【お坊さんのお悩み相談室】第25回:人付き合いに悩みます……。上手に断るにはどうしたらいい?
編集スタッフ 岡本
家事や子育て、日々の仕事。私たちのくらしには、小さなことから大きなことまで「悩み」がつきものです。
「お坊さんに聞く、くらしのお悩み相談室」は、仕事や子育てなど、日々のモヤモヤを、お坊さんに答えていただく連載。 クラシコムのオフィスに「くらしのお悩み箱」なるものを設置し、スタッフのくらしの悩みを集めました。
お答えいただくのは、著書『お寺ごはん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)なども人気の、浅草・湯島山緑泉寺 僧侶の青江覚峰さん。青江さん自身も、3児の父として、子育てにも奮闘中ということもあり、お坊さん目線、そしてひとりの親目線でお話ししていただきます。
大人になっても友だち付き合いに悩みます。遊びやご飯の誘いをなかなか断れず、後になって行きたくないなと思ってしまうことも。どうすれば相手を傷つけずに、断ることができるでしょうか。(スタッフM)
わかります。心の底から共感します。
なんて書くと、僕の友人がこのコラムを見たら誘ってくれなくなるかもしれませんが、それでもあえて言います。
大人になってからの付き合いは、子どもの頃のような遊びとは多くの場合で異なります。
少々きつい言い方をしますが、付き合いの基準は損得によるところが大きいです。
この人からのお誘いにはできるだけのっておこうとか、このあたりのコミュニティに顔を出しておけば、後々動きやすくなるだろうとか。
そうとは思うのに、手放しで楽しめる場でないと思えば、なかなか気乗りしないもの。忙しい時期と重なってしまえば、ますます腰が上がらない。
子どもの頃、「遊ぼう!」と誘われたら、ランドセルも宿題も放り投げて一目散に飛び出していったのと比べると、あまりの違いようです。
相田みつをさんの言葉に、「そん(損)かとく(得)か 人間のものさし うそかまことか 佛(仏)さまのものさし」というものがあります。
本当に会いたい人と会う。会いたいと思うときに会う。そうできればどんなにいいだろうとは思いますが、なかなかそういうわけにもいきませんよね。
どこまでいっても損得で考えてしまう。自分の本音は二の次。だから苦しんでしまう。これは人間である限り仕方がありません。
相田みつをさんは「にんげんだもの」という言葉も残していますが、本当にそのとおりです。
人間として社会に生きる限り、損得を見極めなければいけない場面は少なくありません。損得で判断をして、気乗りがしないのに出かけていく。愛想笑いをする。これでは、楽しい時間を過ごすのは難しいものです。
ではどうしたらいいのでしょう。
積極的に行く気持ちにはなれない。
断るのも気まずい。
ずばり、断りましょう。
誘ってくれた相手にしてみれば、断られるといい気持ちはしないでしょうが、それほど深刻に傷つくこともありません。
何か重大な話があるとか、仕事の関係でどうしても席を設けなければいけないとかであれば、誘い方は明らかに違うはず。そういう場合は迷わず駆けつければいいのです。
そうではない、なんとなく気が向いて誘ってくれたようなものなら、気が向かなければ断っていいのです。
ここで気をつけたいのは、言い訳をしないことです。
せっかく損得から離れ、自分の本音に従って「行かない」という選択をしたのに、その後のことを考えて、つまり損得を勘定して苦し紛れの言い訳をしたのでは本末転倒です。
さて、そうは言っても、大人になっても純粋な気持ちで楽しく遊べる友達ができることもあります。そんな人と出会えたら、それはまさに有り難いこと。大切にお付き合いしていきたいですね。
青江覚峰
僧侶 青江覚峰
浄土真宗東本願寺派 湯島山緑泉寺住職。米国カリフォルニア州立大学にてMBA取得。料理僧として料理、食育に取り組む。「暗闇ごはん」代表。超宗派の僧侶によるウェブサイト「彼岸寺」創設メンバー
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