【わたしの産休・復職エピソード】LEE編集部・喜多佳子さん「両立の難しさを実感する日々。でも理想は持っておきたいんです」

編集スタッフ 齋藤

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今回お話しを伺うのは、雑誌「LEE」編集部の喜多さん。

シリーズ「わたしの産休・復職エピソード」では、これまでに産休や育休・復職を経験したかたにインタビューをし、当時の思いやエピソード、そして現在の働きかたをお届けしています。

今回からは会社を飛び出し、取材を通して出会った方たちのエピソードをお届けしていきます。そのお一人目は、わたしたちスタッフも愛読している雑誌「LEE」の編集部の喜多佳子(きた よしこ)さん。

光がさんさんと入る出版社のエントランスを通り、編集部へ着いた私を迎えてくださったのは、きりっとしつつも柔らかな笑顔が素敵な背筋の伸びた女性。編集者ならではの悩みや思いと、長男の成長に伴った家族の形に奮闘するお話をお聞きしました。

 

LEE編集部・喜多佳子さん

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 MEMO

[子ども]6歳の男の子
[仕事の内容・入社歴]集英社「LEE」編集主任・1998年入社
[すきな時間]子どもが寝たあとに海外ドラマの一気見


 

喜多さん:
「入社以来LEEの編集部に在籍し、現在はインテリアや料理など暮らしのテーマを中心としたリビング班を担当しています。仕事の内容は編集作業がメインです。撮影にはすべて立ち合い、取材も一緒にいくことがほとんど。出張は年に1度くらいの割合で出ています。

今の勤務体系ですが、復職直後は時短を取る選択肢もありました。比較的自分の裁量で仕事を調整できる職種でもあるので、とりあえずは今までと同じ勤務体系の中で両立をしてみようと思い、現在に至っています。

当時は『この号まで仕事をしよう!』とリミットを決めて産休に入り、復帰のタイミングは担当していた連載をまとめるためにブルックリンへ出張する必要があり、その3ヶ月前にと決めました」

 


育休中のわたし。


 

sankyukita_02産休直前まで担当していた料理連載が、一冊の本になって編集部から送られてきたときは、嬉しかったです。育休中のごはん作りはほとんどここから。(喜多さん)

みんなが次に向かって走っているのに…。寂しさと、雑誌を手に取る側を体験できた経験と。

喜多さん:
「産休に入ったときにまず、悩んでしまったんです。今まで10年以上やっていたことをポーン!とやらなくていい時期が訪れたからですかね。何をしたらいいんだろうと迷ってしまいました。

でも、産後はとにかく1日が早かった。朝起きて子どもを連れてどこかに出かけられるようになってからは地域の育児広場へ出かけて、帰宅後昼寝をさせている間は束の間の自分の時間。そうこうしているうちに夫が帰ってくる。そのサイクルに慣れず、仕事をしているほうが楽だったかも?と感じるくらいでした。

それと同時に、ポツンと取り残された感じもあったんですね。(編集部の)みんなが次に向かってわーって走っているのに……という寂しさがあったのも正直なところで。『今こういうことやっているんだなあ』とLEEを読むんだけども、雑誌がまぶしくもあり、落ち込むことも度々ありました」

sankyukita_03産院に入院中、夫に「育児ダイヤリーのようなものを買ってきて」と頼んだものの買ってきたのは通常のスケジュール帳。そのまま育休中のあれこれを書き込むことにした思い出の1冊。「このときは頑張って作ったメニューとかメモしていましたね〜」(喜多さん)

喜多さん:
「育休中の自分の変化として一番大きかったのは、実際にLEE読者に多い30代ママたちのリアルな日常を体験できたこと。

同じマンション内で育休中のお母さんたちと情報交換をしたり、それまでは別世界だった“ママランチ”に参加できたり……。子育て中のママがどんなことに悩んでいるのかということを身を持って感じることができました。

それまでは“作り手”としてLEEにかかわっていたけど、ふと雑誌を手に取る側に行けた気がしたんです。入稿のサイクルに追われて、今まであまり見えていなかった小さな気づきがたくさんありました。

専業主婦のお母さんたちの気持ちも交流をするなかで知ることができて、さらに流行っている習い事や芸能人の話題も含めて、すべての情報がすごく新鮮で。そのときに『これはきっと仕事に活かせるはず。育休中にこの媒体にいられたことはラッキーだったな』と感じました。

それに加えて『育児広場で友達つくるの大変だったな』といったリアルに感じたことも心にとっておきました。『もう少しこんなママ向けの情報もあったらいいのに』と頭の中にメモしておいたことは、復帰後に企画として提出する場面も度々訪れました。

お休みを通して、世界が広がったのは事実。立場の違うお母さんがたくさんいて、いろんな時間軸・考え方が流れている…..。それを知ることができたことはとてもプラスでした。自分のこのときの経験が、少しでも今に還元できてるといいなと思っています」

 


復職後のはたらき方と変化


 

