【スウェーデンに移住して】第3話:北欧のかご、花や雑貨の飾り方。居心地のいい空間を作るには
ライター 長谷川未緒
自ら行動を起こして好きな国に移住した方にお話を伺う特集「スウェーデンに移住して」を全3話でお届けしています。
今回は、Skantique(スカンティーク)の屋号でアンティークの品々を販売している松崎由貴子(まつざき ゆきこ)さんです。
第2話では、現地で働きながら永住権を取得するまでのことや、好きなものに囲まれる住まいづくりのヒントなどを伺いました。
第3話では、北欧のかごを使った収納術や、雑貨の飾り方などを中心に、自分の好きを見つけるヒントを伺います。
北欧のかご「スポーンコリ」を使った収納術
▲玄関前の壁にもかごが。手袋をしまうなど収納に大活躍。
松崎さんが暮らすスウェーデンのアパートでは、愛してやまないというスポーンコリが、部屋のいたるところで使われています。
松崎さん:
「スポーンコリは、薄く裂いた松の木で編んだかごで、スウェーデンの伝統工芸品です。大きなものから小さなものまでたくさん持っていますが、どれもいっぱいにものが入っていて、服やベッドリネン、タオルなどをそれぞれ分けて収納しています。
ものは、すぐ手に取れるようにしておかないと、忘れてしまうことがありませんか。スポーンコリは、ものの出し入れがしやすくて、木の佇まいが部屋の中で主張しすぎず、軽いので動かしやすいところも、収納用品としてとても便利だと思います」
▲ちいさなかごを使って整理しているキッチンの棚。
▲バスルームに置いている縦型のスポーンコリは、ランドリーボックスに。
額や紙袋を入れているクントとよばれる背負い型のスポーンコリは、思い出も詰まっているのだとか。
松崎さん:
「取材で出会ったスポーンコリの職人さんに、『いいものを見つけたの』と窓辺に飾っているとても小さなクントを見せたら、じつはその職人さんが若いころに作ったものだったんです。
しばらくしてまた会いに行ったら、ご病気で入院した病院から戻られたばかりでした。かご作りに必要な計算ができにくくなってしまったそうで、ストレスにならないようにリハビリしながら作ったというクントを見せてくれました。
その職人さんがいつか作ってみたいと前に話していた機内持ち込みサイズで、飛行機に乗ることが多い私にプレゼントしてくれたのです。涙が出るほどうれしかったです。
窓辺の小さなクントと、持ち手が革製で空港で腰掛けられるように作られたその大きなクントは、そばに置いています。同じ人が作ったものだから、近くに置かれることを喜んでいるように思います」
野に咲く花をインテリアの飾りに
▲森で拾った枝に、リネンの天使や麦のオーナメントを飾って。
お住まいでは、倒れていた木から分けてもらった枝を飾っていたり、森に咲く花を活けていたりと、自然の一部を暮らしに取り入れているのが印象的です。
松崎さん:
「子どものころからお花が好きで、とくに野に咲く小さな花が好きでした。近くにこんなにきれいな花がたくさんあるのに、どうして大人はお花屋さんで花を買うのだろう、と思っていたくらいです。
とくにいま暮らしている家は庭があり、すぐ近くには森もあって、散歩道にすずらんなどの美しい花が自生しています。すずらんは日陰に咲いていることが多く、ふんわりいい香りがして、幸せな気持ちになるんですよ。
お庭にはライラックの木が3本生えていて、東京に暮らしていた頃は買っていたお花も、ここでは摘み放題なのもすごくうれしいんです」
花を飾るときには自然に咲いていたように、生き生きと飾るようにしているそう。雑貨を飾るときにも、ものが生き生きするように飾るようにしているといいます。
ものが生き生きする飾り方は?
▲右端の白い木馬は、マルガレータさんからのクリスマスプレゼント。
松崎さん:
「私はものにも心があると思っているんですよ。なので、どこにいることが幸せなのかな、住み心地がいいかな、と考えて飾るようにしています。
飾りたいものを手に持って部屋のあちこちを歩きながら、置いてみて、そこに暮らしているように、自然の中にいるように、輝いて見える場所を見つけるんです」
小さな小道具と合わせるのも、松崎さん流の飾り方です。
松崎さん:
「何もないところにぽつんと置くと、どうしても『ただ置いた』ように見えてしまいます。たとえば、レースを敷いたり、木の枝や実などを一緒に飾るようにすると、置いている場所と一体化して、まとまりやすいと思います。
テーマを設けるのもおすすめです。
私の場合は、マルガレータからいただいた木馬は、馬がいる景色をイメージしたり、洗面台の鏡の上には、この街にかつてあったルーテボという窯の小さな陶器のお人形を飾って村のようにしたり。
ここはこうしたいというイメージや、色でまとめるのもいいと思います」
自分の「好き」に正直になることで、人生は変わる?
好きなものをまっすぐに見つめて、居心地のいい部屋づくりを楽しんでいる松崎さん。まだ途上だといいますが、その実現にはスウェーデンでの暮らしが大きく影響しているといいます。
松崎さん:
「手工芸学校に留学したばかりの頃、先生に『基本はこうだけれど、あなたの好きなようにしなさい』といわれたときに、スウェーデンの教育ってこうだった、と思い出しました。とても個人を尊重してくれるんです。
でも急に「好きにしなさい』といわれてとまどってしまい、先生がいちばんいいと思う方法を教えて、と思いました。子どものころの自分は、のびのびと好きなようにしていたはずなのに。
そこで、本当の自分に戻る努力をするようにしました。たとえば学校で煮詰まってしまったときには、『森に散歩に行ってきていいですか』と。先生は、『やりたくないときにやってもいいアイデアは生まれないから、行ってらっしゃい』といってくれました。
目覚まし時計をかけることも、1年目にやめました。時限爆弾のタイマーを入れたみたいに、プレッシャーを感じていたことに気づいたからです。
気持ちよく目覚めた時間がわたしにとっての朝ということにしたところ、ちゃんと遅刻もせず、学校に通うことができました。
▲大家さんのおばあちゃんがかわいがっていたリーサ。いまは松崎さんと暮らしている。
いやだと思うことはひとつずつやめたことで、何が本当に好きか、どういう人といっしょにいると楽しいかなど、自分がこうありたいという姿が、より明瞭になってきたように思います」
【写真】松崎由貴子
もくじ
松崎由貴子
2012年よりスウェーデン在住。Skantique(スカンティーク)の屋号で、北欧のアンティークをイベント等で販売している。もの選びの確かさにファンが多い。http://www.skantique.net
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