【スタッフコラム】同じ朝。同じ夜。繰り返す日常のなかに…
編集スタッフ 二本柳
繰り返しの毎日もいい。
朝6:30に目を覚まし、顔を洗って湯を沸かす。食パンをフライパンで焼くかたわら、週末に買っておいた果物を切り、ヨーグルトをのせる。朝のニュースを見ながらそれを食べ、身支度をしたら7:30きっかりに家を出る。
平日は、毎日がこの繰り返し。
なんの狂いもなく淡々と繰り返すこの日々に、ふと退屈を感じる瞬間がないわけではない。毎朝「さて、今日は何をしようかな」と暮らすことに憧れもある。
それでも、この平凡な毎日が「愛おしい」と再確認できる映画に出合いました。
クラシコムのスタッフや友人たちからひっそりと、熱く、おすすめされた映画『パターソン』は『コーヒー&シガレッツ』で知られるジム・ジャームッシュ監督の新作。
主人公は、判で押したような規則正しい毎日を過ごす男性。携帯電話はもたず、ちょっと不思議でハッピーな妻(彼女がまたとびきり可愛い)と愛犬のブルドッグとともに暮らし、日課のように詩を書きためる。舞台となる街・パターソンは、アメリカの詩人ウィリアム・カーロス・ウィリアムズの作品『パターソン』から着想を得たとか。
なんら事件も起きず、心地よい眠気を誘う物語で印象的だったのは、詩人でもある主人公の「日常を観察する目」でした。
人生の美しさや愛おしい瞬間は、変哲ない日常の中にある。そんなささやかな発見が、余韻としてじんわり胸に響きました。
感動の瞬間に気付けるゆとりくらいは。
夕方。映画を観終わって最寄り駅に着くと、はっぴ姿の大人や子どもで街がにぎわっていました。
この日は地元のお祭りがあったよう。
ちょうど休憩時間だったのか、商店街の店が彼らに料理をもてなしていて、わいわい楽しげに食事をとっているところでした。
なんだかアウェーな感じで道を進んだところ……目撃してしまったんです。
はっぴ姿であふれる商店街の端っこで、電柱の裏にひっそりと立ち、休憩する警備員さんの姿。
誰かがお裾分けしたのでしょう、皆と同じ紙皿を片手に、嬉しそうに炊き込みご飯を食べる警備のおじさんが、ひとり目を細めながら空を仰いだその瞬間。
まるで映画のワンシーンみたいに完璧な “しあわせの笑み” が、このリアルな日常に転がっていたのでした。
ああ、そのことに気付けてよかった。
そう思ったら、なんだか泣けてきて、おかしいけれど本当に涙がこぼれました。
『パターソン』を観ていなければ、あの控えめな警備員さんの姿を、私は気付けなかったかもしれません。
携帯を見たり、そうでなくても、あれこれ考え事をして周囲の出来事なんて目に入らない。すれちがう人の顔すらほとんど見ない。それがいつもの私。
でも、少しでも主人公パターソンの目を持って日常を観察できたなら…… 胸を打つような感動の瞬間は、いくらでもそのへんに転がっているのかも。
信号待ちのあいだ子どもの写真をながめるサラリーマン。日向ぼっこするネコ。灯りがもれる住宅街にただよう夕飯の香り……
平凡な毎日にある、愛おしい瞬間に気付けるくらいは。そのくらいのゆとりは、いつでも持っていたいなと思います。
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