【雑貨のはなしをしよう】小さな一枚が、大きな一歩に。〈fog linen work〉のシルバープレート
渡辺平日
「お部屋をおしゃれにしたくて雑誌を眺めたりしますが、どこから手を付けたらいいのか分からなくて……」
インテリアショップで働いていたころ、よくこういう相談を受けました。言うまでもないようなことですが、コーディネートってほんとうに難しいですよね。
僕も雑貨を好きになってずいぶん経つけど、いまでも試行錯誤の連続です。最近は広い部屋から狭い部屋に引っ越したので、照明や仕事机をどう置くかでかなり悩んでいます。ほとんどパズルゲームの世界です。
「なんだかお部屋がいまいちで。空間の印象を変えるとなると、家具を選び直さないとですよね……」
あるお客様はため息交じりにこう言っていました。たしかに、印象を変えるには家具を買い換えるのが手っ取り早いです。だけど、費用もかかるし手間もかかるしで、踏み切るにはけっこう勇気が要ります。
個人的には、家具の買い替えは最後の手段だと考えています。きっと、まだできることはあるはず。そこで僕はお客様にこうアドバイスしました。
「家具を変えるのも手ですが、小さいところからちょっとずつ手を加えていくのも悪くないですよ。そうですね。たとえば机や靴箱の上に、毎日使う道具の定位置を作ってみるのはどうでしょうか?」
一枚のプレートからはじめてみませんか?
そのときおすすめしたのはfog linen workというブランドのシルバープレートです。
インドの小さな村で生産されているもので、ちょっと歪んでいたり曲がっていたりと、決して精工な作りとはいえません。
ですが、僕はそんなところも含めて気に入っています。作っている人の顔が浮かんできたり、その手のひらの温もりが伝わってくるようなアイテムって、そう多くはないですから。
僕はこのプレートを大切な指輪の定位置にしています。シンプルなのに存在感があって、個性的なアクセサリーを置いてもしっかり受け止めてくれるのがいいですね。普通のプレートだとなかなかこうはいきません。
ちょっとしたアイデアの積み重ねが、理想の空間を作っていく
ほかにはリップやハンドクリームなどを整理するのにも重宝しています。僕はむかし、化粧小物を棚にそのまま置いていました。最初は気にならなかったけど、身だしなみのための道具が雑然としているのは、なんとなくしっくりしないんですよね。
ボックスへ収納することも考えましたが、一日に何度も使うものだからそれも避けたい。気になりだしたら延々と考えこむ性格なので、このときもずいぶんと頭を捻らせました。
そんなある日、このプレートで整頓してみたらビシッと決まってくれて。それからというもの、その一角はお気に入りのスペースに変わりました。ほんと、いつも使うものがいつもスッキリとしているのは気持ちがいいものです。
まずは机の上。次は玄関先。その次はリビングと少しずつ整えていけば、いつの間にかお部屋全体がお気に入りに変わっているはずです。
……こんなふうに魅力を語ったところ、お客様はこのプレートをいたく気に入ってくださり、いくつかご購入されました。
「実は今日は照明を買うつもりだったんですよ」
帰り際になってお客様はこう打ちあけてくれました。
「でも、大満足です。雑貨を買うときにこんなにドキドキしたのは久しぶりです。まずは机の上から作り込んでいくことにします。また迷ったらすぐに相談にきますね」
手のひらに収まる小さなアイテムが、お部屋を変えるきっかけになるかもしれない。そう考えるとなんだかワクワクしてきます。
千里の道も一枚から。まずはfog linen workのプレートから、理想のお部屋づくりをはじめてみませんか?
本日登場したアイテム
【イラスト】イチハラ マコ
【写真】クラシコム
渡辺平日
日用品愛好家。海の見える小さな町で生まれ育ちました。毎日が平日のつもりで、日夜せっせと文章を書いています。趣味は町歩きと物件探しと民話収集。そういう話題が耳に入ると、反応して振り返ります。主な寄稿先は『LaLa Begin』『和樂web』『goodroom journal』など。Twitterアカウントは@wtnbhijt。
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