【スタッフのコラム】大変さを乗り越えて、”子どもの都合”に乗っかってみると。
バイヤー 山根
「はい、くつ下履いてくださいー」
「おしり丸出しで逃げないでー」
服を着せたり、おむつをはかせようとすると逃走しがちな3歳と1歳の子どもたち。
そのため、冒頭のような言葉がよくわが家に響き渡ります。
たしかにおしり丸出しでキャッキャと走り回る姿は可愛いです。が、これがお出かけの準備に忙しい時だったり、毎度の繰り返しだったりすると、ちょっとハードだなと思うことも。
ついつい「ほら、早く履かないとお出かけできないよ」などと、語気を強めることになってしまいます。大人の都合を知らない子どもたちは、ただ楽しく遊びたいだけなんでしょうけどね。
ある休日のことです。iPadで動画を見るのが好きな娘はそのときも動画を眺めていました。
あれ、もうかなり長く動画を見ているな。あまり動画を見すぎるのもよくないな。その様子をしばらく放置してしまったという罪悪感もあり、これは一緒に遊んだほうが良いなと思い声をかけました。
「ねぇ、パパといっしょに塗り絵しようよ」
「いやー」
「じゃあパズルやろう」
「いやー」
娘からのつれない返事。そうか、パパは動画よりも楽しい遊びを提案できないのか……と、自分の至らなさに落ち込みそうになったとき、ハッと思いました。
それなら着替えの追いかけっこで遊べばよかったじゃないかと。
おしり丸出しで追いかけっこする。
エンドレスのいないいないばあや、高い高いに答えてあげる。
子供のスイッチが入ったときにしっかり遊んであげれば、それがきっと一番楽しいんじゃないか。
わかったよ、今度遊びのスイッチが入ったときは、パパもしっかり付き合うことにしよう――
ここまでコラムの下書きを書き終わり、その夜のことです。ダイニングで僕の隣に座る娘が唐突に言いました。
「ラッシーと麦茶、混ぜていい?」
テーブルには飲み残されたラッシーと麦茶が入ったコップが1つずつ。これを混ぜてみたいというのです。
「え、混ぜちゃダメだよー」
「混ぜたいー」
「飲み物で遊んじゃダメでしょ」
「やりたい〜!」
そこでハッと自分を顧みました。「子供の遊びスイッチに乗っかろう、ってコラムに書こうとしてたじゃないか」と。
「よしわかった、じゃあやってみよう!」
娘の好奇心も大事にしたい。だからラッシーと麦茶を混ぜるのを許可しました。
威勢よく麦茶をラッシーに注ぐ娘。満足げです。スプーンでぐるっとかき混ぜて、おもむろにひとすくい。
「はい、パパ飲んで」
「え、それはちょっと」
「飲んで」
「やだよ、◯◯ちゃん飲んで」
「やだ、パパ飲んでー」
待て待て、娘の好奇心も大事にしたい、って思っていたじゃないか。
「ん〜わかった、じゃあ飲むね、あーーー(パクっ)あ〜〜〜!!!」
ラッシーと麦茶がまざった、落とし所の見つからない味がしました。子どもの遊びスイッチに乗るのも楽ではありません。しかしそれも、パパの大事な仕事だよな……
そのとき、僕の様子を見た娘が、自分でもスプーンをぺろっと一口。
てっきり怖がって飲まないかと思いきや、僕が先に味見したからトライする気になったのかな。その意外な行動に驚きました。
まだ見ぬ経験にチャレンジできるのって、こんなふうに遊びの中で他人とやりとりするのも重要なのかも。ならば、体力と気力の限り、父は子どもたちの遊びスイッチに乗っかっていこうと思う。僕はここに宣言します。
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