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いかに効率よく日々をやりくりするか、から変化したこと。

喜多さん:
「産前の考え方としては『夫婦共働きなんだから、人に頼める部分は頼もう』そして『いかに効率よくやるか』で、子どもがどう感じるかという視点はほとんどありませんでした。でも長男が3歳くらいになった頃から、それよりも『今のかわいい時期をどうしたらもっと一緒に過ごせるか』にシフトしてきたように思います。

それにはきっかけもあって。3歳を過ぎると、自分で『今日はこんなことがあったよ〜』と話をしてくれることも増えてきたのですが、家事や仕事をしながらしか聞くことができず、どこか上の空で右から左へ聞き流してしまっていることに気づいたんですね。純粋に子どもと向き合う時間が本当に少なくなってしまってた。

それで、これってよくないよなあとモヤモヤしていたんです。それから、夫と話し合って平日・休日の子どもとの関わり方を考え直しました。

5歳くらいになって、今度は周りのママの情報とかもわかるようになって。『どうしてママはいつも帰りが遅いの?』と言われてしまったり。子供の成長に伴って悩みが変わっていくんだなあと痛感しました。

自分が働いている姿は子供に見てほしいし、いつか理解もしてほしいです。でも持ち帰った仕事を家で作業中、私の邪魔をしないようひとりでもくもくとパズルやレゴを完成させている息子の背中を見て、『寂しい思いをさせているのかな』と思うこともあります。まだまだ、子どもとの関わり方は模索中です」

 


 育休を経て変わった自分と、これから。


 

大事なことって、仕事だけじゃなくていっぱいあるんだと気付いた。

喜多さん:
「育休後には、それまでの時間の使い方を見直しました。特に独身のころは納得の行くまで時間に関係なく仕事をしていましたが、いまは『子どもを迎えに行く』という制約があるから、その日やることを通勤電車のなかで組み立てて出勤しています。

通勤中は結構有効に時間が使えるものなんだな、というのも新たな発見で、家で新聞を読む時間がなくなってしまったこともあり、ipadを使って移動時間にデジタルで読むようになりました」

sankyukita_04新聞はこれでチェックしています。(喜多さん)

喜多さん:
「そして、意識的な部分で大きく変わったのは『大事なことって仕事だけじゃなくていっぱいある』と気づいたこと。夫婦関係、親との関係。家族を通して学ぶことは今とても多くあります。

それに、暮らしに密接に結びつくことや子供を取りまく社会のことをよりリアルに関心を持てるようになったことは、自分の中の変化として大きかったです。『子供が大きくなったらどんな社会になってるのかな?』という20年後の想像をついしてしまいます。そういうことって今までどこか他人事だったんだなあと」

 

このままでいいのかな?という迷いはいつもあるけど、今やれることをやるしかない。

喜多さん:
「今年の4月からは小学校へ入学(取材は3月でした)。長時間の預かりにも柔軟に対応してくれた保育園のときとはガラリと違う生活スタイルが待っています。放課後には民間の学童へ進む予定です。

その学童もお願いすれば夕ご飯を出してくれるような時間まで預かってくれるけれど、『一緒にごはんを食べられるのって今しかない』と思うとできるだけそこに頼りたくないという気持ちもあって。仕事をなるべく早くスタートさせて、計画的に進めたい。

そうは言っても仕事柄なかなか理想通りにいかず、決まった時間に退社をするのはかなりの調整力が必要なのですが、今は目標を掲げてみて、本当に無理だったら考えようと思っています。そういった考え方は、産前の頃からはずいぶん変化しましたね。ある意味柔軟になったかもしれません。

わたし、作り置きをしたり夕飯のおかずを朝に1品作るといった、前もって準備するのが本当に苦手で……!LEEの読者にも働くママが増えていますが、忙しくてもご自分なりに家事を工夫していらっしゃる方が多いんです。そんなママたちを見習って、まずはやってみようと思います。

いつでも、これでいいのかな?という迷いはもちろんあります。でも、今やれることを、それが理想であってもやるしかない。そうやって、あえて理想を掲げるくらいのスタンスがいいのかもしれません。いつでも軌道修正する覚悟で、子どもとの関わり方、家族のありかたを見直しながら進んでいきたいです」

sankyukita_08昨年、LEE新年号の花カレンダーを撮影のためにパリへ出張。「不在中は夫がかなりがんばってくれました」(喜多さん)

 

子どもの成長に伴って変化する悩みの壁に、夫婦で直面しながらも自分の働き方を見直していった喜多さん。「両立をしなくちゃ」という意識ではなく、「どうしたら自分たち親が子どもに向き合えるのか」という考え方がベースになっている点が印象的でした。

連載は、今後も続きます。

 

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喜多佳子(雑誌「LEE」編集部)

集英社「LEE」編集部在籍。現在はリビング班(インテリア・料理・旅など)を担当。LEEは30代を中心の読者層としたファッション・ライフスタイル誌。http://hpplus.jp/lee/ インスタグラム(magazinelee)やフェイスブックなどのSNSでも情報を配信中。


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