【巡りのいいキッチン】第1話:出しっぱなしでもすっきり見え。私も家族も使いやすいキッチン収納の工夫(スタッフ中居)
編集スタッフ 岡本
夕飯の支度や、ちょっと一息入れたいときなど、1日のなかでもキッチンで過ごす時間って案外長いものです。
ご飯づくりには終わりがないからこそ、できるだけ居心地のいい場所にしたいと思い続けているけれど、なかなか見直すタイミングを見つけられずにいます。それに毎日当たり前のように過ごしていると改善すべき違和感に気付くのは、結構難しいことなんじゃないかとも思うのです。
スッキリと使いやすそうなキッチンはどうやってつくられているんだろうと気になって、今回3名のご自宅へ取材に行ってきました。
コンパクトな空間にぎゅっとつまった小さな工夫をたっぷりお届けする全3話のこの特集。第1話では、料理好きな当店のスタッフ中居が登場します。
キッチンは、心が整う「目の行き届く空間」
当店のオリジナル商品の開発担当である中居は、小学2年生の息子と夫の3人家族。平日は仕事を終えたら18時半頃から、夕飯作りに取り掛かるのがルーティンなのだそう。
中居:
「もともと料理は好きな方で、キッチンにいると落ち着きます。
自分の部屋のような感覚で、お気に入りの器を飾ったり使いやすい道具を集めたり、好きにさせてもらっていますね」
中居:
「忙しない毎日で思い通りにいかないこともあるけれど、キッチンだけは私のコントロールがきく空間。そういう場所があるだけで、気持ちの安定につながる気がするんです。
とはいっても、私だけの城というわけでもなくて。家族にも気負わず使ってほしいから、収納の仕方には気を遣っています。
自分の好きなものと、誰が手に取っても便利なもの、どちらも混在している空間です」
「よく使うセット」はトレーにのせて出しっぱなしに
中居:
「家族分のお茶碗、汁椀、カトラリー、グラスの『よく使うセット』はアルミのトレーにひとまとめにしています。
使うときはここから取って、洗って乾いたらここに戻すという流れ。
ほぼ毎日、朝晩とフル回転で使うのでしまう必要がないなと思って、2年ほど前から始めた習慣です」
中居:
「晩酌用のグラスや、ビンテージのお茶セットも出しっぱなしに。
自分の好きなものがぎゅっとつまっているものを見えるところに置いておくと、キッチンに立っているときの気分がいいんです。
せっかくのお気に入りも、見えない場所に置いておくと忘れてしまうもの。それに習慣的に使っているからホコリも気になりません」
使う頻度やカテゴリーが同じものは、ひとまとめにしておくと出したままでも雑多な感じがしないことに気が付きました。
大切だからこそ、ちゃんと使う。窓際でキラリと光るグラスたちから、愛着を持って大切にされていることがひしひしと伝わってきます。
何役も担ってくれる調理道具を選んでいます
中居:
「パントリーや食器棚がないので、食材のストックから器まで全部がこのキッチンに収まっています。
限られた空間なので物が増えすぎないように心がけていて、特に調理道具は兼用できる物を選ぶことが多いですね」
そう言われて見回してみると、炊飯器がないことに気付きました。
中居:
「そうそう、お米は長年ストウブで炊いてるんです。
20分くらいで約2.5合炊けるので、3人家族の我が家にはちょうどいい分量。これもよく使うからしまわずに、コンロ前に置いています。
あとは、雪平鍋もいろいろ使えて出番の多い道具ですね。
アルミ製でお湯が沸くのが本当に早いので、ちょっと野菜を茹でたり、煮物や朝ごはんにうどんを作ったりと、さっと使える手軽さが本当に優秀です」
コンロ下にも、調味料や油とともにいくつかの道具が収納されていました。
「使う場所の近くに収納する」というルールのもと、作業台側の引き出しには調味料を、コンロ側の引き出しには鍋やフライパンなどの調理道具と油を収納。ここに入る分だけと決めているから、道具も調味料も溢れることがないのだそう。
器は、使用頻度で分けて収納
