【クラシコムのしごと】粘って粘って、諦められない私たち。オリジナル商品づくりの会議に密着しました

編集スタッフ 吉野

当店で働くスタッフの様子をお届けしている不定期連載「クラシコムのしごと」。

今回は、当店オリジナルブランド「KURASHI&Trips PUBLISHING」の商品会議に密着しました。

週に一度、PBグループと店長・佐藤、雑貨デザインを担当しているCC室のスタッフが集まるこの会議。

「こんなアイテムを作りたい」という企画の段階から始まり、カラー展開からデザインの細部まで、商品の方向性を決めていく場なのだそう。

今回話していたのは、これから発売予定の洋服・雑貨合わせて9つのアイテムのこと。

それぞれの担当者を中心にサンプルを身につけたり、細かなデザインについて話したり。あっという間の1時間半でした。

▲左から、アパレル部門プランナー・緑川、マネージャー・佐藤、雑貨部門プランナー・高山

会議が終わったあと、PB開発グループ(以下PBグループ)のスタッフ3名に話を聞いてみました。

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企画書は、迷ったときの道しるべ

担当する商品が決まったら、まずは企画書を作成。この練り上げを経て、商品会議に挑んでいきます。

PBグループのスタッフにとって、この企画書がとても重要な段階なのだそう。

緑川:
「発売までの過程で迷ったら、『このアイテムで大事にしたいことは何か』という軸に立ち返るようにしています。

そのときに確認するのが、企画書。『どんな動機があって作りたいと感じたのか』『どんな場面で手に取りたいものか』など、アイテムを作っていく上で軸となることが詰まっているからです」

緑川:
「今日のような会議でサンプルを見ながら話していると、選択肢は本当にたくさんあって。例えばカラーを検討するときには、何色展開にするか、どんな組み合わせなら選びやすいかな……と。そうして迷っているうちに、気づいたら迷宮入りしてしまっていることも多々あります。

そんなとき、企画書が道しるべになってくれるんです。アイテムの軸を再確認できると、納得して選択していけるのを感じます」

企画書を組み立てていく上で、難しいと感じるのはどんなときですか。

高山:
「気になってはいたものの、今まで手に取ったことがない……そんな距離感のアイテムを担当するときでしょうか。

よく使う人はどんな場面で手に取っているのかな、欲しいと思うきっかけはどんなことだろう?とイメージしたり、社内でアンケートを取ったりしながらアイテムの解像度を上げていきます」

高山:
「あとは、自分はなぜ今まで手に取らなかったのだろう、ということにも考えを巡らせます。すると『手持ちの服との組み合わせが難しそう』『このくらいの容量があったらいいんだけどな』など、商品の軸となるヒントが見つかることもあって。

誰かから教えていただくことも、自分の中から見つかることも、どんどん書き出していって企画書を組み立てていきます。こうして土台をしっかり作ってからサンプルの検討に進んでいくことは、チームみんなで大事にしていますね」

 

方向性が180度変わることもある場です

限られた時間の中で、複数の企画について話し合う商品会議。

そのため会議の前には、企画書・サンプルの段階問わず『PBグループとしてはこれがベスト』と言えるまですり合わせを徹底しているのだそう。

けれど会議で話し合ううち、当初考えていた方向性から大きく変化することもあるようです。

佐藤:
「それほど濃い時間だからこそ、どんな姿勢で参加したらいいのかな、というのはずっと探り探りなのが正直なところなんです。

ただいつも頭に置いておきたいと思っているのは、ブランドディレクターである店長の佐藤や、他グループのスタッフの意見を吸収しながら、可能性を広げる場にしたいということでしょうか。

PBグループのスタッフを見ていると、毎回ベストを尽くすけれど、決して頑なではないなあと感じます」

佐藤:
「それはきっと『お客さまに喜んでほしい』というゴールが共通していることが大きいと思っていて。言葉にするとシンプルなのですが、みんなその気持ちがまず一番にあるのを感じます。

