【夏の不調をゆる改善】第3話:手軽に自律神経を整えるには
ライター 長谷川未緒
立秋を過ぎても、まだまだ暑い日が続いています。
だるさや食欲不振など、夏バテ気味という人も多いはず。ここで不調を長引かせると秋以降に響きますから、ちょっとした工夫で改善し、健やかな日々を取り戻しましょう。
本特集では、医師でヨガ指導者でもある高尾美穂(たかお・みほ)さんに、簡単な夏バテ予防と対策を伺っています。
第1話では、夏バテする理由と、暑さが厳しい夏ならではの過ごし方を、第2話では、高尾さんが実践している夏バテ予防のアイデアを聞きました。
最終話では、不調の大きな原因となっている自律神経の乱れを整える簡単な方法を教えてもらいます。
夏は自律神経が乱れがち
自律神経とは、自分の意志でコントロールできない体温や血圧といった体内環境を、一定の状態に保とうとする神経の総称です。
高尾さん:
「自律神経には、交感神経と副交感神経があります。
交感神経は緊張したり興奮したりすると働いて、心拍数や血圧が上昇したり、汗をかいたり、胃腸の働きがにぶくなったりします。
副交感神経はリラックスするときに働いて、心拍数や血圧を下げたり、発汗を抑えたり、食欲を増進したりします」
高尾さん:
「自律神経が乱れる原因には、ストレスや不規則な生活習慣、更年期などホルモンの変化、気温差などがあります。
夏は、暑さがずっと続けば体は慣れていくわけですが、1日の中で室内と室外の激しい寒暖差に何度もさらされると、自律神経がオーバーワークになり、乱れやすくなってしまうのです」
自分で自律神経を整える方法はあるの?
自分の意思では、どうにもできないことを司ってくれている自律神経を整える方法はあるのでしょうか。
高尾さん:
「自律神経の乱れを解消するには、ストレスを緩和したり、規則正しい生活をしたりといったことも効果的ですが、手軽なのは、軽い運動です。
昼間は仕事の緊張やストレスに加え、暑さなどで、交感神経がよく働いています。自律神経の乱れは、交感神経が過剰に働いてしまい、副交感神経がうまく働かないことから生じやすいんです」
高尾さん:
「そこで運動すると、一時的に交感神経が優位になりますが、運動後はゆっくりと副交感神経が優位になるので、自律神経が整ってきます」
自分の意思で交感神経を適度に刺激してあげると、副交感神経の働きを引き出せるというのは、不思議なものですね。
高尾さん:
「そうですね。暑さや緊張などで交感神経が優位な状態ではなく、意識して筋肉を動かして体温を上げ、心拍数を増やして交感神経を優位にするメリハリが大事なんです。
暑い中、運動なんてできないと思うかもしれませんが、エアコンの効いた室内で、たった1分でできるおすすめの運動がありますよ」
ポイントは、たった1分!スクワット
高尾さんがおすすめする自律神経を整える運動は、スクワットです。
スクワットと聞くと難しそうなイメージもありますが、あまり難しいことは考えず、いくつかのポイントを押さえるだけでいいのだとか。
1.足を肩幅程度に開いて、立つ
足を肩幅に開き、つま先と膝をまっすぐ前に向けて立ちます。目線も正面、手は腰や頭など、ラクな位置に置きましょう。
2.椅子の高さを目安に、腰を下げる
椅子の前に立って、ちょこんとお尻が椅子につくくらいまで下げます。
どこまで腰を下げたらいいのか、わかりづらいスクワットですが、これなら簡単です。
膝が内側に入りやすいので、まっすぐ前に向けたまま行うことがポイント。
3.元の位置に戻る
▲数をかぞえながら、25回1セットが高尾さんのおすすめ。
1の姿勢に戻ります。
1〜3を25回、1分程度で行うのが、高尾流スクワットです。
高尾さん:
「私はマンション住まいなので、下に降りるエレベーターの中で毎日行っています。
10回だとすぐ終わっちゃうし、30回だと気が遠くなりますが、25回なら気力も体力ももつはず。狭いスペースで1分もあればできるので、忙しくても続けられます。
太もも、お腹、背中、そして立ち上がり方によってはお尻など、大きな筋肉を使うので、体温が上がりやすく、代謝もよくなります。まず3日続けると、太ももとお尻にハリが出てきたのを感じると思いますよ。
私は1日3セットが目標ですが、1セット5回からでも、ぜひ試してみてください」
もしも余裕があったら、腰を下ろすときに腕をわっしょいとするように伸ばして上げると、体への負荷が高まり、より効果的なのだとか。
注意したいのは、スクワットをするタイミングです。
高尾さん:
「副交感神経へのスイッチを入れるためにあえて交感神経を高める目的で行うので、遅い時間に行うと交感神経が優位になり、寝られなくなってしまいます。
夕方くらいまでに終わらせておくと、夜間に自然に副交感神経へと切り替わり、リラックスできると思います」
お昼ごはんを食べて、ちょうど眠気が襲ってきたときや、おやつの時間あたりがよさそうですね。
好きな運動は、きっと誰でも見つけられる
スクワットはちょっと激しすぎるかも、という人には、なんでもいいから好きな運動を見つけてみてほしい、と高尾さん。
高尾さん:
「運動習慣のある成人は、わずか5人にひとり以下というデータがあります。私のように運動が大好きという人間は、レアキャラなんですね。
運動に苦手意識のある人もいるかもしれませんが、スポーツのように結果を競うわけではなく健康目的なので、探せば何か好きなものが見つかるかもしれません。
フラダンスやバレエのような大人の習い事もいいですし、プールは、泳がなくても歩くだけでもおすすめ。
子どもと一緒に家庭用のトランポリンなんかもいいですよね。遊びのようですが、けっこう筋肉を使うと思いますよ」
運動をする際には、できれば有酸素運動と無酸素運動を組み合わせるといいとのこと。脂肪が落ち、筋肉がつく効果が期待できるそうです。
1日1分、25回ならば、とスクワットを試してみたところ、お尻がきゅっと上がるほどの効果はまだ感じられていませんが、息が上がるので体温や心拍数は上がっている様子。この調子で、続けてみたいと思っています。
【写真】鍵岡龍門
もくじ
高尾美穂
産婦人科専門医・医学博士。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。イーク表参道副院長。ヨガ指導者。婦人科の診療を通して女性の健康を支え、ライフステージ・ライフスタイルに合った治療法を提示、選択をサポート。音声配信アプリstand.fmの番組「高尾美穂からのリアルボイス」も人気。https://www.mihotakao.jp
感想を送る
本日の編集部recommends!
冬のファッションアイテムが入荷中!
冬のときめきを詰め込んだニットカーディガンや、ポンチ素材のオールインワンなど、冬ものが続々入荷しています
乾燥する季節に頼りたい、お守り保湿アイテム
新作のフェイスマスクや北欧から届いたボディオイルなど、じっくりと自分を慈しむのにぴったりのアイテムも揃っています
【期間限定】WINTER SALE!
当店オリジナルの雑貨が、最大20%OFF!冬のおうち時間にぴったりのアイテムも揃っていますよ
【動画】夜な夜なキッチン
縫って、編んで、お気に入りの景色を作る(「HININE NOTE 」スタッフ・彩さん)