【日々のモヤモヤ考】前編:ほこりの色がグレーな理由。掃除との付き合い方を、考え直してみたら
編集スタッフ 糸井
日々追ってくる、あの正体を探りたい
どこからともなく集まって、床上や照明、冷蔵庫の上など、気づくと溜まってしまうほこり。
それは、洗濯物や仕事の小さなタスクと違って、ちょっと得体の知れないもので、日々の暮らしのなかでずっと追いかけてくる存在になっています。
そんな追われているものの正体を、立ち止まって紐解いてみたら、ちょっと心の衛生が保てるかもしれません。
お話を聞いたのは、株式会社ダスキン・冨田萌美(とみた・もえみ)さん。ほこり掃除のプロフェッショナルである冨田さんに、普段あまり意識してこなかったほこりの実態や、その掃除のノウハウをたくさん教えていただくことに。
聞いてみると、私たちのタイムスケジュールや暮らしのなかでの動きとみっちり関わり合っていることがわかりました。
前編では、まずほこりの基本的な実態についてをお届けしますよ。
ほこりをよーく見ると、カラフルな理由
冨田さん:
「そもそも家のほこりと聞いて思い浮かべるのは、TVの上にうっすらと白く溜まったものや、しばらく掃除をしなかったときに床に溜まるふわふわとしたグレーっぽいわたのようなものかもしれません。
あれは繊維ぼこりというものなのですが、実は顕微鏡などでよく見てみると、赤やピンク、緑など、様々な色の繊維が混ざり合っているんです。
絵の具のパレットを水で洗うと、水がグレーになりますよね。その原理と一緒で、ほこりがグレーに見えていて。なので、元々は普段使っているタオルや、お気に入りのワンピース、ベッドリネンなどから生まれた繊維が、時間とともに集合して可視化しているものなんです」
一昔前のほこりと、変わってきているところも
冨田さん:
「もっと具体的にお伝えすると、ほこりは、大きく2種類に分けられます。
外から入ってくるものと、家のなかで生まれるものです。前者はベランダや玄関などから入る、土砂ぼこりや花粉。たとえば排気口近くの壁が黒く汚れる経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
後者は、衣服やラグなどから出る繊維ぼこりや、食べ物のかすなどが挙げられます」
冨田さん:
「なかでも現代の住まいのほこりの大部分を占めるのが、さきにも出てきた繊維ぼこり。この割合がどんどん増えていて、今では7割に至っています(次に多いのは毛髪、土砂がそれぞれ1割ですね)。
一昔前の日本では土砂のほこりの割合が大きかったのですが、舗装道路や住宅構造の変化により、外から持ち込まれるほこりが減っていったんです。
その分、カーテンや寝具、ラグや衣服のような繊維質のものの割合が増えたことで、繊維ぼこりが増えてきたんです」
冨田さん:
「ちなみに今と昔ではほこりの色も違っていて。昔はほこり=黒っぽいものだったので、掃除の達成感がわかるようにダスターの色は白いものが主流でした。
今は全体的に白っぽいほこりになっているので、それを受けて、弊社ではモップのカラー展開をグレーやレッドに変更しているという背景があったりします」
衣替えの後は、掃除をするのがおすすめなんです
家のなかのほこりは、繊維ぼこりが大部分。そのことを見極めると、ほこりが溜まりやすい場所も見えてくるのだとか。
冨田さん:
「繊維ぼこりは、衣類などを畳んだり、着たり脱いだりといった動作で繊維が擦れ合うことで発生します。とくに着衣の動作をすると、ほこりの発生量が最も多くなるんです。
そのため、衣類を脱ぎ着する機会の多い脱衣所にほこりが堆積しやすい。みなさんも経験があるかもしれませんが、『洗面所って、拭いても拭いてもほこりが付く……』というのは、そのせいです。データによると、リビングに比べて、寝室や脱衣所のほうが2〜6倍ほど違うんですよね。
もうすぐ衣替えの時期が来ますが、そのときにも繊維ぼこりが多く発生するので、終わった後には掃除機をかけるのがおすすめです」
完璧な掃除なんて、難しいから
冨田さんの話を聞くうちに、なんとなく目にしていたほこりの正体が見えてきた気がします。たとえ掃除ができない日が続いても、発生する原理がわかっているだけで、必要以上に焦ることもどこか少なくなる気がしています。
冨田さん:
「ほこりに関わらず、生きていくなかで、家のなかにはカビや油汚れなどが発生します。慌ただしいなかで、すべてを完璧に掃除するのは難しいですよね。
だからこそ、特徴を把握しておくことで、自分のペースにあった掃除周期をつくれると心強いのかなと思います。たとえば、ほこりが溜まりやすい洗面所だけをまずは意識してみるのもひとつの手です」
ちなみに、ほこりを放置しておくと水分や油分とくっついてベタベタ汚れに変わってしまうそう。
そうなる前のほうが格段に簡単に取れる、ほこり掃除。後編では、そのための効率的な掃除のタイミングや、掃除方法についてお聞きしました。
(つづく)
【写真】メグミ
もくじ
冨田萌美
株式会社ダスキン 東京多摩エリアホームサービスマネジャー。家庭用のモップをはじめとする衛生清掃用具のレンタル・販売などを行うダスキンのフランチャイズ加盟店の指導・育成を担当する。https://www.duskin.jp/
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