【映画えらびに迷ったら】心を落ち着けたいときは、コーヒーが飲みたくなる作品を

編集スタッフ 松田

家で過ごす時間を充実させたくなるこの頃、やっぱり映画が欠かせません。

でも、いざとなると、どの映画を観ようか迷ってしまうこともありませんか?

そこで、いまの気分にぴったりな「インテリア」「ファッション」「コーヒー」にまつわる映画を全3話でお届けします。最終話はコーヒー編です。

 

喫茶店・店主セレクト。コーヒーが飲みたくなる映画

「コーヒーが飲みたくなる映画」を教えてください!とお願いしたのは、東京浅草で、コーヒーの焙煎とチョコレートの製造を手がけ、喫茶室を運営している蕪木祐介(かぶきゆうすけ)さん。

映画は、店の営業やその他の仕事がない日に、映画館で見ることが多いそう。心がざわざわする時や気分を整えたいときに、静かで映像が美しそうな映画を選んで観るといいます。そんな蕪木さんがおすすめしてくれた映画は、どれもコーヒーのように味わい深いものばかりです。

 

Coffee × Cinema 01


コーヒーのように、じんわり染み入る
心地よい余韻に浸って


パターソン(2016年/アメリカ/118分)

story
ニュージャージー州パターソンに住むバス運転手のパターソン。彼の1日は朝、隣に眠る妻ローラにキスをして始まる。いつものように仕事に向かい、乗務をこなす中で、心に芽生える詩を秘密のノートに書きとめていく。帰宅して妻と夕食を取り、愛犬マーヴィンと夜の散歩へ。バーに立ち寄り、1杯だけ飲んで帰宅しローラの隣で眠りにつく。そんな一見変わりばえのない毎日。彼の日常の、とある7日間に起こった、ユニークな人々との交流と、思いがけない出会いを描く。

蕪木さん:
「コーヒーの映画と聞いて一番先に思い浮かぶのはジム・ジャームッシュ監督の『コーヒーアンドシガレッツ』。ただ、コーヒーを飲みたくなる映画というと、同監督の『パターソン』が浮かびます。劇中で珈琲がフォーカスされることはありませんが、珈琲のような、じんわり染み入る味わいと心地よい余韻の残る映画です」


蕪木さん:
「幸せは外から与えられるものではなく、自分の心の持ちようで感じることができるもの。パターソンを観ると、変わらない毎日の中に潜む小さな愛おしいものたちをしっかりと受け止めて暮らしていたいと、改めて思います。

感受性豊かに、そして心持ち穏やかに。そうありたいものです。とはいえ現実はなかなか思うようにいかず、心が荒んでしまったりするのですが、そんな時にも静かに気持ちをほぐしてくれる映画だと思いました」

蕪木さん:
「コーヒーも、毎日何気無く飲み、決して特別なものではないけれど、心の持ちようでいくらでも味の奥行きが深くなるもの。ゆっくり珈琲でも淹れて、ぼんやり『パターソン』を観る。そんな何もない休日の昼下がりを過ごせたら素敵ですね」


『パターソン』
製作:2016年
監督:ジム・ジャームッシュ
主演:アダム・ドライバー
販売元:バップ
Blu-ray&DVD 好評発売中
©2016 Inkjet Inc. All Rights Reserved.

 

Coffee × Cinema 02


たかがコーヒー、されどコーヒー。
カップ一杯への理解と愛着が深まる


「A film about coffee」(2014年/アメリカ/66分)

Story
コーヒー業界のキーパーソンを取材したドキュメンタリー。コーヒーカルチャーのニューウェーブを牽引するニューヨーク、サンフランシスコ、ポートランド、シアトル、東京で取材を実施。まるで求道者のように豆の選定、焙煎、ドリップなどにこだわり抜くプロフェッショナルたちの姿を、コーヒーへの愛を込めて映し出す。

