【いとしい住まい】第2話:迷ったら黄色を選ぶが吉。インテリアに合う家具や雑貨の選びかた

ライター 瀬谷薫子

都内の賃貸マンション、52平米に夫婦2人で暮らす有田紗世(ありた さよ)さん。真四角のワンルームというシンプルな間取りを心地よくととのえる工夫について、今回は全3話で伺っています。

1話目では、家具の置き方など空間づくりの工夫を尋ねました。2話目は、家具や雑貨の「もの選びの基準」を聞いていきます。

 

「リサイクルショップ」で見つけたものが、インテリアの主役

個性的でおしゃれな家具や雑貨が並ぶ有田さんのインテリア。驚くのは、これらの多くがリサイクルショップで見つけたものだということです。

有田さん;
「出かけた先の街でリサイクルショップを見かけたら、ついつい立ち寄ってしまうんです。そこでビビッと来てそのまま持ち帰ってきたものがわが家にはたくさんあります」

例えばダイニングテーブルの上にある籐のランプシェードは、笹塚にあるリサイクルショップ『INDIGO』でひとめぼれしたもの。ちょうどこの家に越してきて、リビングの照明を探していたタイミングで出合い、そのままかついで帰ってきたのだとか。

グリーンが置かれたステンレスのスツールも、友人との食事の前に時間つぶしで入ったリサイクルショップで出合ったもの。その場で購入を決め、友人との食事の場へ持って行ったそうです。

そんなふうに家具との出合いはいつも偶然で、有田さんの買い方はとても軽やか。その多くが1万円以下とお手頃で、ピンときたらその場で買いやすいのも、リサイクルショップならではの魅力だといいます。

▲ベッドサイドのランプも、同じ笹塚のリサイクルショップで購入したもの

 

これだと思うものに「出合う」秘けつは?

▲シェードのデザインが個性的なランプは。駒場東大前の「グラフィオビューロスタイル」のもの

それでも、古着屋で見つけた服をおしゃれに着こなすのと同様に、インテリアに合う素敵なものを見つけ出すのは難しいイメージがあります。「出合う」秘けつはどんなところにあるのでしょうか。

有田さん:
「とにかくじっくりと店内を眺めます。リサイクルショップはいろんなテイストの家具が混在していて、パッと見ただけではなかなか家に置くイメージが湧きづらいので、私はいつも店内を2周、3周と回るようにしています。

すると片隅に隠れていたアイテムなど、1周目では気づかなかったものが目に入ってきて、意外な出合いがあることも。

私は笹塚の『INDIGO』や、根津の『EXPO』、『tokyo recycle imption』などをよく利用しているのですが、掘り出し物が多くておすすめです」

▲姿見は根津のリサイクルショップ「EXPO」で購入

さまざまなもののなかから「これ、わが家に合うかも」と思えるものに出合うのは、まるで宝探しのよう。そんな出合うまでの物語と、全てが一点物のめずらしさも含めて、リサイクルショップならではの買い物の楽しさだそう。

北欧風のデザインから和のものまで、ここで見つけたユニークな家具たちが、有田さんの家を唯一無二の空間にしていました。

 

家具は迷ったら「黄色」を選ぶ

▲一人暮らしを始めた当初、楽天市場のインテリアショップで購入した黄色のソファ

家具選びにも、ならではの視点が。つい無難な白や黒を取り入れがちですが、彼女の住まいには色のある家具が多くあります。

有田さん:
「中でも、悩んだときは黄色を選ぶようにしています。ソファも黄色、椅子も黄色です。

一見ハードルの高い色に感じられるかもしれないですが、白だとちょっと寂しげになってしまう空間にも、やさしくなじむのが黄色。床や家具の木をベースにした茶系インテリアにもよく合うんです」

▲イエローのイデーのヴィンテージチェアも、リサイクルショップで購入

はじめてお邪魔したのに、どこか落ち着く雰囲気を感じたのも、黄色や茶をベースにした部屋がアットホームな印象だったから。白の面積が少ないことで、ところどころに散りばめられたラグや雑貨の差し色も浮くことなく、やさしくなじんで見えました。

 

華やかな色や柄物は、布で取り入れて

▲ラグは「グランピエ」で購入したもの

部屋のあちこちにある、カラフルな布ものも目を引きます。

床やソファ、椅子の上においたラグやブランケットだけでなく、レコードプレーヤーや花瓶の下にもちょっとしたカラフルなハンカチを敷いてアクセントに。小さなひと工夫で、部屋のすみずみにちょっと気分の上がる差し色が取り入れられているのも、有田さんの家らしいポイントです。

▲色合いが好みで長く愛用しているグリーンのブランケットはIKEAで購入

有田さん:
「シンプルなものより、眺めているだけで楽しくなるようなカラフルな色合いや柄物が好きなんです。けれど家具などの大物に色を取り入れるのはどうしてもハードルが高いことも。

布なら好みが変われば気軽に付け替えもできるので気軽に取り入れられます」

▲オランダの花屋で買った木製のチューリップは、花瓶に挿して食卓の中央に

 

「ときめき」で選んだものほど、長く大事にできる

リサイクルショップで出合ったものがインテリアの中心にあるなど、有田さんの部屋を作る家具や雑貨はその多くが “ひとめぼれ”。いわば『無計画な買い物』だといいます。

けれどそうやって買ったものこそ、長く大事にできるという、意外な答えが返ってきました。

有田さん:
「私は、何か欲しいものがあるときに、スペックを事前に決めて探すことがあまりないんです。

そうやって条件を絞って計画的に買ったものは、品質的に満足はできても、見た目が気に入らず結局手放してしまうことも。やっぱりときめきがなければだめなんだと実感しました」

▲はじめての一人暮らしで買った、京都の照明専門店「PARABOLA」のランプ

家の中で一番古い照明も、一人暮らしを始めた当初、デザインにこだわってオーダーメイドで買ったもの。当時は背伸びした買い物でしたが、結果として今も長く愛用できる相棒になったそう。

見た目で選ぶことが、実は物持ちの良さの秘けつなのだと話していました。

インテリアを統一感のある家具や雑貨で満たすには、慎重なもの選びが大事だと思っていました。けれど有田さんの選ぶ視点は、とても軽やかで「好き」の気持ちにただただ正直。

けれどそこには「ときめき」という共通の動機があるからこそなのか、不思議と統一されて見え……こんな風に直感で好きなものを選んでいいのだと、背中を押してもらいました。

つづく第3話では、それらのものをワンルームに見目よくおさめていく、収納やディスプレイの工夫について聞いていきます。

 

【写真】橋原大典


もくじ

 

有田 紗世

大阪出身、都内在住の会社員。夫婦2人暮らし。インスタグラム(@arisayo)での、心地いい住まいや暮らしの投稿が人気。

 


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