【きっかけシネマVol.08】わたしたちが仕事を選ぶ理由。「プラダを着た悪魔」
ライター 新田まるむ
文 ライター新田まるむ
今日の作品は『プラダを着た悪魔』
わたしたちが仕事を選ぶ理由。
働く女性たちがきっと共感してしまう今日の映画「プラダを着た悪魔」。
まさにプラダを着た悪魔であるカリスマ編集長ミランダを、さすがの貫録で演じるメリル・ストリープと、先日公開された「マイ・インターン」で美しさに磨きのかかったアン・ハサウェイの競演も魅力的ですね。
次から次へ登場する高級ブランドの洋服に、ファッションに目ざとくない私でさえ目を奪われ、細身のモデルたちに思わずため息をつきながら、楽しく観てしまう映画です。
誰もが憧れるファッション雑誌の編集社「ランウェイ」で働くことになった新人のアンディ。鬼編集長ミランダに最初は振り回されっぱなしですが、いつしかアンディ自身が業界の価値観に献身する「プラダを着た悪魔」になっていく姿に、“仕事と人生”を考えさせられる映画でした。
新人も先輩もそれぞれ共感
この映画を観た頃、ちょうど30代に突入して少し経っていた私は、アンディの先輩であるエミリーのほうに共感したものです。
気まぐれなミランダの要求にこたえアンディの面倒も見なければならないエミリーの上と下に挟まれた苦労は、職場で中堅に属する年齢や立場の方なら自分を重ねてしまうでしょう。
「一生したい仕事って?」という迷い
人生と仕事は切っても切れない関係です。
理想の仕事は誰もの願い。自分を活かせる、好きな仕事ができたら、と誰しもが願っているのではないかと思います。
わたしも40代を目の前に、若い頃から夢見た“理想の仕事”に思いを馳せてみたり。そしてこれから自分が一生したい仕事って何なんだろう、と改めて考えるようになってきました。
今の仕事は嫌いな仕事ではないけれど、本当に自分の望んでいた仕事は他にあるかも、という漠然とした気持ちを、きっと多くの方々も持ったことがあるのではないでしょうか。
わたしたちが仕事を選ぶ理由。それは…
この映画でも皆それぞれ“人生のための仕事”を選択しています。
選択の結果はそれぞれ違うけれど、共通していること、それはそこで共有する価値観を選んでいるということ。そしてそれを共有する相手が仕事仲間なのかもしれませんね。
ミランダの最後の一言、「誰もがわたしたちに憧れているのよ」がこの映画を強烈に締めくくります。
人生においてひとつの価値観を選び取り、その仕事に人生を捧げた人の言葉は、新人のアンディに、人生のひとつの決断をさせる力を持っていました。
理想の仕事であろうと家賃のための仕事であろうと懸命にやり続けることは、確かにひとつの説得力を持つ。
“仕事”というものの本質を、あらためて気付かせてくれるきっかけシネマです。
今日の「きっかけシネマ」情報
『プラダを着た悪魔』(2006年)
【監督】
デヴィッド・フランケル
【キャスト】
メリル・ストリープ
アン・ハサウェイ
エミリー・ブラント
スタンリー・トゥィッチ
【ストーリー】
ジャーナリストを目指してNYへやって来たアンディ(アン・ハサウェイ)は、一流ファッション雑誌「ランウェイ」で働くことに。編集長のミランダ(メリル・ストリープ)のアシスタントとして働くことになったアンディだが、放漫で完璧主義のミランダに振り回され…。誰もが憧れる華やかなファッション業界を舞台に、ビジネスシーンで洗練されていくアンディの成長を爽快に描いたハートフルなシンデレラストーリーです。
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