝いてみえるし、私も何かそう思えるものを見つけなければと思うのです。(スタッフS)
趣味に熱中している人というのは、なんとも人生を謳歌し、充実した日々を送っているように見えるものですね。実際にそうなのでしょう。素晴らしいことです。ましてや趣味が高じてそれを職にしている人に出会ったりすれば、感心を通り越して羨望を抱いてしまうのにも頷けます。
さて、趣味というのは人間の生存にとっても私たちの社会生活にとっても必要不可欠なものではありませんから、誰でも一人一つ持たなくてはいけない、というわけではありません。もちろん、趣味を持ってそれに満足しているのなら大変結構なことですが、ないからといって悲しんだり苦しんだりしなくても良いはずです。それなのに、なんとなく寂しい、虚しい。生き生きと熱中している人が羨ましいと感じてしまう。なぜでしょうか。
欲しいと思うものが手に入らない苦しみを、四苦八苦のうちのひとつで「求不得苦(ぐふとっく)」と言います。日常でもよく実感されるわかりやすい煩悩です。その根本には「欲」があり、その欲が満たされないことで起こる苦しみ、思い通りにならないという苦しみがそうです。
この苦しみを小さくするには、この場合で言えば、自分の中に「私も趣味がほしい」という欲があることを自覚することが第一歩です。そして、その欲を一つ一つ解きほぐしていくことが手がかりになります。
なぜ、必ずしも必要ではないはずの趣味を持ってみたいと思うのか。
実生活に満足できず、熱中できるものがほしいから?
今の自分に不足を感じ、見聞を広げたいから?
趣味と実益を兼ねることで、もっと意欲を持って働きたいから?
新しい世界に飛び込んで、新たな出会いを見つけたいから?
こういったことが根源にあるのであれば、質問者さんを苦しめる「欲」の正体は趣味そのものではないかもしれません。
大切なのは、自分の苦しみがどこから来ているのかをまず見つめることです。苦しみと言ってしまうと大仰に感じるのであれば、モヤモヤと言い換えてもいいでしょう。自分のモヤモヤの一番奥にあるものを見極めるためにも、自分が何を欲して苦しんでいるのかにじっくりと目を向けてみましょう。
それによっては、趣味を見つけることが解決になるかもしれないし、趣味を見つけなくても生きやすいと感じられるようになるかもしれません。
青江覚峰
僧侶 青江覚峰
浄土真宗東本願寺派 湯島山緑泉寺住職。米国カリフォルニア州立大学にてMBA取得。料理僧として料理、食育に取り組む。「暗闇ごはん」代表。超宗派の僧侶によるウェブサイト「彼岸寺」創設メンバー
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