【スタッフコラム】父と土星を見たこと

家の目の前に、遊具のない公園があります。
けっこうな広さがあるのに、置いてあるのはベンチだけ。子供が遊んでいるよりは、大人がぼうっと座っている風景を見ることの方が多いような、妙にシンプルな公園です。
それでもここ数ヶ月は、学校がお休みの子供たちや、サッカーの練習をする少年と見守るお母さん、前よりも誰かがいることが増えました。
そんな中で、ときどき見かけるようになったひと組の親子がいます。
40代半ばくらいの眼鏡をかけたお父さんと、小学生くらいの男の子。平日の夜、ちょうどわたしが仕事を終えてランニングに出る頃、キャッチボールをしている場面に出くわします。
ともすればよくある光景です。でもなぜかその2人が気になったのは、なんだか少し、ぎこちなさそうなキャッチボールに見えたから。
スポーツウェアやユニフォームを着るでもなく、ふつうの普段着にグローブをはめた、どちらかといえば「スポーツマン」タイプではなさそうなお父さん。
何かを話すでもなく、黙々とボールを投げ合っている光景は、なんだか今だけのもののような気がして。たまたま見かけられた日は、少し嬉しい気持ちになっていました。

そんな2人を見ていたからか、この間唐突に思い出したのが、むかし父と2人で土星を見に行ったこと。
たぶん20年以上前のことですが、忘年会のビンゴ大会か何かでもらったと、ある晩父が急に天体望遠鏡を持ち帰ってきたのです。
父自身が楽しんでいたのかもしれないし、私が見たいとせがんだのかもしれません。それを持って近くの公園に星を眺めに行ったことがありました。
望遠鏡をのぞいたら、くっきりと輪のついた、図鑑で見たままの形をした土星が見えて、とっても驚いたこと。
もしかしたら記憶は少し脚色されているかもしれないですが、確かに土星が見えた!と幼心に感動したことを、本当に唐突に思い出しました。
子供の頃の思い出は、それから大人になるまでのめまぐるしい十数年で、後ろの方に追いやられてしまうことだってあるかもしれません。でも、こんな風に急に思い出して、心がじんわり温かくなることもある。ちゃんと覚えているものなんだなと思います。
この頃はまた、静かに戻ってきた公園。ちょっぴり慣れない様子でキャッチボールをしていたお父さんの姿は、もうあまり見られないのかもしれません。
それでも、そんな時間があったことを、いつかずっと先に、男の子が思い出すタイミングがあったらいいなと思うこの頃です。
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