【スタッフコラム】空白の日
編集スタッフ 中村
手帳のウィークリーページに毎日数行ずつ書き残している日記。ここ数ヶ月を見返してみると、すっかり歯抜け状態になっていて……
ちょっと気を抜くとこの有様。自分を甘やかし続けた結果だと肩を落としつつも、埋められれば良いことにしようと思い、ペンを握り書き始めました。
「あれ、この日は何をしたんだっけ」
すらすらと書き進められていたのも束の間。すぐにペンが止まってしまいました。
仕事のスケジュール管理をしているGoogleカレンダーを遡ってみる。休日なので真っ新。
それならばと、スマホの写真フォルダーを開いてみる。何も撮っていない。
SNSはどうだろう。お気に入りしたなにかをきっかけに思い出せるものはないだろうか。レシートは。誰かと連絡は……
半分意地になって思い当たるものすべてを探ってみたけれど、結局なにも見当たらず。
間違いなくなにかをしていたのだけれど、情景がなにも蘇ってきません。おそらく特にでかけもせず、ゆるやかに過ごしていたのでしょう。
「日常ってこんなにも忘れてしまうものなのか」
ふとそんなことを考えました。
たしかに数年前の今日なにをしていたかなんて思い出せない。蘇るのはインパクトのあるイベントごとばかり。
それならば日常は消え去ってしまうものなのだろうか。何の変哲もない毎日だけど、たしかに存在している今この瞬間は、これから歳を重ねていくなかで、まるで存在さえしていなかったかのように抜け落ちていってしまうのだろうか。
思いがけず切ない気持ちになり、負のスパイラルに陥る前にこの日は眠りにつきました。
数日後、なんとなくホットケーキを焼いていた時のこと。久しぶりに使ったホットケーキミックスが実家で使っていたものだったからか、ふわっと思い出が蘇ってきたんです。
幼稚園がお休みの朝は、ふかふかのホットケーキを焼き大好きなアニメを一緒に観てくれた母のこと。栄養のために入れてくれていたレーズンがちょっぴり苦手だったこと。バターとシロップをたっぷりかけて食べる父のこと。
ホットケーキ1つでこんなにも日常のあらゆる情景が蘇ってきたことに深く安堵し、なんだか温かい気持ちになりました。
書き留めなくたって、SNSを更新しなくたって、写真に収めなくたって、日常はしっかりと私の頭に刻み込まれている。きっかけがなければ、もう二度と思い出さないものかもしれないけれど、ホットケーキのようにふとした瞬間に蘇る何気ない日常の記憶が私の心をじんわりと温めてくれるのだろう。
記憶の不思議を感じながらも、いつか思い起こされるかもしれないであろう日常を愛でながら大切に過ごしていこうと思いました。
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