【スタッフコラム】骨、折れる
編集スタッフ 寿山
先日、娘が骨折をしました。
金曜の夕方くらいに保育園から電話があり、もしかしたら骨が折れてるかもしれないので病院に連れて行きますとのこと。
ちょうど仕事を終えたところで、すぐ病院に駆けつけると、右腕がしなっているような反っているような。とにかく様子がおかしいことはわかりました。
レントゲンを撮ると、確かにボキッと折れています。そのうえ骨がずれているため、大きな病院で麻酔をしての処置が必要だそう。
翌朝、紹介状を持って、街でいちばん大きな病院を訪れました。
整形外科にたどりつくまでに迷子になりそうな広さで、ドギマギしながら待合室に腰かけます。
診察室に呼ばれると「いま入院患者を受け入れるキャパシティがなくて、麻酔をして手術するのは難しい状況です」。そう話す先生の言葉が、スーッと右から左へ抜けてしまい、頭と心を整理しようとした瞬間。先生が娘の腕をぎゅっと掴んで、ググッと骨の位置を元に戻したようです。
痛みで泣き叫ぶ娘の手をオロオロしながら握ることしか出来なくて、あれよあれよという間にギプスと三角巾をまかれて診察室を後にしました。
泣き止むまでベンチに座って、2人でしばらく放心して、あとのことは記憶もおぼろげ。
そんなこんなで始まったギプス生活も、今日で2週間を迎えます。
もともと右利きですが、今は使えないので左手でごはんを食べたり絵を描いたり。
当初は微動だにせず寝ていた娘も、今は絶妙に右腕をかばいながら、ゴロゴロと寝返りをうつまでに順応しました。
時おり日常生活がままならないことに苛立ってはいますが、よくやっているなあと思います。
保育園で、そろそろ散歩に行ってみますか?と聞かれたものの、決めかねて娘に相談したら「まだお散歩はやめておいた方がいいと思うの」とのこと。
後日お迎えに行ったとき、マットの上に置かれたとび箱から飛び降りるのを見て、危ないよと指摘すると「とび箱は、2段しかないから、飛び降りても大丈夫かなと思ったの」と。
どうやら彼女なりに考えて、1つ1つ判断しているようです。
自分で考えることも、決めることも、とても大切だと思うので、今後の園での生活については、娘の意志を尊重しながら見守ることにしました。ありがたいことに、担任の先生や常駐の看護師さんもよく見て共有してくれるので、安心感もあります。
その翌日、キッチンで夕食の支度をしていると、長い棒はないか?と聞かれたので菜箸を渡すと、ギプスの中のかゆい部分を上手にカキカキする娘。やってあげようか?と聞いたら、自分でやった方がいろいろ調整できるからいいそう。
確かにそうだね!と、思わず笑ってしまいました。
出来ることならケガも病気もなく、元気に生活してくれたら一番です。
でも、骨折という経験が思いがけず成長させてくれたのかもしれません。
いつの間にか、自分なりに考えて行動するようになっているなんて。きっとこれから先、どんどん自分の判断で動いていくのでしょう。
少し前まで、抱っこ紐のなかでキョロキョロと世界の様子を伺っていたのに。思ったよりも早く、私の腕から離れて、たくましく歩いていく背中が見えたような気がしました。
とはいえ迷ったり悩んだりすることも、これから沢山あるはず。そんなときは、納得して決められるように、必要なサポートはしていきたいです。
母娘の距離感が少しだけ変わるのを感じた、骨折事件でした。
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