【スタッフコラム】気遣いと心遣い
編集スタッフ 塩川
先日、取材で都内に出かけたら、フレッシュマンたちの集団に遭遇しました。
初々しくて、まぶしくて、わたしにもそんな時があったなぁとしみじみ。そんな新卒のころを振り返ると、とある先輩のことが思い浮かびます。
苗字に「熊」の漢字がついているから、みんなから「クマさん」と呼ばれていたその先輩は、仕事の質問も何気ないやり取りも、心から答えてくれるような優しい男性でした。
慣れない社会人生活のはじめに風邪をひいて休んだら「大丈夫? 無理しないでね」と、本当に心配そうに声をかけてくれたクマさん。
そんなクマさんの振る舞いは、受け手側であるわたしにとって「なんだか気を遣われているな、申し訳ないな」という印象を一切与えない、心地のいいものでした。
同じ言葉を投げかけられても、他の先輩とクマさんはなんだかちがう。
どうしてだろうと考えたときに、きっとそれは「気遣い」ではなく、「心遣い」だからなのだろうと思うようになりました。
わたしもそんな風に、心遣いのできる人になりたいと誓ったものの、あれから十数年経った今でも、なかなかスムーズにはいきません。
似ているようでちがう、気遣いと心遣い。
うまく言葉にできないのですが、わたしの中で「気遣い」は自分も相手も少し疲れてしまうようなイメージ。
あらゆるところに神経を張り巡らせて、なんとか場が円滑に進むように「気」を飛ばしている感じなので、受け手側にもそれが伝わってしまうんですよね。
一方心遣いは、気構えていない素の自分自身からでたもの。思いやりとニュアンス的に近いように感じています。
社会人経験を積んで、ある程度の気遣いはできるようになったかなぁと感じるものの、心遣いが自然とできるようになるまでは、まだまだ修行が必要で……。
まずは肩の力を抜いて、気を張りすぎないところから始めたいなと思う春の日です。
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