蕪木さん:
たかがコーヒー、されどコーヒー。その香りや味わいは、人の心持ちを穏やかにし、時には明るく平和的な気持ちにととのえて、人とのコミュニケーションの潤滑剤にもなる。豊かに生きる中でコーヒーはとても大切なものだと思います。

一方、美味しいコーヒーには、農園のひとたちの丁寧な仕事が欠かせません。映画の中では、華やかなバリスタの仕事と並んで、生産国での農家の仕事を垣間見ることができます。ひとつひとつ実を丁寧に摘み取り、加工し、運ぶ。彼らの労働を考えると、一杯のコーヒーが決して安いものではないことがわかります。しかしながら、収入は消費国とは比べ物にならないほど少ないという現実も


蕪木さん:
「彼らの仕事の姿、屈託のない笑顔を見ていると、しっかりと良い形で皆さんに届けなくては、とコーヒーをあつかう者としていつも奮い立たされます。

一杯ごとに毎回彼らに感謝をして飲むべきとまでは思いません。けれど、その一杯が生まれた背景の世界を少し覗くと、コーヒーへの愛着がさらに深まるのではないかなと。そんな機会を与えてくれる映画です」


『A film about coffee(ア・フィルム・アバウト・コーヒー)』
製作:2014年
監督:ブランドン・ローパー
配給・宣伝:メジロフィルムズ
© 2014 Avocados and Coconuts.

 

Coffee × Cinema 03


丁寧にコーヒーを淹れて
誰かと一緒に飲みたくなる映画


「ハーメルン」(2013年/日本/132分)

Story
すでに取り壊しが決まった福島県の小さな村にある廃校で、元校長は校舎を修理しつつ一人で生活していた。ある日、その小学校出身で今は博物館で仕事をしている野田が、校舎に残る遺跡出土品の調査のためにかつての母校を訪れる。彼の恩師は、娘の世話になりながら病院での生活を余儀なくされていて……。

蕪木さん:
「ハーメルンはとても静かな映画です。抑揚も大きくはないのですが、美しく、良い間合いのある作品です。

物語が進んで行くと、いつの間にか引き込まれ、自分の過去のあれやこれやと重ねて、いつの間にか映画を見ているのか、昔を振り返っているのかわからなくなることもあります。見終わると、良い余韻が残り、心が静かになる。そんな映画です」


蕪木さん:
「元校長先生が毎日珈琲を淹れて、ぼんやり珈琲を飲んでいる。もしくは客人がきたときは、コーヒーを一緒に飲む時間をつくる。そんな要所要所のシーンに、彼が大切に扱っているコーヒーサイフォンが登場します。

コーヒーのクオリティ云々なんてどうでもよくて、とびきり上等なものでなくていい。コーヒーというものは丁寧に、愛着を持って淹れられたものは、必ず美味しいだろうと、そう感じさせてくれます。

あぁコーヒーを淹れて飲みたいなと、もしくは、人に丁寧に淹れてあげたい。そう思える映画です」


『ハーメルン』
製作:2013年
監督:坪川拓史
主演:西島秀俊
配給:トリクスタ

 

コーヒーと一緒に、じっくり映画の世界に浸れたら

週末の昼下がり、特別なものはなくてもコーヒーと映画があればそれで十分。蕪木さんのお話を伺い、さっそく週末にそんな時間を持ちたくなりました。

映画えらびに迷ったら、「インテリア」「ファッション」「コーヒー」から、好きなテーマのものをぜひ。観たことのある映画も見方を少し変えるだけで、新しい発見があって、もっと楽しめるかもしれません。

(おわり)

【写真】蕪木祐介(2、14枚目)

 


もくじ

 

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蕪木祐介

1984年福島県生まれ。チョコレート技師、珈琲焙煎師。大学に在学中に、喫茶店の魅力に初めて触れる。菓子メーカーに入社後はカカオ・チョコレートの研究と製品開発の仕事に携わりつつ、個人で珈琲の焙煎を続ける。2016年、東京・浅草に珈琲とチョコレートの工房兼喫茶室をオープン。著書は『チョコレートの手引』『コーヒーの表現』



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