【いとしい住まい】第3話:見せるもの、しまうもの。ワンルームを心地よくしつらえる収納の工夫
ライター 瀬谷薫子
都内の賃貸マンション、52平米のワンルームに夫婦2人で暮らす有田紗世(ありた さよ)さん。今回は全3話でインテリアの工夫を伺っています。
1話目はワンルームのレイアウト、2話目は家具や雑貨選びについて聞きました。最終話は、ものの収納とディスプレイ。ものが多く見えながらまとまりのあるインテリアを作る秘けつは「並べ方」にありました。
ものにはすべて「居場所」をつくる
ものが多いからこそ、それぞれの居場所はきちんと決めて、使ったらどこに戻せばいいかを明確にしているという有田さん。それだけで出しっぱなしのものがなくなり、ものが多くてもストレスにならず暮らせるといいます。
有田さん:
「居場所は、日々使う動線に合わせて決めています。たとえばメイク道具は、ちょうど立ったときに顔の位置にくる高さの棚にしまうように。小さな鏡も置いておけば、ここをドレッサー代わりにして日々のメイクができるので効率的なんです」
「住む人の暮らしが伝わる」ようなインテリアに
すっきりと片付いた住まいよりは、ごちゃっとした生活感のある家が好きだと有田さん。住む人の暮らしが伝わるようなインテリアにしたいと話します。
たとえばキッチンの調味料も。戸棚の中にしまうのではなく、リサイクルショップで購入した木箱にまとめて、手に取りやすいキッチン上に並べています。
有田さん:
「食品をきれいな瓶に移し替えるなど、見た目を統一するのもすっきり見えて素敵ですが、私はむしろ雑多な方が好き。暮らしのリアルな感じも好きですし、それがわが家にも合う気がしています。それに、パッケージがバラバラな方が探しやすいですしね」
文庫本も、カバーをはずして同じ見た目に揃えるよりは、あえてそのまま。「この方がカラフルでかわいいし、本屋さんみたいなディスプレイも気に入っている」そう。そんな視点も有田さんらしく感じます。
目線の高さに素敵なもの、足元には隠したいものを。
とはいえ、家の中には心地いい見た目のものばかりではありません。とりわけ有田さんの家は、扉付きの収納も少ないワンルーム。オープン収納が多いからこそ、ものを置く「高さ」に気を配っているそう。
有田さん:
「例えばキッチンの周りも、立ったとき視界に入りやすい目線の位置には、見た目も好みなものを飾っています。反対に足元には食材ストックなど、あまり目につきたくないけれど必要なものをしまうようにしています」
▲見た目が好きなグラスや花瓶を上部に飾り、下段には缶詰などの食材ストックを収納
来客のときも、こうすると視線がうまく上に逸らせていいんです、と有田さん。彼女自身も、ふとした瞬間に目に入りやすい位置に好きなものを置くことで、気持ちよく過ごせているといいます。
▲見た目が絵になる雑誌を上段に、ビジネス書は下段に収納
ものは「層にして」ディスプレイ
視点を意識する工夫はもうひとつ。収納棚の手前にはかわいい雑貨を置き、奥には実用的な小物を。ものは基本的に層にして並べ、あまり目につきたくないものは奥に重ねることで程よく、目隠ししているのだとか。
奥行きのある棚を活用して、奥に背の高いもの、手前に細々したものを置くことは、手に取りやすくなるメリットもあります。
▲頂き物のお酒の瓶も、棚の3層目に重ねておけば存在感が強すぎない
まとまりよく見せる秘けつは「密度」
▲お気に入りの化粧品は棚の前面にディスプレイ
ものが多くても、なぜか素敵に見えるディスプレイ。そのコツを聞くと「密度」と有田さん。
有田さん:
「パラパラとものの間に空白があるほうが、視点が分散されて散らかって見えたり、ひとつひとつのものの見た目がより気になって見えたりすると思うんです。なので私はものをぎゅぎゅっと密集させて飾るように意識しています。
こうすると全体がまとまって、置いてあるものぜんぶが素敵じゃなくても、意外となじんで見えるものです」
言われてみれば有田さんの住まいのあちこちには、ぎゅぎゅっと詰まった収納があり、その集合体は、なんだかそれだけで素敵に見えるから不思議。これなら手軽に試しやすく感じました。
▲サボテンと鉢植えは友人が営む花屋「fyto」のもの
ゆっくり時間をかけて、いとしい住まいを作っていく
全3話で訪ねた有田さんの住まいは、彼女が色々な場所から集めてきた、お気に入りのものにあふれた空間。
家具や雑貨から、床に並べられたワインの瓶にまで物語が詰まっていて、この家を本当にいとしく思っていることが伝わってきました。
▲友人たちとこの家で飲んだワインは、思い出に瓶を残している
有田さん:
「実家のインテリアに昔から憧れていて、母に『こんな風にかわいい家を私も作りたい』と話したことがあるんです。そうしたら『ゆっくり、時間をかけてね』と言われました。
理想のインテリアはすぐに叶うものではなくて、きっと試行錯誤を経てこそ。たしかに時間はかかるものだと思います。
だから、焦らずゆっくり。好きなものをひとつずつ集めて、これからも好きな家を作っていきたいです」
窓際に掛けられているパッチワークのカーテンは、有田さんが白い布を裁断し、ちくちくと手縫いで作ったもの。まだ少し長さが足りず、残り半分はゆっくり時間をかけて縫っていきたいと話します。
かわいいものをひとつひとつ集めて継ぎ、素敵だなと思う眺めに少しずつ近づけていく工程。有田さんの住まいづくりは、まさにパッチワークそのものみたいだな、と感じました。
完成までには時間はかかるかもしれませんが、それこそが家づくりの醍醐味。
そんな「いとしい住まい」を自分なりに作っていくことが、暮らしていくということなのかもしれません。
【写真】橋原大典
もくじ
有田 紗世
大阪出身、都内在住の会社員。夫婦2人暮らし。インスタグラム(@arisayo)での、心地いい住まいや暮らしの投稿が人気。
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