そのための最適解を探していたら、方向性が変わることも、変わらずに進むこともある。柔軟に動きながら、可能性を広げていきたいですね」

緑川:
「私たちはお客さまのことを『私たちみたいな誰か』と考えているので、会議では『あなた自身はどう思う?』と聞かれることもしばしば。お客さまの一人である『私』としての意見を問われます。

私が普段感じている憧れや、モヤモヤの気持ちに共感して服を選んでくださる方もいると思うので、自分の気持ちも大事な指標。『私』と『私たち』を常に行き来しているような感覚です。みんな『私たち』の中の一人という自覚があるからこそなのかもしれません」 

高山:
「どの意見もしっかり汲んだ上で話し合う空気があることも、柔軟になれる理由かなと思います。入社して間もないころは、こんなに私自身の意見を聞かれるんだと驚きました。自分の判断に自信をもてなくて、少し不安もあったんです」

高山:
「でもそれを頭ごなしに否定されることはまずないので安心して言えますし、自分では想定していなかった展開になったとしても、毎回納得した上で進めているのを感じています。

全ての意見を平等に並べて、背景にある気持ちも汲んでもらって、何を選択するかは『私たち』の目で決めていくイメージです」

 

とにかく諦めない。
粘って粘って、いろんな選択肢を探ります

会議でのPBグループスタッフの様子を見ていると、「かわいいけど、ボトムスに合わせたときに迷わないかな」「PCはカバンのどこに入れてる?」とさまざまな場面を想定しているのが印象的でした。

緑川:
「そうですね。会議以外の時間では、お客さまが手に取られたあとのシーンを想像するために、実際にサンプルを着て過ごします。あとはオフィスにいるスタッフに着てもらうこともありますね」

高山:
「バッグ類も、通勤や出かける際に持ち歩いてみます。

飾るものなら家に置いてみて、存在感はどうかな?とか。置く場所や家の間取りなどで印象がガラリと変わるので、自分の家はもちろん、いろんなスタッフの家に置いてもらってデザインを検討することもあります」

確かにオフィスでは、よく「これ着てみてもらえませんか?」「物を入れさせてください」……など、スタッフ同士で声をかけ合って、写真を撮っている姿を見かけます。

緑川:
「そうやって他グループのスタッフにも協力してもらいながら、お客さまのことをイメージしていますね。

何か壁にぶつかっても、違う視点から見たらどうだろう、とまた意見を総動員して。私たちはとにかく粘ります!(笑)

クラシコムスタッフの中だけでも、何人で暮らしているか、どんな場所で、どんな時間を過ごしているか……とそれぞれ違った暮らしがあります。これはお客さまも同じなのではないかなと想像しているので、どこかに喜んでいただける鍵があるのでは?と諦めきれないんです」

佐藤:
「たくさんの選択肢を出した上で、粘って粘って考えるのは、悩んだときこそチームで大切にしていることのひとつですね。

今日の会議でも話題にあがっていましたが、ひとりで考えていると『もうできない』と決めてしまった方が簡単かも……と感じる場面ってあると思うんです。でもみんなで話し合っていると、選択肢が少しずつ見つかってくるんですよね。

悩むということは、私たちの中で何か諦めきれない、引っ掛かっていることがあるはずなので」

高山:
「諦めないで話し合っていると、今まで考えもしなかった『第3の道』のようなアイデアが出てくることもありますよね。そういうときは、道がパアッとひらけたような感覚になります」

佐藤:
「もちろん担当者の判断に委ねられる部分もありますが、意見を出し合っていろんな選択肢を探り、その上で納得して決めていくところがクラシコムらしいなあ、って思っています」

3人の話を聞いていて、「私たちみたいな誰か」の一員であるという自覚、という言葉が印象的でした。

読みものの企画や編集をしていても、ときに「お客さまにとって関心のあるテーマだろうか」「楽しんでいただける内容になっているかな」と迷ってしまうことがあります。

けれど、私も「私たち」のひとりで、PBグループと目指すゴールは同じ。そんな自覚を持って、視野を広げられたら。

簡単ではないかもしれないけれど、そうありたいと感じた時間でした。

***

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