【きっかけの一冊】働き方が変化した。仕事のヒントをくれた一冊。
編集スタッフ 二本柳
文・写真 スタッフ二本柳
仕事 × Book
仕事、暮らし、子育て。あらゆる場面で「きっかけ」を作ってくれた一冊を紹介する本特集。
連載第3回に登場するのは、本の中の一節に気づきを得て、働きかたを見つめ直したスタッフ2名です。彼女たちが仕事に対するモヤモヤから抜け出して、それまでよりちょっぴり働きやすくなったきっかけを作ってくれた本をご紹介します。
01. スタッフ齋藤
この一節:
「自分がしっくりこないことや疑問に思うことを素通りさせずに、つねに意識しつづけること。自分を大事にすること、自分らしさを模索しつづけること」
-西村佳哲『自分のしごとをつくる』(晶文社)-p.145
「わたしは何を目的に仕事をするのか?」その答えを見出すきっかけとなった一冊です。
わたしは昔から “家” が好きだったので、卒業後まず入社したのは建築事務所でした。トータルで4年間働いたのですが、そのうち2年間は「何の目的でこの仕事をしているのか?」が分からずにモヤモヤを抱えていたのを覚えています。
そんな時に出合ったのが、この一冊。働き方研究家という肩書きを持つ西村佳哲さんが、ヨーガン・レールさんからドラフトの宮田識さんまで、様々なジャンルで活躍する人たちを取材して、「自分の仕事をつくる」ということをテーマに1冊にまとめたものです。
この本を通じて、多岐にわたった働き方を知ることができました。そしてそれは、自分の世界が広がるような読書体験でした。
当時は今のようにSNSも盛んではなかったですし、今思えば自分のいる “建築” という世界のなかでグルグルまわっていただけだった。でもこの本を通じて、今まで会ったこともないジャンルの人たちの、仕事に対する価値観を知ることができたんです。
特に影響を受けたのは「自分の仕事でかかわる人たちに、どう感じてもらいたいか?」ということを意識した働き方でした。
仕事を通じてかかわる人が嬉しくなったり、暮らしが心地よくなったり、そういう考え方で仕事をしたい。わたしの働く目的って、それだったんだ。そう確信することができました。
モヤモヤを抱えていた時期というのは、“自分が、自分が” という世界に閉じこもっていたんですよね。とたんに「自分=届けたい人」という視点が生まれて、ということは、自分らしさを模索しつづけることで「その人」との距離も縮めていけるのではないかと気がつきました。
仕事だからといって自分を捨てる必要なんて無いんだ、と。
それからは、当時いた建築事務所での仕事も、その後転職したクラシコムでの仕事も、自分らしく働くことが仕事の価値にもつながっているように思います。
02. スタッフ西野
この一節:
「この道が果たしてよいのか悪いのか、思案にあまる時もあろう。なぐさめを求めたくなる時もあろう。
しかし、(中略)ともかくもこの道を休まず歩むことである。自分だけしか歩めない大事な道ではないか」
-松下幸之助『道をひらく』(PHP)-p.10,11
わたしがこの本に出会ったのは仕事で悩みを抱えていた時。自分が想像していたよりも、物事がうまく進まなかった頃でした。
自分が選んだ仕事とは言え、これは正しい選択だったのか?とずっと不安を感じていました。
そんな時に「道」という章を読んで、心が救われたんです。今進んでいる道は、自分だけにしか歩めない大事な道なんだ。だからともかく休まず歩みつづけよう、と。
ずっしりと重みのある一言一言を、人生についての授業を受けているような気分で、時間をかけて丁寧に読みすすめました。
そして、一冊を読み終えたあとには、仕事に対する考え方が少し変わっている自分がいました。というのも、仕事によって出会う人たちとの “縁” を考えるようになったんです。
これまで、困ったときに必ず手を差し伸べてくれる人や、目標となる人に出会ってきたではないか…ということを改めて思い出した。それって、実は当たり前でなくてラッキーでありがたいことなんじゃないか?と気がついたんですよね。
今は年齢も経験も重ねてきたけれど、昔自分がそうしてもらったことを、わたしは周りの人たちにしてあげられているだろうか?今の仕事も縁あって一緒に仕事をしている人たちがいるのだから、自分がそうしてもらったように、わたしも助け合いながら働こう。そう思うきっかけとなった本でした。
(つづく)
本日ご紹介した本の情報。
自分の仕事をつくる (ちくま文庫) 西村 佳哲 筑摩書房 2009-02 |
道をひらく 松下 幸之助 PHP研究所 1968-05 |
もくじ
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