【花と緑を我が家に】02:ポイントは飾る場所。無理をせず、切り花を長く楽しむコツって?
ライター 嶌陽子
世田谷にある花と緑のアトリエ「malta」店主の布山瞳(ふやま ひとみ)さんの自宅を訪れ、暮らしの中で植物を楽しむコツを教えてもらう特集。
観葉植物の置き方やお手入れ法などについて紹介した第1話に続き、今回はお花を自宅で楽しむためのコツをお届けします。
花を飾るのは “水まわりのそば”
キッチンカウンターやダイニングテーブルの上は、いつも布山さんが切り花を飾っている場所。それには理由がありました。
布山さん:
「自分にとって水替えしやすい場所に置いているんです。ダイニングやキッチンは水道のそばなので、何かのついでにさっと水替えができます。私はたいてい仕事から帰ってきて夕食を作る前に水替えしています」
▲ダイニングに飾ったアマリリス。切り花は花瓶の水を少なめにした方が雑菌が繁殖しにくい。枝ものはよく水を吸うので花瓶の7〜8割くらいたっぷり入れて。
布山さん:
「玄関に切り花を置くこともありますが、疲れてくるとドライフラワーにすることも。
切り花を長持ちさせるコツはきちんと水替えすること。だからそれをラクにできることが大事なんです。
そもそもお花は基本的に自分を楽しませるために飾るので、自分が疲れてしまっては本末転倒ですよね。無理をしない、それがお花と付き合う上で大切なことだと思います」
▲「キッチンには自然と “野菜っぽい” 色合いや雰囲気の花を生けていることが多い気がします」と布山さん。オルレアの花を飾って。
布山さん:
「気温の高いところは毎日水替えをしてあげて、低いところは2〜3日に一度でいいと思います。
時々茎の先端を1〜2cm切ってあげると水を吸い上げやすくなります。水の中で茎を切る “水切り” ができなくても、あまり気にしなくて大丈夫ですよ。
最低限したいのは『茎のぬめりをとること、水の中に入る葉を取り除くこと、そして花びんについているぬめりをとってきれいにすること』。これだけでも切り花の持ちがだいぶ違ってくると思います」
“トイレと洗面所” も飾る場所にぴったり?
布山さんの自宅では、洗面所やトイレにも小ぶりな花や実がさりげなく飾られていました。
布山さん:
「バスルームはなんといっても水替えがしやすい場所。実はそれ以外の理由でも、お花を飾るのにおすすめの場所なんです」
布山さん:
「トイレや洗面所は、案外行く頻度が多い場所。植物があると、行く度にほっとします。またリビングやダイニングに比べて涼しい場合が多いので、切り花が持ちやすいというメリットもあるんです。
しかもトイレや洗面所は空間が小さいので、1輪や小さな花でもさまになりやすいです。無機質になりがちな空間に少しでも花を添えると雰囲気が和らぐと思います」
自分が「かわいい」と思う生け方が、きっと正解
布山さん:
「仕事柄、毎日たくさんの種類の花に触れていることもあり、我が家では一つの花びんに1種類の花を生けることが多いです。
同じ種類の花の場合は、野原に咲いている様子をイメージしながら生けるようにしています。自然に咲いていたら高さも不揃いであちこちを向いているだろうな、などと考えながら」
▲「本数が少ない場合は、花びんを全部埋めようとするのではなく、花の向こう側に見える景色= “抜け” を楽しむ気持ちで生けてみてください」
布山さん:
「花びんに対して花の高さが1〜1.5倍くらいだときれいに見えやすいかなと思います。置く場所によっても全然見え方がちがって来るので、座ったり立ったりしながら目線に合わせて生けてみるといいかも。
でも、一応の法則はあるものの、結局は自分自身が『かわいいかも』と思えたら、それが正解なんじゃないかなって思っているんです」
布山さん:
「最近はまっすぐなものだけでなく、首が曲がっている花もよく売っていますよね。
一つひとつの花の表情をよく見ながら、『花びんの中のどこに置くと一番きれいに見えるだろう』『どこから見ると一番かわいいかな』っていうことを考えながら生けてみる。そうすると楽しいし、自分が思う『かわいい』『好き』にもたどり着きやすくなるかもしれません」
花屋さんで花を1本だけ買ってみる。家にある花びんをお店に持っていって「これに合う花」という視点で選んでみる。そんなことも、気楽に花を楽しむ方法のひとつになるかも、と教えてくれた布山さん。
セオリーにとらわれすぎず、無理なくお世話できる場所に置いたり、自分にとっての「かわいい」を探ったりしながら花を飾る。それが無理なく長く、花のある暮らしを続けていくためのコツなような気がしました。
次回はハーブやドライフラワーの楽しみ方&飾り方をお届けします。
【写真】メグミ
もくじ
布山瞳(ふやま ひとみ)
フローリスト。花と緑のアトリエ『malta』店主。撮影、店舗装飾、ウェディング装飾なども手掛ける。季節感や色彩、素材の調和を大切に、暮らしを豊かにする提案をしている。Instagram:@maisonmalta
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