【店長コラム】20代の頃に知って心を打たれた「詩」との、10年ぶりの再会。
店長 佐藤
一枚のハガキを見つけて20代の頃の「モヤモヤ」が蘇る。
少し前のある日のこと。
「断捨離するぞ」と意気巻いてしばらく開けていなかったファイルを整理していたら、ハラリと一枚のポストカードが出てきました。
(なんだ、これは?)
一見ただのポストカードでしたが裏面を見てみると、ある『詩』がメモしてありました。
詩が書き留めてあるだなんて、なんだかちょっとお恥ずかしいハナシなんですが、あ、自作の詩とかではないですよ(照)
(そうだそうだ、思い出したぞ。これ、20代後半だった頃に出会った詩で、あまりに心を打たれたからハガキにメモして机の前に貼ってたんだった)
当時暮らしていた部屋のこと、その頃いつも悩んでいた「自分がやりたいことって?」「できることって?」というモヤモヤが一気に思い出され、胸がギュ-ッとなりました。
あらためて読み直してみたら、本当にいい詩でした。
それはダグラス・マロックというアメリカでかつて詩人・作家・編集者として活躍した人物の名作とも言われる詩。
久しぶりに再会したような気持ちで読みなおしたら、もうとっくに20代ではないわたしにもあの頃とは違ったカタチで心に刺さるものがありました。
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丘の上の松が無理ならば
谷あいの低木になれ。–だが
小川のほとりにある最も美しい低木に。
木になれないのなら、藪(やぶ)になれ。
藪が無理ならば、一握りの草になれ。
そして、大通りを楽しくしてやれ。
カワマスが無理ならばバスでよい。
–だが、湖の中で最も生きのよいバスに!
我々は皆が船長にはなれない。
水夫になる者もいよう。
一人一人が何かすることがある。
大きな仕事もあれば、小さな仕事もあろう。
そして、しなければならない務めは手近にある。
大通りが無理ならば、ほんの小路でもよい。
太陽が無理ならば、星になれ。
成功と失敗を分けるのは大きさではない。
何になろうと最上のものになれ!
-ダグラス・マロック
(翻訳の参照元:「道は開ける」P229~P230より)
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ひと握りの草になって、大通りを楽しくできたら。
この詩を知った当時、ほんとうにガツーンとくるものがあったんですね。
「何者になるか」「何をやるか」以上に「どうやるか」「どんな心意気で取り組むか」で自分が役立つ存在になれる道はあるのだと。
何になったらいいのか?どんな職業・立場についたらそれが果たせるのか?そればかりに囚われていた頭をパッチーンと叩かれたようになったのを思い出します。
とはいえ、あれからすでに10年以上が経っているというのに、また同じようなことに囚われている自分にも気づかされたり……。
ひとりの職業人として、会社ではひとつのリーダーシップの機能として「はぁ、まだまだ”船長”にはなれん。”水夫”だってギリギリ」と感じるシーンは山ほど。
ひとりの母親・主婦としても「あの人は”太陽”みたいでいいな」なんて周りのお母さんと自分を比べて落ちこむことも。
でも大切にしていた詩と再会したことで、自分に「できる」ことを「本気」でやることの大切さを改めて教えてもらい、今回は頭をパチーンじゃなくて「君なりにがんばれ」と背中をポーンと優しく叩いてもらった気分です。
当時もそうだったけれどやっぱり今になっても”一握りの草になって大通りを楽しくしてやれ”という言葉が気になってしょうがないです。
だって、たった一握りの草なのに大きな通りを賑わせられるって、なんだかすごくいいなって。
自分も、そして『北欧、暮らしの道具店』もそんな存在になっていけたらいいなぁと漠然とだけれど願いました。
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