「趣味でもある器は、キッチン収納のなかでも大きな部分を占めていて……」と見せてくれたのが、背面にある両開きの二つの棚。確かに他のものに比べると、たっぷり持ち合わせている印象です。
中居:
「器は収納ルールがあって、右側は日常的に使う丈夫な器、左側は作家ものなど私の好みで集めている器を入れています。
家族が食器を出すときは『右から取ってね』とお願いしているので、知らぬ間に大事な器を触ってハラハラすることがなくなりました」
その上のオープン棚には、大きなカゴが二つ。お菓子と薬がざっくりと収納されています。
中居:
「薬はもちろんだけれど、まだ息子が自分で適量を決めるのが難しいかなと思って、お菓子もここに。カラフルな包装が気にならないように中身が見えないタイプのカゴにしています」
行き場のない食材を受け止める「一時置き場」
キッチンの一番奥は、食材のストックコーナーになっていました。
中居:
「お茶、乾物、レトルト食品、調味料など決まったカテゴリーのものを無印良品のカゴと引き出しケースに入れてストックしています。
ストック管理は量が多くなると面倒だし結局忘れてしまうので、日常的に使うものだけと決めて。
日々の生活って、自分が思っている以上に早いサイクルで変わっていくと思うんです。買う習慣があるからストックしていたけど、気付いたらブームが去っていて消費スピードが落ちてることもしばしば。
ストックも含めて、食べることで循環しているのが理想です」
それぞれのカテゴリーごとにカゴが割り当てられている上に、ほどよく余白があるから、どこに何があるか一目瞭然。
我が家の雑多なストックコーナーを思い出して、今すぐ整理したくなってしまいました。
▲写真奥側が、一時置き場のカゴ。取材に訪れたのは1月中旬、お正月用に買ったお餅が入っていました。
中居:
「一番上のひとつは、一時置き場として普段は空けているカゴ。
頂き物やお土産で買ってきたものなど、行き場のないものを受け止めてくれる場所です。
自分の意思で取り入れたものじゃないと、びっくりするほど忘れちゃうんですよね。だから頂き物などはすぐに味見をして、積極的に消費するようにしています」
週一回の買い出しデー。あえて少なめに買っています
ご飯作りで頭を悩ませるポイントのひとつ、食材の買い出しについても聞いてみました。
中居:
「毎週日曜日に1週間分の買い出しをしています。
いつも同じタイミングで買うことで『これくらいあれば十分』という目安がつくようになりました。
買い出しはざっくりですよ。ジャンルごとにメイン食材3種、葉物野菜は2種などと目安を決めて、旬のものを中心に買っています」
金曜日はご飯を作らなくてもいい日と決めている中居家。1週間のうち、3〜4日間ほど自炊ができればOKと、見積もり自体を少なめに設定しているのも、循環するキッチンに一役買っているようです。
たとえ自炊する日が想定よりも増えたとしても、案外なんとかなる。溜まってしまう方がストレスなのだと話していました。
▲右側が献立メモ、左側が買い出しメモ。思いついたときにすぐ書けるようペンも冷蔵庫にくっついていました。
中居:
「帰ってきたらいくつかの食材を組み合わせて、メインはこれができそう、副菜はあれとこれ、というように作るものの目処をつけています。思いついたメニューは、冷蔵庫のメモにすぐ書き込んで。
考えながら買い出しするのは大変だから、身体的な労力と献立を考える思考の労力を分けている感覚ですね」
この家に住んで7年。引越し当初は物が溢れかえっていたけれど、だんだんといい塩梅が分かってきましたと話す中居。
循環するキッチンを心がけて少しずつ重ねてきた試行錯誤が、今の居心地のよい空間を作り出していることが伝わってきました。
続く第2話は、整理収納アドバイザーの水谷妙子さんのキッチン収納をご紹介します。
(つづく)
【写真】ニシウラエイコ
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